2008年08月25日

温湿度にこだわったhiro邸の家造り白書 (5)


Hiro邸には太陽光発電3.14kWが搭載されている。
これは、環境省が2005年度に限り行ったCO2削減のための「環の匠住宅」という名の特別補助制度。1000戸に限り40万円を補助しましようという政策。
その対象となる住宅の主な条件は、(1) Q値が次世代省エネ基準以上の高断熱性能を備えていること (2) エコキュートを採用していること (3) 3kW以上の太陽光発電を搭載していること、であった。

全くの偶然だが、建築着工時に環境省の1年限りの制度に遭遇することが出来た。
そして3.14kWkの太陽光発電の設置予算180万円が40万円安くなり、140万円で設置。
しかし、環境省は各省からの寄せ集め省庁。政策官庁であって、カネを握っている国交省、経産省、厚生省、農林省のような事業官庁ではない。
このため、たった4億円の規模にすぎない予算が、1年限りで打ち切られたのは残念至極。そして、この時の反応の良さに味を占めた経産省が、来年度から太陽光発電に対する補助事業の復活を大きく謳っている…。

hiro邸の3.14kWの太陽光は、電化上手の売電価格が26.25円/kWhと比較的高いということもあって、昨年は約11万1000円の売電を稼いでくれたという。
この調子でゆけば、140万円の投資は単純計算ではおよそ13年で回収できるという勘定になる。
これが、10年以内に回収出来るか否かが、太陽光発電が普及するかどうかの分岐点。
hiro邸は分岐点をわずかに超えているが、しかし一般的に20年近くかかっている償却を13年以内にできたのは僥倖。

そして、居間の空調換気制御盤の下に、写真の発電量モニターパネルが付いている。
つまり、現在の発電量がいくらで、家で消費している電力量はいくらか。そして、残ったどれだけの電力を売電しているかが一目でわかる。
この小さなモニターパネルは、いやが上にも電力に対する意識と省エネに対する意識を高めてくれる。
電力メーカーが、「各家庭の屋根をタダで借りて、原子力に変わるサスティナブルな電力を確保してゆくのだ」とドイツの政策当局者のような考えになってくれれば、このモニターパネルは象徴的な存在になってゆくであろう。

RIMG6181.JPG


このほか、hiro邸で感心させられたのはエコキュートを屋外ではなく、洗濯などの家事室に設置していること。これで冬期のヒートロスが少なくなる。
ただし、夏期はエコキュートが発する熱が問題になる。
だが、深夜電力を利用しており、しかも洗濯室は夜間の衣料の乾燥室を兼ねており、ドアで仕切ることが出来るので冷房負荷に大きな影響を与えることがなくドライヤーの役割を果たしている。
最初に紹介した食品庫(保冷室)と共に非常に面白い試み。

洗濯室内貯湯ユニット.jpg


それと、もう一つ面白いトライを見た。
それはダイニングテーブルの直上に設けられたライトフライヤーという強力排煙扇。
高気密高断熱住宅の泣き所は家の中で焼き肉などの煙と臭いの出る料理が楽しめないこと。それが、この強力な排煙扇で可能になった。
もちろん、全ての煙と臭いを吐き出してくれるわけではない。
残存する臭いは、しばらくは消えないが、やがてセントラル換気システムが機能して、約1時間後には全ての問題を解決してくれるという。
私は「焼き肉は焼き肉屋で楽しんでください!」としか言ってこなかった。
意表を突かれる発想に脱帽。

RIMG6174.JPG


さて、最後になったが、このhiro邸の冷暖房費、換気費、給湯費は…。
一体どれだけかかっているのか?

まず、冷暖房費。
最初の夏(2006年)は冷房運転と再熱除湿運転の切り替えがわからず、再熱除湿のまま過ごしたのでベース電気代との差が7月で1万3000円にもなった。
そこで昨年からは、主に夜間が再熱除湿モード、昼間は外気温が25℃以上になる場合に限り冷房モードで運転する習慣をつけた。夜間は深夜電力を利用できるからである。
この結果、昨年の年間冷暖房費は下図のように年間で6万7000円強(5600円強/月)となっている。

冷暖房費のみ概算2007年.jpg

このグラフから、hiro邸が限りなくV地域に近いW地域に位置していることと、冬期の設定室温が24℃から25℃と高いこともあって、暖房:冷房の比率が57:43と、冬期の暖房コストがかかっていのが分かる。

次ぎに、hiro邸の年間換気費と給湯費を概算してもらった。
エコキュートは、電化上手の深夜電力に依存しているから安い。
ラフな見積もりだが給湯費は月額約1600円として年間約1万9000円。

換気費についても個別にメーターが付けていないのでハッキリしない。
ただ、太陽光発電のモニターから空気清浄機機能込みの換気消費量を推定すると、おおよそ140W(換気ユニット60W+エアコンユニット循環80W)になったという。
電気上手のkWh単価の平均値がおよそ18.5円なので、年間では140×24×365×18.5/1000
=22,688円。およそ2万3000円(1900円/月)という計算となる。

・年間冷暖房費  67,000円/年 (5,600円/月)
・年間換気費   23,000円/年 (1,900円/月)
・年間給湯費   19,000円/年 (1,600円/月)
・合 計      109,000円/年 (9,100円/月)

太陽光発電の年間売価が111,000円だから、エネルギー・パスのカウント対象の全燃費が太陽光発電で賄われているということになる。
こうしてみると、太陽光発電は捨てたものではない。

さて、この数値をパッシブハウスが唱えているkWh/uに換算するとどうなるか。

ご存じのとおり、今までは年間暖房費15kWh/uがパッシブハウスの条件となっていた。
しかし、ドイツで今年の7月から施行された「エネルギー・パス」では、暖房費だけではなくエアコン費、給湯費、換気費を含めた数値で省エネ性能を表示している。
つまり、暖房費が少ないというだけでは自慢にならない。
パッシブハウス研究所の古い資料では、給湯、換気、エアコンを含めると25kWh/u以下でないとパッシブハウスとは呼べないとある。
これがそのまま踏襲されているかどうかは未確認。
しかし、とりあえず25kWh/uでこれからパッシブハウスを考えてゆくことにする。

そこで、単純な私は上記の合計金額10万9000円を23円で割り、さらに法定面積138uで割ってみた。
すると34.3kWh/uとなった。
25kWh/uには及ばないが、なかなかの数値ではないか。

ところが、この金額は電化上手をまさに上手く使ったから得られた数字。
上記の換気のところで見たように、電化上手の年間平均単価は18.5円/kWh。多用した深夜電力は7.35円/kWh。単純に23円で割れば良いというものではない。太陽光発電のモニターから概算するとhiro邸は下記のように46.9kWh/uと、パッシブハウスの2倍に近い数値になるという。
・暖房  15.3kWh/u
・冷房   9.0kWh/u
・換気   7.3kWh/u
・給湯  15.3kWh/u
・合計  46.9kWh/u

見てきたように、hiro邸の冬期の設定温度は24℃で相対湿度は40%。夏期は27〜28℃で相対湿度は45%と非常なにハイレベル。
この数値が示されているから、あとはそれぞれの条件で引き算するだけでよい。
私が感じている快適性能は冬期21℃で38%、夏期は29℃で50%。この場合だと、おそらく暖房と冷房で3.9kWh/u程度は少なく出来よう。

Q値が約1.0Wのhiro邸。
私は今まで、観念論として寒冷地ドイツの25kWh/uを唱えてきた。
しかし、東京以西のW地域の温暖地で、46.9kWh/u−3.9kWh/u=43kWh/u。
この43kWh/uの、どこをどのように細工すれば、あと18.0kWh/u減らして25kWh/uにすることができるか…。
観念論ではなく、具体論の時代に!

上表で大きな比重を占めているのは暖房と給湯。
エコキュートの優れたCOPを、さらに飛躍的に向上さすことが出来れば別だが、毎日入浴している給湯費をこれ以上減らすことは大変に難しい。
Q値を0.7W程度にして、暖房費を半減とか1/3にすることは容易。
しかし、そのことで冷房費とか除湿費用が余分に増えるかもしれない。
換気に関しては、バイパス回路を設けるとか、熱回収率を65%から90%に高めるというイノベーションが期待出来る。しかし、総合的に換気と除湿のエネルギーを半減することが本当に出来るだろうか。

いずれにしろhiro邸のデータは、温暖地においてはQ値一本槍で考えるのはリスクが多いことを教えてくれている。より温湿度にもこだわるべき。
つまり、V地域とかW地域における最適なQ値は0.5Wなのか0.7Wか。それとも0.9Wから1.0Wなのか。
このことを1つ1つ実証してゆくことが、V地域及びW地域におけるビルダーと消費者に課せられたこれからの課題。
メーカーをはじめとした研究者や学者先生にも考えて頂きたき課題。

この大きなテーマを具体的に提起いただいたhiroさんに、心から感謝したい。
(完)
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2008年08月20日

温湿度にこだわったhiro邸の家造り白書 (4)


次ぎにhiroさんがこだわったのは気密性能(C値)。
高湿の外気が隙間から流入してきたのでは、折角の努力がモクアミになってしまう。
工務店との契約上のC値は1cm2/u以下。
これをなるべく0.5m2/u以下になるよう努力して欲しいと依頼し、気密測定も石膏ボード工事完了時と完成時の2回行うように頼んだ。
そして、自ら工事現場に足を運び、問題になりそうなところは気密テープを貼って回った。その結果、相当隙間面積は0.2cm2/u(漏気回数は0.33回、50pa)という予想以上の数値が得られた。

さて、いよいよ空調換気システムの選定。
多少イニシアルコストやランニングコストがかかっても、温度と湿度のバリアのない家造りを最重点に掲げていたので、最初からセントラル空調換気システムを考えていた。
そして、以下の4条件をクリアーするかどうかで選別した。
(1) ホルムアルデヒド等の還流の少ない顕熱交換機であること。
(2) 浴室、トイレを含めた全館空調換気システムであること。
浴室とトイレを局所排気にすると、その分漏気の流入を誘い、温湿度を変動させる。
(3) カビを発生させる怖れがなく、クリーンな水道水による十分な加湿が可能であること。
(4) 梅雨時に備えて、十分な容量の再熱除湿エアコンが選べること。
 再熱除湿時の除湿容量はほぼ半減するので、必要容量のおよそ2倍の機種選定の必要有り。

この条件で選定を始めたら、全熱交換のナショナルと三菱電などがまず外れた。ナショナルはどこまでも第3種を奨め、第1種は責任が持てないとのこと。
そして、ヤマタケの「きくばり」とデンソーエースの「Super MDE-U」とダイキンの「エアカルプラス」の3機種が残った。
だがヤマタケは、当時は再熱除湿機能を持った機種がなく、浴室が局所排気だった。
デンソーも再熱除湿機能を持った機種がなく、さらに加湿機能に対する実績が少なく不安。
こうして、ダイキンのエアカルプラスが最終的に残った。

エアカルプラスを選んだのは、上記の4条件の他に、下記の3つの機能が付加されていたことも大きかった。
(1) 再熱除湿機種のほかに、換気ユニットにデシカントの除湿機能がついている。
 急に外気の湿度が高くなった時でも、約4g/kg分除湿した給気が可能。
(2) 光触媒によるクリーン機能がエアコン側にも設定出来たこと。
 循環空気は空気齢も長くなりがち。アレルゲン対策として空気清浄機能は重要。
(3) 細菌やカビの繁殖のおそれが少ない透湿膜加湿が、換気側ではなくエアコン側に取り付けられる。
給気時一度しか加湿できない換気側と違って、循環空気に何度も加湿できるので効率的である。また、温められた空気は、それだけ加湿能力が高まる。

だが、エアカルプラスを選んだものの、以下の4点を解決しなければ採用出来ない。
(1) エアカルプラスはフロアー毎に、天井面に換気と空調のユニットを設置するシステム。これだとメンテナンスが大変。(換気+エアコン)×2ユニットを小屋裏へ上げられるか。
(2) 2階フロアーは心配無いが、1階フロアー分のユニットを小屋裏へ上げると長いダクトによる抵抗で必要風量が確保出来るか。
(3) 再熱除湿エアコンは単相仕様しか選べないので、電気代が大変ではないか。
(4) 建築予定地の近くで、実績のある設備業者が果たして見つかるかどうか。

まず、(1)の換気とエアコンの2ユニットを小屋裏へ上げる問題。
これは、機器の配置スペースとダクトの経路をどう確保するかという問題。特に太いリターンダクトの経路確保は生やさしい問題ではない。しかし、あらゆる可能性を検討した結果、小屋裏直下の階段ホール天井に2台のリターン口を集中配置することとした。次に、1階への3本の150mmφ(外径208mmφ)のダクト経路は、第1回目に紹介した平面図でわかる通り、浴室の側面に大きめのダクトシャフト(1820×455mm)を設定した。このように、なんとかプラン面で解決が出来、メンテナンス性が確保出来た。

(2)はダクトが長くなるので心配だったが、給気側は全て150mmφの内径を確保し、さらにRを大きくとったダクト配置設計と相まって、全ての経路で負荷計算に問題のないことが分かった。

(3)の単相か動力かという問題。
これはネット上に以下のように書き込まれていた。
「東京電力管内ではQ値×延べ坪数が60以下だと単相200V(電化上手)、60以上だと動力の方がランニングコスト上有利」
したがって、上記を信じればhiro邸の規模では単相で大丈夫そうである。そして、実際に詳細なシミュレーションを行った結果、電化上手を選べば動力に対して遜色がないことが計算上で確認出来た。
次は、消費電力とCOPの関係。
下の図はエアカルテット用アメニティビルトインエアコンFLVシリーズの技術資料から抽出した消費電力とCOPの関係図。

COPグラフ.jpg

基本設計が同じなためか、2.8kWの機種(S28FLV)から5kWの機種(S50FLV)までどの出力領域でもほとんどCOPが変わらない。Q値から考慮すると2.8kW(S28FLV)と3.2kW(S32FLV)で十分と考えたが、ダイキンの技術者が設備設計資料通りR2000仕様の50W/uの能力を求めたことと、再熱除湿時は約2倍の除湿能力が必要なこともあり、比較的大きい4kW(S40FLV)と5kW(S50FLV)を選択した。
実際、日中暖房時の2台の消費電力は通常およそ1kW前後であり、1台あたり500W前後。外気温度7℃前後におけるCOPはおよそ5前後で稼働できていると推定できる。全館空調としてはかなりの好成績である。

(4)については、全熱だが全館空調換気システムで実績のあるダイキン系列の冷熱施工業者をなんとか見付けることが出来た。
そして、やっと着工へ。


RIMG6195.JPG

上の写真が小屋裏の機械室内。左側が換気装置で、右手前がエアコン。
手前に太いリターンダクトが見える。

RIMG6193.JPG

この長い小屋裏の奥に、もう1台ずつの換気とエアコンの機器が設置されている。
全ての屋根を屋根断熱とし、その勾配を緩やかにして、なんとか確保出来た空間。

RIMG6183.JPG

1階の居間の壁に取り付けられている空調制御パネル。左列が換気で右列がエアコン。

最終風量測定結果表.jpg

これが最終的な風量測定結果。
まず8ヶ所からの必要な排気量が決められる。180m3/hで約0.4回/時。4人家族としては十分。
そして、給気は11ヶ所。リターン空気を使って2.67回/時。リターン空気量の大きさがわかる。
文字通りの計画換気。

吹き抜けの天窓とシーリングファン.jpg

吹き抜け上部のシーリングファン。ゆっくりとした回転だが1, 2階の温度差を0.5〜1.0℃程度軽減してくれる。

RIMG6203.JPG

RIMG6202.JPG

これが2階階段ホールのリターン口近くに設置されている「おんどとり」。2階の室内温度と相対湿度を記録している。これ以外に1階の勝手口近くに1階室内温度と外気温測定用のものが設置されている。
この結果が、第2回目に紹介した冬、春、夏のデータとして記録。
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2008年08月15日

温湿度にこだわったhiro邸の家造り白書 (3)


温湿度の目標値を設定してこれを実行に移す時、hiroさんがQ値(熱損失係数)とともに気になったのがμ値(日射取得係数)。
工務店が、最初に概算として出してくれたQ値は、第3種換気でありながらR-2000住宅に匹敵する1.4Wというものであった。
これだと、第3種換気を第1種の熱回収システムに変えれば、1.0Wに近づくことが限りなく可能になる。

しかし計画段階の3年前には、北海道や東北ではQ-1運動が起こっていたが、関東以西ではほとんど取り上げられていなかった。
Q値だけで突っ走って、関東以西では問題が発生してこないだろうか?


p127.jpg

Hiroさんが買い求めた坂本雄三著の「新・住まい学」には、上図の冷房期の日射取得係数(μc値)が記載されていた。
この図を見れば一目のように、Q値が小さくなればなるほど、つまり熱損失係数の性能がアップすればするほど、自然室温の上昇が大きくなる。
この図にはQ値が1.6Wしか示されていない。
Q値が1.6Wで、仮にμc値が次世代省エネ基準の0.07であったとしても自然室温上昇(儺)は8℃前後、μc値が0.04まで押さえ込めたとしても5℃前後も上昇する。
Q値が1.0W付近になるとこれより相当大きい温度差が生じると推測できる。
これは問題。
温湿度をコントロールするには、まずμ値を下げなければならない。

そこで、hiro邸では、サッシはすべてシャノンの遮熱Low-Eアルゴンガス入りのペアガラス(K1.5W/uK)とした。
そして、浴室と勝手口を除く全窓に、ハニカムサーモスクリーンの、断熱レール付きの仕様を採用することにした。

しかし、このハニカムサーモスクリーンの最大の欠点は、完全に密閉すると氷点下の寒い朝に、サッシの下部に結露が生ずること。
このため、冬季の間は下部を少し開けて空気が流れるようにしている。
ただし、掃き出し窓の場合だけは朝方に床が冷えることがあるので、下の写真のように窓下専用のウィンド・ラジエーターを取り付けて密閉している。
これをタイマーで深夜電力時間帯だけ作動させる。
サッシとサーモスクリーンのレールとの間隔が70mmあるので、綺麗に納まってくれる。

RIMG5729.JPG

また、この外観写真を見てわかるように、南面の1階の大きな窓にはスイッチ一つで出し入れできる遮熱用のオーニング(サンブレロU)を取り付けた。

住宅特集外観.jpg


こうして、μ値0.025を達成することが出来た。
そして、前記の坂本先生の著書の中の計算式にのっとって、hiroさんは自分で計算して下図を作成したというからお見事。
文系の人間には、逆立ちしても真似が出来ない芸当。
条件は、室内発生熱 4.6W/uで、自宅付近の冬期最大の日平均全天日射量を気象庁のデータから概算し、μ値ごとにプロットしたもの。夏期はエアコンで押さえ込めたとしても、冬季のオーバーヒートは問題になる可能性があったからである。

自然温度差.jpg

この図の横軸は換気を考慮した熱損失係数。
縦軸が内外温度差。
この中の赤線は次世代省エネ基準の0.07。
青線は日射が0の場合。
そして、緑の線がやっとの思いで到達したμ値0.025。
hiro邸のQ値は1.04Wだから日射の無い時との温度差は3.6℃でしかない。これなら熱容量が比較的小さい木造でも、窓開けや換気量を大幅に増やすことなくなんとか制御できると考えた。
これが、温湿度コントロールを可能にした大きな要因の1つである。


hiroさんが3年前に懸念したように、Q値を1.4Wから1.0Wへ、さらには0.7Wから0.5Wへ上げてゆくと、μ値問題以外にも想定外のいろんな問題が派生してくる。
その問題を怖れて、トライを放棄してはいけない。
実践の中で1つ1つ問題を潰してゆくしかない。
とくに夏の除湿の問題は、必要以上に大きな問題になってくる。
そのことの認識が、私を含めて非常に甘い。

北海道の場合は、暑くなれば窓をあけて風を通せば、夏は相対湿度が低いということもあってそれほど問題にならない。
温暖化が進んでゆくと、果たしてどうなるかは分からないが…。

ただし寒冷地でも、Q値を0.7W以上のパッシブハウスになると、3月頃でも陽が当たるとオーバーヒート現象が生じてくる。
そのことを、無暖房住宅にいち早く挑戦している長野の仲間から、2年前に教えてもらった。
「寒気をダイレクトにバイパスを通して入れられる機能を備えた換気装置でないと、冬期のオーバーヒート現象は防げない」と。
パッシブハウスにあっては、冬期はμ値もさることながら換気装置のバイパス機能がより問題になってくるようだ。

また関東以西では、夏期の夜間や中間期で外気が涼しくなってきた時は、熱交換をせずに自動的にバイパス回路に切り替え、外気を導入するシステムが求められている。でないと、いつまでも冷房運転が続いてやたらに電気代がかかる。
だが、涼しい外気を導入するので冷房運転時間が短くなるのは良いが、そのために室内の相対湿度が高くなりすぎる懸念があるのではなかろうか?
この問題の答が、残念ながら今年の夏には出せず仕舞い。
S邸など2棟に対応機種を採用したのだが、除湿能力が不足したため冷房運転時でも相対湿度が高いままで、バイパス効果を確かめるまでには至らなかった。
大きな課題が、そのまま残った。

hiro邸は、自分でグラフをつくるというほどのμ値に対するこだわりと、除湿に対しては2段構えの対策を用意していた。
それを知って、私はパッシブハウスを取り組むための事前の検討が大幅に不足していたことを、今になって痛く反省させられている。
次回は、その除湿対策を中心に見てみることにしたい。
posted by unohideo at 05:19| Comment(0) | TrackBack(0) | 冷暖房と除湿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年08月10日

温湿度にこだわったhiro邸の家造り白書 (2)

空間づくりとともにこだわったのは室内の温湿度。
まず、夏期。
室内温度は27〜28℃。
室内の相対湿度は40〜45%。梅雨時は我慢して40〜50%。

この設定条件については賛否があろう。そこまでやる必要があるかどうかで…。
しかし、トライしてみるだけの大きな価値があることは事実。そしてこの設定条件はどれほど厳しいものであるか。W地域で家造りを担当した者なら身に浸みてわかる。
27℃で相対湿度が40〜45%というのは、絶対湿度が9.2g〜10.3g(DA)ということであり、50%といっても11.4g。12gを大きく下回っている。
これが28℃で相対湿度が40〜45%というのは、絶対視湿度が11g〜12.2g。50%だと13.3g
となる。
こうした目的を掲げたhiroさんには、思わず最敬礼。普通の人は、間違ってもこんな無茶な目標を掲げない。

何度も書いていることで気がひけるが、夏の絶対湿度は経験値から13g以下であるべき。これだとほとんどの入居者から、なんとか○印をもらえる。
絶対湿度13gだと、各温度毎の相対湿度は下記。
30℃   48%
29℃   51%
28℃   53%
27℃   57%
26℃   60%
25℃   64以上

環境省は「夏期の室内の設定温度は28℃にしましょう」と呼びかけている。
「隗より始めよ」ということで、東電などでは応接室以外は28℃に設定し、廊下をはじめムダだと思われる照明は全部消している。
しかし、設定温度を28℃にするのなら、相対湿度を53%にしなければ生産性と意欲がガクンと落ちる。最低限条件として相対湿度は55%でありたい。

ヨーロッパの国々やカリフォルニアなどアメリカ西海岸であれば、空気がカラリとしている夏期に、28℃を厳守してもそれほど従業員に肉体的、精神的な負担を与えない。生産性は落ちない。
しかし高温多湿な日本では、夏期には絶対湿度が16gを越すことはザラ。
往々に17g〜18g台が一週間も連続する。この時の相対湿度は28℃だと70〜77%。26℃だと75〜83%。
カビが生え、ダニが活躍する絶好の条件。
室内空気質問題は、ついこの前まではホルムアルデヒドなどの化学物質問題であった。
しかし、ヨーロッパでは化学物質問題はもう存在しないと言っていい。今、問題になっているのはダニ、カビによる空気汚染による喘息やアトピー。
ただ日本と異なるのは、日本は夏が問題だが、ヨーロッパでは全館暖房が当たり前になって、雨天で高湿度が続く冬期にダニやカビが発生。

28℃で生活しなさいということは、過酷な労働条件をサラリーマンに押しつけ、非衛生的な空気環境を家庭に強要するということになりかねない。
環境省は、少し考えをスイッチして欲しい。
「相対湿度を53%に抑えるイノベーションによって、室内の空気質を保ちながら設定温度を28℃にしましょう」とか、思い切って「45%の相対湿度を達成して30℃の温度設定にしましょう」という具合に…。
日本の空調換気メーカーの技術は世界的なレベルにある。環境省がそのような目標値を設定さえすれば、すぐにでも使えるイノベーションが開発されている。

一方、冬期はどうか。
東京の場合だと外部の絶対湿度は平均で4g以下。
この空気を加湿せずに21℃にまで上げると相対湿度は25%でカラカラ。
ノドは乾くし肌は荒れる。
ビルで来客にケーキを出したとしょう。お客が手をつけなかったので30分後に引き下げたら表面はカサカサになっている。
ともかく過乾燥のビルや住宅が多く、ストレスは溜まり放題。

Hiro邸では当初25℃で相対湿度40%を狙った。これまた欲張った狙い。その良否は問わない。
ところが、室温を25℃で40%に上げると、サッシの下部に薄い霧がかかる。このため24℃の40%で我慢しているという。
この場合の絶対湿度は7.6g。屋外の絶対湿度の2倍の量に加湿しているということ。
施主に満足してもらえる冬期の相対湿度は、これまた経験的に言うと20℃で40%がメド。絶対湿度で6g。
しかしこの6gは、室温が上がると相対湿度は下記のように下がる。
20℃  40%
21℃  38%
22℃  36%
23℃  34%
24℃  32%
一般的に言って、24℃で32%が限界で、これ以下だと風邪にかかりやすく、静電気も発生して、生活の質が著しく低下。

このようにhiro邸は、夏も冬も、信じられないような快適な温湿度空間を目指してスタートした。
そのために、いろんな試行がなされたのだが、果たして目的は達成出来たのかどうか?
いきなりだが、今年の冬、春、夏の3シーズンの「おんどとり」によるデータを見ることにする。

空調の目標値はすでに述べた通りだが、念のために記しておく。
冬 期   24.5±0.5℃、40±5%RH、空調制御
中間期   24〜28℃、35〜50%RH 、空調送風のみ
夏 期   27.5±0.5℃、45±5%RH、空調制御


20080120冬_hiro.bmp

これが冬のデータ。
期間は2007/12/23〜2008/1/20。
上の青線が2階の相対湿度。
中央の赤線が1階で、緑が2階の室温。
下の赤線が外気温度。
室温の日較差はほぼ1℃以内。相対湿度が40%前後に収まっているが、35%を切っている時も数回はある。


20080601春_hiro.bmp

これが今年の5/4〜6/1のデータ。
中間期は空調をオフ。このため日較差は多い日で2〜3℃。だが24〜28℃の範囲内。
ただし、5/10日から16日の6日間は、急激に外気温が下がったので最低限のパワーで暖房をしたという。


20080803夏_hiro.bmp

これが夏。7/16〜8/3のデータ。
梅雨時は相対湿度が45〜50%を記録しているが、梅雨があけてからは40〜45%の間で推移している。

このように温湿度とも、ほぼ完全にコントロールされている。
このデータを見たとき、「お見事」と言うよりは「負けた」と思った。
文字どおり「脱帽」である。

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2008年08月05日

「hiro@首都圏」邸の温湿度にこだわった家造り白書 (1)


hiro邸は2年余前の2006年4月に完成している。
限りなくV地域に近いW地域。

その2年前から住宅展示場巡りを始めた。
各住宅メーカーは、それぞれに自己主張をしている。
どの主張が正しいのか、目移りしてよくわからなかった。
最初は、ヘーベルの「地震に強く風通しに最善の配慮をした住宅」がなんとなく気に入った。
だが、自分たち家族がどんな家を求めているのかという、肝心の軸足がハッキリしていないことに気が付いた。

ご主人は軽い喘息持ちで当時アトピーがひどくなっていた。奥さんは寒いのが大の苦手で、寒いと持病の腰痛がつらい。2人の子供の内、下の子供もどちらかというと喘息気味。
その悩みを解決してくれる住宅は高気密・高断熱だということが次第に分かってきた。
つまり、空気にこだわるべきであると…。

空気にこだわるには、まず気密性能がしっかりしていないと話にならない。
隙間から排気ガスや散布した農薬が侵入してくるようでは、とても健康な住宅とは言えない。
ところが、展示場に出展していた大手住宅メーカーで、完成住宅の気密測定を自主的に義務付けているところが一社もなかった。
つまり、気密性能をほとんど無視して、それ以外で自己主張をしている。

そこで、建築予定地の近くで高気密・高断熱住宅を建ててくれそうなところをネットで探したら、フランチャイズシステムのスーパーウォールとFPしか見当たらなかった。
この頃になるとhiroさんの研究熱は高度なものになっていた。
W地域の次世代省エネ基準のQ値2.7Wでは話にならない。できればR2000の1.4W、最低でも1.6Wを達成したい。
その性能を条件に、スーパーウォールとFPの代理店に相談した。

スーパーウォールは、北海道ではR-2000住宅に準ずる14cmの壁厚の206材によるシステムを発売していた。しかし、内地では要望が低いので生産していなかった。
「北海道からパネルを運ぶと割高になる」と言われて諦めざるを得なかった。
一方のFPの家も外壁は10.5cm厚が標準仕様。
Q値1.4Wを達成するには熱伝導率が0.023Wの硬質ウレタンで、外壁が12cm、屋根が14cm、床が10.5cm厚のパネルでなければならない。
ところが、地元密着の某工務店が「それと同様の仕様を特注で作ります」と言ってくれた。
「もちろんC値(相当隙間面積)も1.0cm/m2を必ず切ります」という条件で。

こうして、本格的なプラン造りが始まった。
プラン造りに当たってこだわったのは、南中央部に設ける大きな吹き抜け空間。
家の中での温度差を無くしてゆこうとすると、全体をワンルーム空間にするに限る。
1階は、洗濯室やトイレ、シューズルーム以外は一切仕切らない。
そして、面白いのは断熱空間内に断熱パネルと断熱ドアで仕切った食品庫(保冷庫)を設けたこと。高気密・高断熱住宅では特に夏期、食品の保存に適した空間がどこにも無い。冬期も温かい部屋の中に煮物などを置いておくと足が速い。これを防ぐとともに野菜など生ものの保存のため。

2階は、主寝室と洗面・トイレ、浴室だけが仕切られていて、子供室は吹き抜け空間と一体化していて、閉鎖性のないノビノビ空間。


住宅特集間取り.jpg

これがhiro邸の平面図。
建築面積が約80u、法定面積約138u、吹き抜け面積約20u、気積454m3。
小屋裏の機械室までも含めると実質50坪の空間を持つ家と言って良い。


111.jpeg

これが大きな吹き抜けを持った内部の立体空間。
集成材による4寸の木軸金物工法で、大きな集成梁が印象的。
小屋裏までが一体空間として繋がっている。
火打ち材の存在がやや煩わしいが、耐震性を考えると当然の処置。
なかなか得難い楽しい大空間。


333.jpeg

これは、ダイニングから玄関方向を見た写真。
吹き抜けの中央に4段あがった書斎の存在が分かる。
床には畳が敷かれていて、ごろりと横になることも出来る。
また、居間の南面の壁にはスクリーンが収納されていて、映画を楽しむほか書斎のパソコンの画面を拡大して投射することも出来る。


RIMG6186.JPG

全体がワンルーム方式だが、閉ざす空間は徹底的に閉ざしている。
吹き抜けに面する主寝室の窓には、サッシが用いられている。

RIMG6185.JPG

そして、入れ口のドアも気密性を高めた簡易遮音ドア。
アンダーカットなし。
このため、排気口がクロゼットの上に取り付けられ、廊下へ流れるようになっている。
もっと遮音を徹底する必要があるピアノ室などの場合は、給気ダクトと排気ダクトの両方を1つの部屋に設けることがある。


RIMG6206.JPG

そして、面白いと思ったのはトイレのドア。これもアンダーカットされていない。
アンダーカッターの変わりに、写真のような空気の吸い込み口が廊下の壁に設けられている。トイレの天井面には排気口があるので、この廊下の吸い込み口から常に空気がトイレに流れこんでいる。
このアンダーカッターをなくしたことにより、何デシベルほど排水音が小さくなるかについてのデータ的な裏付けがあれば、採用する人が増えるかもしれない。

ともかくhiro邸には、さまざまな独創的な工夫が満ちている。
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2007年07月20日

今年もやっぱり絶対湿度!


私の絶対湿度の測定方法のいい加減さは、前に書いた。
朝7時か8時頃、温湿度計を北側の窓の外に10分ほど出しておいて、温度と湿度を測定し、空気線図で絶対湿度を推測するという、極めてシンプルな手法。

しかも、測定時間が定まっていない。
用事があったり忘れた時は、10時頃の時もあれば16時の時もある。
気象庁に話したら、大目玉を食らうことは間違いない。
私の測定は個人的な趣味みたいなもの。
研究論文を発表しようなどという目論見は一切ない。

夏期の快適性には湿度が大きくかかわっていることは衆知の事実。
そしてその湿度とは、今までは相対湿度のことであった。
このことを否定しようなどという大袈裟なことを考えているわけがない。
ただ、昨年41日に亘って絶対湿度を記録してみた。 
そしたら相対湿度もさることながら絶対湿度が私共の快適性と省エネ性に大きく関わっているという、ごく当たり前のことに気がついた。

そこで、今年は測定日を41日ではなく60日ぐらいにしたいと、7月12日から測定を開始してみた。
今朝までの9日間の数字は下記のごとし。
ただし、恥ずかしいので測定時間の記入はしない。

日   温度  相対湿度  絶対湿度
12    27℃   81%   0.018【kg/kg(DA)】
13    24    88    0.017
14    21    92    0.0145
15    25    96    0.0194
16    25    65    0.013
17    21    85    0.0134
18    20    89    0.0134
19    23    74    0.0133
20    22    75    0.0126

たった9日間の記録で、とやかく言うのはおかしい。
しかし、先週と今週の過ごしやすさの違いが、絶対湿度にはっきり表れている。
先週までは、梅雨ではなく夏を思わせる暑さだった。
暑いだけでなく、ジトジトとして嫌な日が続いた。

とくに台風が関東の南を通過した15日の絶対湿度は0.0194。
私が昨年記録した東京の最高絶対湿度と同じ。
いくら湿度が高いと言っても、東京では絶対湿度が0.02台になることはめったにないらしい。

そして、台風一過の快晴というわけにはゆかなかった。
今週は、雨が降ったり、時には陽がさしたりの曇天の日が続いている。
しかし、台風が過ぎ去ったあとは絶対湿度がガクンと下がった。
16日に0.13となり、それ以降も0.13台をキープしてくれている。
0.13台であれば、クーラーを入れる必要がなく、窓を開けて扇風機を回せておけば凌げる湿度。

そして、今朝はなんと0.0126。
0.013を切ったことは、昨年1度しかなかった。
そしてわが家の室内の温度は26℃で、相対湿度は65%。絶対湿度は0.014。
つまり、外気の方が温度、絶対湿度とも低い。
そこで、さっそく全部の窓をあけ、空気を入れ換えた。
現在は室温が26℃と変わらないが、相対湿度が61%となり、絶対湿度は0.013。
全員が快適と感じる範疇。

梅雨時にも、こんな天の恵がある。
したがって、梅雨時だからという固定概念は、捨てるべきのよう…。
そして、こんな数字を気象庁が発表し、テレビでも伝えてくれたらいいなと思う。

そんなわけで今年夏も、絶対湿度と付き合ってゆくことにしました。
posted by unohideo at 07:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 冷暖房と除湿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月10日

東京の夏、窓を開けて良い日はたった3日しかない!

昨年の夏、8月の3日から9月の12日までの41日間。毎日絶対湿度を測定した。
測定したといっても、素人のやること。
毎日時間をきちんと決めていたわけでも、日に何度も測定したわけでもない。
大体朝の8時前後に測定した数字を手帳に書いただけ。
時には忘れていて午後になって測定したこともある。

こんな幼稚な測定で問題を提起しょうというのだから、いささか気がひける。
しかし、ど素人の言い分も聞いてやって下さい。
まず、41日の絶対湿度χ〔kg/kg(DA)〕の分布。
いずれも「4捨5入」した数値。

0.010   1日
0.013   2日   
0.014   3日
0.015   6日
0.016   3日
0.017   8日
0.018   5日
0.019   13日

絶対湿度が0.013以下の日は大変過ごしやすい日。これがたったの3日だけで、パーセントでいうならば7%にすぎない。そして一番絶対湿度低かったのは9月の5日の13時。33℃で相対湿度は30%。なんと0.010を割り0.0097と信じられない低さ。
温度は33℃と高かったのだが、冷房は必要なし。快適そのものの爽やかさ。
東京にもこんな夏の日があったのだということを発見。

そして、0.014から0.016という「蒸し暑いには暑いのだが、なんとか凌げる」という日が12日で29%。

これに対して誰でもが不快と感じる0.017以上の日が計26日で、なんと63%も占めている。つまり、東京の夏は2/3はクーラーがなくては生きてゆけない日々。
足を水につけ、扇風機を浴びて居ればクーラーがなくても呼吸はできるが、とてもまともに仕事に励むという環境ではない。そして、熱帯夜で安眠が妨げられる。
なかでも0.019台の日がなんと13日で32%。
1/3が不快も不快、大不快の日々。
とくに8月15日からの10日間は、連日猛暑続きと言ってよかった。

ダイキンの除加湿機能付きのセントラル空調換気システムの住宅を、なんだかだと400戸近く売ってきた。
そのうち入居して築一年以上経過した施主宅を約300戸訪問し、直に皆さんの率直な感想を拝聴してきた。
その結果、温度と湿度の関係で、人々が「快適」と感じる条件は以下であると言えるのだと思う。
昨年、何度となく書いたことだが、再確認させて頂く。

温度    相対湿度   絶対湿度
25℃以下   80%以下   0.016以下
26℃      60%      0.013
27℃      55%      0.0125
28℃      50%      0.012
29℃      45%      0.0115
30℃      40%      0.011

暑いとか寒いというのには、大変に個人差がある。
訪問して「暑い」と思うのに、「寒くて困る」というクレームがあったりする。
そうかと思うと、こんなにガンガンに冷やさなくてもと思うほど、設定温度を25℃以下にしている家庭もある。
したがって、決めつけることは出来ないが、最大公約数として上の数値を挙げることが出来る。

まず言いたいのは、25℃以下であると、相対湿度が80%で、絶対湿度0.016であったら、ほとんどの人は不快とは感じない。
温度が25℃以下だと、相対湿度が85%を超えないと不快とは感じない。
したがって、湿度が高くて不快だと施主から文句を言われたことはない。

ところが、室温が26℃を突破すると、途端に不快感を覚える。
そして、かなり以前に紹介した東京ガスの約300人の人体実験からも、大多数の人々が快適と感じるのは26℃だと相対湿度が60%、絶対湿度が0.013。
これが27℃だと55%で0.0125。
28℃だと50%で0.012。
政府は「28℃の設定温度で生活しましょう」と呼びかけている。
しかし、いくら呼びかけても、相対湿度が限りなく50%に近くにならない限り、人々は28℃には我慢が出来ない。日本はヨーロッパのように夏の相対湿度が低くはない。
したがって27℃とか26℃に温度を設定して生活している。

そして室温が29℃でも、相対湿度が45%、絶対湿度か0.0115であれば平気で生活出来るし、さらに30℃であっても40%、0.011であれば十分に快適。
先にあげたように、昨年の9月5日の外気温は33℃と高かった。しかし相対湿度は30%で、絶対湿度は0.0097であった。
私は窓という窓を全部あけ、家の中の高い絶対湿度の空気を外部の低い空気と入れ換えた。えらく得をした気分だった。

よく「外気温度が25℃を切ったら、窓を開けて外気を入れ、クーラーを切るべきだ」という自称エコ派なる人がいる。
この人たちは人間が感じる快適さは「温度」よりも「相対湿度」であるというイロハのイさえ知らない人々。
ヒートアイランド現象で、高温多湿の東京などでは、たとえ外の温度が低くても、絶対湿度が室内より高い夏には、絶対に窓を開けてはならない。
窓を開けることが、不快感を呼び、睡眠不足が原因で病気になって、結局は高い医療費を払うなどということになる。
我慢のツケは別の形で表面化する。

昨年の夏、東京で窓を開けて良い日はたった3日しかなかった。
この事実を、余りにも多くの人々は知らない。
日本の夏は、とくに東京の夏は、窓を開けずに如何にして室内の絶対湿度を0.013以下にしてゆくかという闘い。
この大問題に対して、大手住宅メーカーは何一つ解決策を用意していない。

「しがねぇ素人のつぶやき」と笑って、今夏も過ごさねばならないようだ。


posted by unohideo at 06:28| Comment(0) | TrackBack(1) | 冷暖房と除湿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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