2007年01月25日

熱交換機に必要なバイパス回路   判明した問題点(中)

かなり以前からのこと。
北海道のビルダー仲間から聞かされてきたことがある。
「断熱材を厚くすると、春先にオーバーヒートしてしまう!」と。

夏の話ではない。
まだ、寒風が吹きすさぶ冬期に、陽がサンサンと注ぐと室内の温度が上昇して、窓をあけないと暑くてたまらないというのだ。
「何を贅沢なことを言っているか」と今までは気にも留めないできた。

ところが、信州の無暖房のモデルハウスでは、春先ではなく2月の時点でオーバーヒートの現象が見られるという。
真冬に、窓を開けないと生活出来ないと言うのは、なんとも皮肉な話。

なぜこんなことが起こるのか。
それは、無暖房住宅の場合は、今までの第三種換気に変えて、第一種の熱交換型の換気を導入したことによる。

第三種換気は、各室に開けた穴から直接外気が吸入される。
何回も同じことを書くので気が引けるが、北海道では給気口の直下にラジエータがあって、寒気が中和されてちょうど良い温度となる。冷たい外気が常に入ってくることによってオーバーヒート現象が抑えられている。
ところが、クーラーで暖房をとっている東京では、給気口から入る冷気は、そのまま床に落ちる。いわゆるコールドドラフト現象が起こる。このため、東京では第三種換気を採用している以上は、どんなに断熱材を厚くしたとしても、オーバーヒート現象が起こる心配は不要。
嬉しいような、哀しいような…。

そして、床、壁、天井の断熱材をいくら厚くしても、暖房費はそれほど変わらない。
開口部と換気から80%以上の熱が逃げている。
熱が損失している。
K値が2.33Wの断熱サッシを用いていると、おおまかに言うならば開口部からの熱損失が40%で、残りの40%が換気ということになろう。

なにしろ、暖めた室内の空気の半分を捨てなければならない。
日本の法律はそのようになっている。
毎時間、毎時間。一時間の休みもなく「室内空気の半分は、機械換気で捨てなさい」と建築基準法が叫んでいる。

半分の暖気をただで捨てているのはもったいない。
その熱を回収しようではないか、というのが熱交換型の換気システム。
今まで市販されていた国産の熱交換機は「熱の回収率が70%はあります」と言っていたが実質は65%程度のものであった。かなり精度の低いメカにすぎない。

ところが、最近になって強い国際競争力を付けてきているスイス、フィンランド、スウェーデン、デンマーク、ドイツという北ヨーロッパの各国。経済成長率が高と言われる中国やインドなども、その国際競争力では到底及ばない。
高い教育水準と社会環境の良さに加えて、意識水準が高くてCO2の削減でも常に世界のトップを走っている。
そして、これらの国々で、今注目を集めているのは熱回収率90%以上という高熱回収率の熱交換換気システム。

日本では、未だに第三種換気装置を讃歌して、第一種換気を貶すことが高尚な任務だと勘違いしている人がいる。

曰く、第一種換気は、給気側のダクトの中が汚れて空気質が大変に悪く、スウェーデンでは法律で清掃を義務づけている。
曰く、第一種換気システムは内外の圧力差がほとんど生じないために自然漏気量が第三種よりも多くなる。
曰く、熱回収換気システムとして「空気→空気」方式は効率が悪く、回収される熱は年間せいぜい2万円程度であり、イニシアルコストを回収するにはかなりの年月がかかってしまう。
また曰く……。
20年から30年も前の固定概念からから抜け出していない。

ともかく、40%以上も占めている換気という大きな熱損失。
これにトライしようという意欲のない人を、プロとして崇める時代ではない。
ドイツを中心にすさまじいトライが始まった。
そして、日本でも新しい胎動が見られます。古い固定概念を捨てる時。

そして、新しい熱交換機に求められている性能が明確になってきた。

第一は、熱回収率が90%以上と高いこと。これは絶対の条件。
つまり22℃の室内から排出された空気が20℃の新鮮空気となって室内に導入される。そうすれば内部発熱で、ほとんど暖房しなくても高い室温が維持出来る。

第二は、バイパス機能を持っていること。
つまり、超高気密高断熱で、室温がオーバーヒート状態になった場合には、熱交換の作動を中止して、外気をそのまま導入するバイパスの存在が不可欠の条件になってきたということ。
そして、これは寒冷地よりも温暖地においてより求められてきた機能であり、システムだと言える。
バイパスのない今までのシステムでは、中間期においても冷房運転が避けられない。外気よりも室内の温度が高くなり、場合によっては11月でも冷房運転を行う必要があるというシミュレーション結果が得られている。
それが、外気の温湿度をセンサーで感知して、熱交換を停止し、バイパスを通じて爽やかな外気を自動的に導入出来るようになるならば、これによる省エネ性と快適性のメリットは計り知れないほど大きい。

第三は、顕熱交換機ではなく、全熱交換機で、しかも熱回収率90%という可能性が出てきつつあるということ。
日本が開発し、世界各国の追従を許さない光触媒の技術。
この先端技術が、世界の換気システムを一新する可能性が高い。

無暖房住宅という突飛で無謀な住宅への取り組みが、結果としてこうした新しいイノベーションを呼び起こすかもしれない。


posted by unohideo at 07:42| Comment(2) | TrackBack(0) | 空気質と換気 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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