2008年07月05日

太陽光発電が原発を凌駕出来る条件とは?


「素人の、怖い物知らず」という言葉がある。
今回の私が、まさにそれ。
現時点では全発電量の0.1%も占めていない太陽光発電に、原発を凌駕する可能性があるかどうかを探ろうというのだから、無鉄砲さに呆れる。
せめて今月末のPV Japan 2008に参加して、専門家の意見を聞いてからにすべきだろう。
だが、それだと「怖くて発言出来ない」ということになってしまうはず。
したがって、間違いだらけで、恥を覚悟の上の戯れ言。

2005年の日本の総発電量は9890億kWh。その内訳は下記。
原子力    3070億kWh
石炭     2470億kWh
天然ガス   2370億kWh
石油     1090億kWh
水力      790億kWh
その他     100億kWh

この、その他の中で太陽光、風力、バイオマスがどれくらいの比率を占めているのかがよく分からない。
今までの太陽光発電の累計設置容量が30万kW程度と推測すると、その発電量は原子力発電のたった0.1%程度のものにすぎない。

さて、この3070億kWhの原子力発電は、54基、4822万kWの設備で達成されたと考えてよいはず。
そして、現在建設および計画中の原発は13基で、これが完成すると6488万kWという能力になる。
つまり、2015年には4300億kWhという年間発電量になり、原発の比率は43%と10年間で12%もの大幅な増加を見せるということになる。
こうなると、深夜電力の利用拡大が、電力会社にとって中心的な課題になってこよう。
深夜電力を利用しての電気自動車の普及が一気に進むかもしれない。

原子力発電所の建設単価を見るとkW当たり40万円程度はかかっている。
これからの認可出力が110万kWではなくて130万kW程度ということになると1基の建設に5000億円以上はかかるという勘定に。

そして、原発はこうした建設費以外に国家の予算がからむ。
2004年度の電源特別会計予算概要では5000億円。
このうち2600億円は「電源立地勘定」
つまり原発周辺地域の整備などのための交付金、補助金、委託費など。
残りの2400億円は「電源利用勘定」
これはいろんな名目で当該地域にばらまかれている。
ということは、原発一基当たり毎年平均80億円から90億円もの大金が、資源エネルギー庁の予算として税金から支出されているということ。

よく経済産業省の資料を見ると、原発の発電コストは、天然ガスや石油、石炭、水力に比べて一番安いと強調している。
しかし、こうした電源特別会計という税金までも含めて考えると、それほど安いとは言えないという気がするのだが…。

さて、私は現在進められている原発の開発計画や建設を中止すべきだと言うつもりは毛頭ない。43%まではやむを得ないと考えている。
しかしこれを、さらに50%から60%へと比率を高くしてゆくことこそが賢明な選択肢だという電気事業連合会の発言には、どうしても疑問符がつく。
そこで、Voice 6月号の慶大清水浩教授の「全人類が太陽電池で暮らす日…4つの技術によってCO2は95%減らせる」という提案の尻馬に乗って、簡単な作業を行ってみた。

まず、エコカーでお馴染みの清水理論を簡単に紹介する…。

世界の66億人が、今のアメリカ人と同じ贅沢なエネルギーの使い方をしたとしても、地球の陸地のわずか1.5%に太陽光電池を設置することで達成出来る。
太陽電池の弱点は原材料のシリコンが足りないことだが、シリコンは硅素のことで土の主成分。純度の高いシリコンの入手は難しいが、太陽光用の原材料は心配ない。

現在の太陽光発電のコストは50万円/kWが相場といわれている。年間発電量は1000kWh/kWというところ。これだと減価償却に20年かかり、消費者にとってはよほど予算に余裕のある人でないかぎりメリットがない。
工業製品には10倍の需要を創れば価格が半分に下がるという法則がある。
実際に太陽光発電は、この12年間で1/5になってきた。
製品の寿命が原発のように40年になることが価格面からみても重要であるが、仮に製品寿命が20年のままとしても需要が今の100倍になればコストは6円/kWhと、原発の価格とほぼ同じになる。
日本は、太陽光発電で日本の需要を一段と大きく開発しながら、世界のシェアの50%を維持してゆくという基本政策を、強力な国策として持つべき。

従来の電力消費量は1兆kWh。これから将来に発生する熱源としての電力量が0.9兆kWh。それに自動車を電気自動車に変えた場合の必要量が0.1兆kWh。さらに水素製鉄に切り替えると0.7兆kWhが必要に。そしてこれらを合計しても2050年の電気消費量は2.7兆kWhでしかない。
NEDOの計算では全部の住宅と建築物、さらに農業放棄地に太陽光発電を設置すると8兆kWhの発電が可能だという。その電気をリチウムイオン電池で蓄え、送電のムダを省く。そして電気自動車に切り替えるというドミナントテクノロジーを展開すれば、CO2は革命的に減少させることが出来る。
というもの。

さて、清水理論によると、今議論しなければならないのは日本の国内で太陽光の需要を如何にして10倍にするかという方法論。
そうすれば価格は半分の25万円/kWになる。

しかし私は、アプローチはとしては需要拡大策よりも消費者の投資意欲への刺激策こそが肝心だと考えている。
10年間で投下資金が完全に償却出来るということを、消費者に実感してもらう条件整備こそが、キーポイントだと考えている。
これをドイツのように8年とか9年で償却出来るようにした方が、よりインセンティブを与えることは間違いない。だが、そこまでやる必要はないと思う。
例えば、年間売電23,000円/kW能力の太陽光を4kW搭載したとする。年間の売電92,000円。10年間で92万円となる。
この範囲内に太陽光発電のイニシアルコストを収めるべき。
ということは92万円÷4kW=23万円/kW。
これが消費者にとって、現時点での太陽光発電で許される適正価格。
10年間で元が取れ、それからの10年から20年間は毎年9.2万円ずつ余分な収入があるということであれば、先行投資の価値が誰にでも分かる。

これを実現するためにはどうすべきか。
まず50万円/kWの売価からメーカーは工事費として8万円を無条件で安くする。安くしなかったメーカー製品は補助金の対象から外す。
50万円−8万円=42万円。この42万円から消費者の適正価格23万円を差し引くと19万円の差が出る。
この差、つまりkW当たり19万円を国が補助をする。
これは、特定の人が宝くじに当たったような形で補助を受けるのではなく、耐用年数が30年以上見込める全住宅に、最高10kWまでを限度に無条件での補助。

原発一基の建設費が5000億円。
この5000億円の補助金で、なんと263万kW分もの太陽光発電が設置される。
その数値そのものは原発二基分に相当すると考えがち。しかし、太陽光発電の年間発電量は1050kWh/kWだから28万kWhにすぎない。
原発の1/3程度の能力しか得られない。
そして、数年経って価格が1/3になったら、太陽光発電は、原発と同等になるだろう。
しかし、そこまでの道のりは簡単なものではない…。

この263万kWは、1戸平均が4KWとすると66万戸分に相当する。全ての新築戸建て住宅に搭載してもまだあり余る数字。既存住宅でも受け付ければよい。これだけのメリットがないと、一気の普及は覚束ない。
つまり、これはいままでの補助金ではなく、国民に新しい発電所へ建設費を負担してもらうための誘い水。意識革命の一石。
どこかの政党のばらまき予算とは異質のもの。

そして、一定のところまできたら、国ではなく電力会社が補助金を出しても採算ベースに乗る話。必要な昼間により多く発電してくれ、しかも送電コストが安くなるのだから、メリットが多いはず…。

この政策を10年間進めると、原発5基程度は設置しなくても良い勘定になる。
さらにその10年後は、清水先生の予言のように太陽光発電がもっとも優れた発電施設として認知されるだろう…。
いずれにしても、ど素人の「ドイツかぶれの白昼夢」とお笑いあれ。
と同時に間違いの指摘も、宜しくお願いいたします。
posted by unohideo at 05:26| Comment(2) | TrackBack(2) | CO2と環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月30日

日本のガソリンは本当に高いのだろうか?


田中角栄が、日本の道路を整備するために、ガソリンに暫定的に高率の税金を課して、これを道路特定財源として活用してきた。
この特定財源をやめて一般財源化する構想は、小泉内閣と安倍内閣で政策課題として提起されてきたが、いわゆる道路族の抵抗に遭遇し、陽の目をみていない。
国土交通省は、絶対に利権を手放す考えはない。

ここに、民主党が強引に加わってきた。
ガソリン価格が高騰し、リッター150円を突破すると、おいそれとマイカーで買い物にもゆけない。
東京などの大都市では、電車、地下鉄、バスなどの公共輸送機関が充実している。
マイカーでなくても、バスや地下鉄が利用出来る。
そうしたバスなどを使わなくても、10分も歩けばスーパーマーケットがある。
自転車でも間に合う。
マイカーに頼らなくても、日常の買い物に決定的な影響があるとは言えない。

ところが、地方都市では、マイカーがないと買い物も出来ない。
1時間に一本しか走っていないバスを待つことは実質的に不可能。
ということで、揮発油税の暫定税率を今年の3月で廃止すれば、ガソリンが25円安く出来る。
これは消費者にとって、特に地方都市の消費者にとって福音。
これを、政策の中央に据えて、福田内閣を徹底的に潰しにかかる方針を定めたとしてもおかしくはない。
地方財政がなんだかだという議論があるが、消費者にとってガソリンが25円安くなるという魅力は、他に代え難いものがある。
「これで勝負だ!」と出たのは、政治家としては1つの選択肢であり、国土交通省や財務省の役人がとやかく言える筋ではない。


たまたま早稲田大学の野口悠紀雄著「超経済脳で考える」(東洋経済社刊 1700+税)を読んでいたら、その一節にガソリンの問題が取り上げられていた。

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上図は、同著に掲載されている日米のガソリン価格の比較。
アメリカで何回か給油したことがある。
リッターとガロンの換算がうまく出来ず、セルフで入れる場合に、何ガロン入れたらいいのかすぐピンとこない。
都度、手帳の換算表を見て、1ガロンは約3.8リッターであることを確認しての給油。
そして10ガロン(37.85リッター)入れても昔は2000円強だった。
たしかにアメリカはガソリンが安いと実感させられた。

このガソリン価格の安さは、早くからセルフサービス方式を採用し、ムダな経費を省いていたからではあるが、野口教授が指摘するようにガソリンにかかる税金が日本とアメリカではまるきり違う。
アメリカはリッターに換算するとたったの11円。
これに対して日本はアメリカの5倍の56円。
ガソリンの価格の差は税金の差だったのだ。
したがって、野口教授は特定財源をやめて一般財源化すべきである、と主張している。
そして、一般財源化すれば、全部を民主党の言うように減税にしなくても、一部でも減税に回すことが可能であると説いている。

この著書を読むと、民主党の言い分が正論のように感じる。
しかし天の邪鬼の私は、野口教授の日米だけのガソリン価格の比較は大きな誤った判断を国民に与えることになると警告したい。
というのは2年前、厳寒のスウェーデンのパウダースノーの道を、ホームスティしたおじさんのシビックに同乗し、ガソリンを入れるのに付き合った。
2年前で、スウェーデンではセルフでリッター175円もしていた。
日本より、はるかに高いのにびっくり。

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上図を見て頂きたい。
資料が若干古く、パソコンの画面を写したものだから、よく見えない。
各自で、下記URLを開いて頂きたい。

http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/133.htm

この図はOECD諸国29ヶ国のガソリン1リッター辺りの価格と税(2006年第2四半期)の一覧表。
これを見ると、日本のガソリン価格は、低い方から8番目だということが分かる。
そして約2年前で、リッター価格が180円を突破していた国が13ヶ国もあったということも分かる。

韓国、イタリア、ポルトガル、スウェーデン、フランス、デンマーク、フィンランド、ベルギー、ドイツ、イギリス、オランダ、ノルウエー、トルコでは、税金が日本の2倍以上だということ。
このうちの韓国とトルコを除けば、すべてヨーロッパ。
中でも北欧3国とドイツ、イギリス、オランダ、ベルギーのガソリン価格が高い。
それは、すべて税金が高いから。

ガソリンが高いから、当然灯油も高い。
最近の価格は知らないが、スウェーデンでホームスティした家では、地下車庫に設けられていた大きな貯油庫に、一冬分を蓄えていた。
正確な値段を忘れたが、2年前で東京の倍近い価格にびっくりした。
ヨーロッパでは、地域暖給湯しているエリアは良いが、一戸建て地域では灯油の価格が大問題であることを知らされた。

ガソリンや灯油が高いから、ドイツ10年前から3リッター/m2ハウス運動が起こった。一冬の暖房に使う灯油代を平方メートル当たり3リッター以内にしようという運動。
これが最近の1.5リッター/m2ハウスの、パッシブハウス運動に転換した。
それほど、灯油の価格が高く、寒冷地に生きる者にとって大問題。

これに対して、アメリカではガソリンや電気代が安い。
デトロイトあたりの安アパートでも10月から5月までのセントラル暖房がオーナーに義務付けられている。
このため、国民はジャブジャブと油と電気を使い放題使ってきた。
このため、省エネに対する国民の関心が高まらなかった。
アメリカでCO2に対する認識が低いのはブッシュ大統領の責任だけでなく、ガソリンや灯油に対する税金が安く、人々に危機感を持たせてこなかったことが大きい。

こういう風に考えてくると、日本が省エネ運動にイマイチ関心が低いのは、ガソリンや灯油の税金が、世界各国に比べて低いからだと言えないこともない。
あまり政治談議はしたくない。
しかし、こうしたことがわかってくると、民主党の政策に全面的に賛同することが出来なくなる・・・。審議拒否は茶番。
必要なのは一般財源化。
したがって、もちろん自民党の道路族や国土交通省の役人共にも賛成するわけにはゆかない。


posted by unohideo at 13:45| Comment(0) | TrackBack(1) | CO2と環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月25日

地球温暖化防止に果たす「菌」の想像以上の大きな役割


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小泉武夫著「菌が地球を救う!」(宝島者新書 700円+税)


日経の夕刊に掲載されている著者の「食あれば楽あり」の「チュチュルル」とか「コピリンコ」などという変な擬音入りの食べ物記は、正直言って鼻についてきた。
「週間朝日」に連載されている東海林さだおの大向こうを張ろうということだろうが、東海林氏が遊び半分で楽しんでいるのに対して、ふざけながらもやたら食通ぶりを見せびらかすのが楽しくない。
しかし、氏の著作は30冊ちかくを読んでおり、発酵に対するウンチクとその弩迫力にはいつも感心させられてきた。

氏の著作を何冊か読まれた方には、この著書を手にすると2/3は鮮度を感じないだろう。
ほとんどがすでに書かれてきたこと。
しかし、地球の温暖化を阻止するという視点から、発酵を多面的に考え直して見たという点ではまとまっており、はっとする記述も多くて非常に参考になる。

菌には大きく2種類にわけられる。
1つは人間に悪いことをする病原菌や腐敗菌(腐朽菌は必ずしも悪いとは言えない)。
もう1つは人間に大変良いことをしてくれる発酵菌。

人類が、最初に発酵菌を利用したのは塩辛。
魚をたくさん捕りすぎた時、塩に漬けておくと腐らないことを早い時点で人類は知っていた。ところが水が混って塩が薄くなると魚が発酵してすぐに塩辛になる。この塩辛は魚の腐敗と違って食べても病気ならないということを学習した。
その次がヨーロッパではブドウなどの果物から作った酒。
日本では縄文時代から米で酒を作っていた。長野の富士見町の井戸尻遺跡の土器に発酵の形跡があるという。この時代は口で噛んではき出す口噛法。それが弥生時代には麹カビで酒が作られるようになり、500年頃には醤油の原型である「比之保」が作られ、710年には味噌の原型「未醤」が作られたという。
そして、平安時代には画期的な発明品である「たね麹」が生まれているという。

こうして、日本ではカビが由来の食べ物は、日本酒、焼酎、みりん、甘酒、醤油、味噌、米酢、フナ寿司など数限りなく多い。
これに対してヨーロッパではカビの食べ物というとチーズだけ。あとはヨーグルト。
ヨーロッパは地中海気候だから冬期は雨ばかりで寒いが、夏期は湿度が低くて乾燥している。このためカビがいなく、菌も少ない。
これに対して東アジアから東南アジアは発酵菌の王国。
雨が降ったり、湿度が高かったり、温暖だったり、ブナなどの林があったり、風が吹いたりで発酵菌の育成にとっては願ってもない環境。

この発酵菌の最大の特徴は、腐敗菌と違って酸や塩の中でも生きられるということ。
腐敗菌とか病原菌は、酸っぱいところ、つまり酸性のところではほとんど増殖しない。
その代表がブドウ酒。酸っぱいから絶対に腐敗菌は来ない。ところがブドウ酒酵母は酸っぱいブドウ液の中でよく発酵してくれる。
九州や沖縄などの暖かいところで作る焼酎。どうして一年中暖かい地域で作っているのに原料が腐らないのかというと、クエン酸という酢をつくる黒麹菌で作っているから。このため発酵しているときのもろみは酸性。だから腐敗菌が近寄れない。
日本酒は、クエン酸は作らない。だから本州の暖かい地方では、寒仕込みといって冬しか酒を仕込まない。

ご存知のように梅干しは絶対に腐らない。レモン汁も酸っぱいから腐らない。
それから、塩分が4%ぐらいになると腐敗菌も病原菌も近づけない。発酵菌は塩分が十数パーセントある味噌や醤油の中でもボコボコ発酵する。

そして、腐敗菌・病原菌は発酵菌にも弱い。
O-157という食中毒が発生し、子どもが大変なことになった。この悪性大腸菌は腸に入って増殖し、腸を溶かして血がでる。いわゆる出血性大腸炎。
ところが、ある県の幼稚園でO-157が大発生した時、周りの幼稚園では園児が食中毒になったのに、1つの幼稚園だけは1人も患者が出なかった。その幼稚園の経営者はお寺で、住職は納豆が大好き。そして、園児に毎日納豆を食べさせていた。この納豆菌が腸の中に居たから、O-157もかなわなかったというわけ。

ともかく、腸内にいる納豆菌やヨーグルト菌は、腐敗菌や病原菌に強い。
腸は、生命に必要なものを吸収する重要なところ。
しかし、何よりも注目しなければならないのは免疫の8割は腸でつくられるという事実。
外部から侵入してくる病原菌。それに、毎日体内で発生する3000〜5000というガン細胞。それらの菌で病気にならないように事前に防いでくれているのが免疫力。
みそ汁や漬け物などの発酵菌を中心とした魚と野菜が主体の日本の今までの食生活は、腸の免疫力を高め、身体を丈夫にしてくれた。
ところが、肉食が中心になり季節感と繊維質のない温室野菜が外国から60%以上も輸入するようになってしまった。この食生活が健康を阻害しているだけでなく、食料輸入に使われている大量のガソリンやジェット燃料が、地球の温暖化を激しく促進している。
地球温暖化対策の第一歩は、食生活を変えること。
デリバリー距離の短い地産地消を進め、路地ものを中心に献立を変えてゆくこと。

そして、日本のCO2排出の35%を占めている自動車とゴミ問題に対しても菌が有効に働いてくれるだろう。
自動車に関してはバイオエタノールが喧伝されているが、これは可能性が極めて低い。
何故なら、エタノールはエチルアルコールのこと。穀物が原料で穀物をつくるためにエネルギーがいる。これをアルコールに発酵させ蒸留しなければならない。そのために石油を使わねばならない。とてもじゃないがトータルで見ると温暖化を促進するだけ。
そうではなく、ラン藻菌のように水素を作り出す菌がいる。これを活用する。ラン藻菌に光が照射され、そこに水があると水素と酸素に分解する。
また、光合成細菌は、有機物存在下に光が当たると有機物を分解して水素を発生する菌。この菌に生ゴミを食べさせると一石二鳥。
もちろん実現化するには研究を積み重ねなければならないが、非常に有効だと考える。

生ゴミはこれから燃やしてはいけない。福島の須賀川市の吉田一郎さんは自費7億円を投じて2005年に幅3m、深さ2m、長さ100mの発酵槽を4基つくった。
この発酵槽の中に生ゴミ、食品カス、畜産の有機廃棄物を入れると翌日には菌の発酵により温度が90℃まで上がる。もうもうと天然発酵の湯気が出るが全然臭くない。この生ゴミが25日で完全発酵して堆肥に生まれ変わる。農家は農薬を使う必要はなく収穫も増え、作物の味も良くなる。余った堆肥は山に戻すと山の保水力も高まり、川だけでなく海の水も浄化される。
家庭用コンポストでは90℃という高温が得られず、完全発酵が出来ない。
このようなプラントを市町村で積極的に導入出来るようにし、生ゴミの焼却を少なくして行けばCO2は削減される。

異常発生したバクテリアで日本の河川は完全に汚染された。これを解決したのはメタン発酵法やお活性汚泥法という発酵法であった。

日本人の寿命が長くなったのには菌力が大きく関わっている。
菌は抗生物質を作る。代表的なペニシリン。これは青カビから作られていることはよく知られている。結核菌にはストレプトマイシンという抗生物質。
それと忘れてはならないのは手術の後で化膿をとめる抗生物質の開発。
麻酔で手術は出来ても、抗生物質を投与しないで手術をしたら、ほとんどの人が肺炎で死んでしまう。手術後に長生き出来るのは抗生物質という菌のおかげ。
それだけではない。将来はガンも100%菌で直すことが出来るようになる。
腎臓ガンの治療に用いられているアクチノマイシン。ガン全般に用いられるクロマイシン。白血病にはマイトマイシン。扁平状皮膚ガンにはプレオマイシン。これらは全て100%菌がつくった抗生物質。

このほか、落ち葉を菌で分解発酵させてブドウ糖をつくって食料危機的な状況乗り切るとか、ポツリオコッカス・プラウニーという菌で炭化水素を発酵させて新しいエネルギーを創りだすとか、菌と発酵にまつわる話に、興味が尽きない。
是非、ご一読をお奨め。

posted by unohideo at 07:08| Comment(1) | TrackBack(1) | CO2と環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年10月25日

これからの10年が勝負! 温暖化地獄へ転落か、踏み止まれるか!


この本は、本当に怖い。
読んでいるうちに気が滅入ってくる。
居たたまれなくなって、大声で叫びたくなる。


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山本良一著「温暖化地獄」(ダイヤモンド社1429円+税)

今年の春に出版されたゴア氏の「不都合な真実」は、多くの人に視覚で、差し迫った環境問題の重要性を訴えてくれた。
必死に集めた映像と、練り上げられた語り口で、誰にも今すぐ行動を起こさなければならないという気にさせてくれた。
その功績は非常に大きい。

今では、全ての日本人が、北極の氷が溶けてシロクマの命が脅かされてきているのを知っているし、台風の脅威が強まり、旱魃や集中豪雨などの異常気象がこれから頻発するということも知っている。
そしてその原因が、化石燃料の消費による地球の温暖化が原因であるということも知っている。

政治家の中では、安倍前総理が今年のG8サミットで唐突であったが「2050年までにCO2を半減」を訴え、来年の洞爺湖サミットまでに大車輪で国内世論を盛り上げ、具体的な対策をたてようとした。
しかし、対策をたてる前に自壊してしまった。
後を継いだ福田首相は、環境問題に命を賭ける気などサラサラなさそう。
そして野党の民主党にしても共産党、社民党にしても、環境問題に対しては大声での発言が聞かれない。
新聞やテレビも、北極のシロクマのことは伝えても、温暖化の問題は差し迫った緊急時と捉えておらず、赤福と自衛隊の給油報道に血道をあげている。
日本の政党と官僚とジャーナリストは、国民を正しくリードしてゆくという責任を放棄している。

このため、貴方も私も、地球の温暖化は大問題であるとは知っているが、それはこれからじっくり時間をかけ、20年とか30年のスパンで取り組んでゆけば、徐々に解決してゆく問題であるかのように勘違いさせられている。
これは、とんでもない間違い。
ラブロック氏は「もう後戻りできない地点まで温暖化がきてしまっている」と警告している。
「ポイント・オブ・ノーリターン」。

後戻り出来ないというのはどういうことか。
それは、途中からどんなに努力しても、地球の温暖化で海水温度が上昇し、もう簡単に冷えてくれない。シベリアやアラスカの永久凍土が溶け、メタンガスが吹き出し、海水面は5メートル以上も上昇する。
そこまで、一気に行ってしまうということ。
海水面が5メートル上昇したら、日本の沿海工業地域と大都市のほとんどが水没してしまう。

ハンセン博士によると、300万年前に地球の大気のCO2濃度が350〜450PPMの時、気温は2〜3℃高く、海水面は25メートル±10メートル高かったという。
さらに、1万4000年前には温暖化により400年間で海水面が20メートルも上昇したことが知られているという。
つまり、大気中のCO2濃度が問題だということ。

CO2濃度は、産業革命までは280PPMであった。
これがほぼ2倍の550PPMになった時、産業革命以前に比べて温度が約3℃上昇するというのが、現在の科学のコンセンサスになってきているという。
現在のCO2濃度は380PPMという。
もしこのまま年間2PPMずつCO2が増加すると10年後には400PPMとなり、取り返しのつかない事態になるというので世界に衝撃が走った。
ところが、日本の情報機関、政財官界に衝撃が走った形跡がない。

現在、世界で一番精密な気象モデルは、日本の地球シミュレーターだという。
このシミュレーターの計算ではこうなっている。
1.5℃突破は2016年。
2.0℃突破は2028年。
2.5℃突破は2040年。
3.0℃突破は2052年。
4.0℃突破は2069年。

人類は、何がなんでもCO2濃度を450〜550PPM抑え込まねばならない責任と義務がある。
これが達成出来ないと、私たちの子どもや孫が大変な負担を残す。
人類の絶滅という最悪の事態まで考えねばならない。
その問題を、この本は提起している。

そして、この著者が強調しているのは、2℃の突破を地球シミュレーションは2028年としているが、これを抑えるためには2012年までに全世界のCO2の排出量を減少に転じさせねばならないということ。
これが当面の緊急時。
ということは、遠い未来の話ではなく、ここ5年間に必死の努力をしなければならないということ。

この著書には大きな欠陥がある。
それは、話が重複しており、大変に読みづらいということ。
資料の整理と料理が下手。
ゴア氏の著書があまりにも見事に出来上がっていたので、どうしてもそれと比べてしまう。だから読んでいてイライラさせられる。
集めたネタの鮮度が良いのだから、もっと仲間の英知を結集して、分かり易いものに料理して頂きたかった。

私の読後感は、世界がヨーロッパ各国と同じ危機感を持って対処すれば、この人類最大の難問は突破できるということ。
それにはアメリカ、中国という2大CO2犯罪大国を目覚めさせることが急務。
それには日本自身が、ヨーロッパ並の意識革命が不可欠。
この著者は、家庭用のCO2削減に関して、専門家でないので具体的な提案を行っていない。
だが、最低限次世代省エネ基準の義務化が不可欠。
その上で、パッシブハウスに見られるような次世代省エネ基準の2倍から4倍の性能住宅の開発と普及が必要になってくる。
それにヒートポンプの技術を加算してゆく。ヒートポンプ先行型はおかしい。

それには、K値が1.0Wを切る安価なサッシの開発や、熱回収率が90%以上の安価な換気装置の開発が急務。
日本の国土交通省と大手プレハブメーカー、サッシメーカーの各位は、是非ともこの本を読んで頂きたい。

posted by unohideo at 08:38| Comment(2) | TrackBack(1) | CO2と環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月25日

脱石油の雄・エタノールのために失われるアマゾンの森

20日前の5日付のこの欄で、ゴア元副大統領の「不都合な真実」を取り上げた。
CO2削減問題では、ゴア氏は今までの世界の中で最大のプレゼンテーターであり、プロパガンダであると称えた。
この評価は正しいと確信している。
しかし、プレゼンテーション能力の優劣だけで世の中を評価してはいけない。

南 研子著「アマゾン、森の精霊からの声」(ほんの木、1600円+税) を読んだ。
ゴア氏の本に勝るとも劣らない深い感銘を受けた。

18年前の1989年5月、イギリスの歌手スティングが「アマゾンを守ろう」というスローガンを掲げて世界16ヶ国を行脚するキャンペーンツアーで来日した。著者はその時、ボランティアの1人として手伝った。
このキャンペーンツァーに同行していたアマゾンの先住民のリーダー、メトゥティレさんと出会い、その話に感動して熱帯森林保護団体(Rain Forest Foundation Japan) を立ち上げた。
当時はまだNPO法人が普及していなかったので、NGO(非営利で非政府の民間組織)法人とした。爾来、21回もアマゾンを訪れ、アマゾンの森と先住民インディオを守る運動に命を賭けている。

つまり、研子さんはアマゾンという狭い世界、そのなかでも先住民のインディオの目からしか発信していない。ゴア氏のようなグローバルな視線からの発信ではない。
しかし、CO2問題の重要性については、研子さんの本の方がより具体的なだけに説得力を持っている。

研子さんは金持ちでも有閑マダムでもない。
ブラジルのバラ州とマトグロッソ州に住む15人種の森のインディオ。
その人々の生活に触れ、仲良くなるにしたがってなんとか森を救わなければとの思いに駆り立てられた。そして個人的な貯金から家族の生命保険まで注ぎ込んできている。
しかし、そんな努力をあざ笑うかのように、毎年東京ドーム12,000個分の森がなくなってきている。
何回あきらめようとしたことだろう。自分の力のなさを嘆いたことだろう。
しかし、ギブアップしたら終わりだと、ひたむきに耐えしのんできている。
みなさん。こんなも素晴らしい日本女性がいるのです、何一つ個人的な報酬を求めずに、インディオと森のために頑張っています。それは、間接的に地球と私達人類のために闘ってくれていることなのです!

私は、森が失われるのは、先住民の焼き畑農業のせいだと考えていた。
テレビや新聞でそんな紹介が多かったからだ。
先住民がやってきた焼き畑農業は、森を破壊するものではなかった。何時までも同じ場所に留まっているのではなく、数年で順番に場所を変えて行く。このため、森はあっという間に再生する。焼き畑農業は決して地球を傷つける不毛な行為ではない。

ところが、研子さんによると、森を焼いているのは原住民ではない。
それはカネの亡者にすぎない資産家であり、資本家だという。
焼かれた森は何に変わるのか?
それは、牧場であり、大豆畑であり、サトウキビ畑であり、アルミなどの地下資源の採掘場。

アメリカにおけるBSE牛問題が発生し、日本はその輸入先をオーストラリアやブラジルなどに変えた。このため、森が伐り払われて牧場となった。わずかの草を求めて毎日動いている牛の肉は固いが、食品としては安心出来る。日本人がブラジル牛肉を買うことによって森が失われる。

そして、日本人は納豆や豆腐が大好き。
しかし、日本で生産される大豆はたった3%しかない。
大豆畑にするためにブラジルの森が焼かれ、森を住処とする動物が逃げ場を失い火だるまにになって死んでゆく。オオアリクイの悲惨な姿を見て、胸がかきむしられるような思いをしたことがあるという。
おまけに、2005年からブラジルで生産される大豆は遺伝子組み換えのものになってきている。害虫に負けない大豆。それが将来どういう結果を招くかは定かではない。
そして、大豆の殻はニワトリの餌となる。
現在、ブラジルは鶏肉の輸出では世界一。
日本のコンビニの弁当に使われている鶏肉や冷凍食品の80%がブラジルからの輸入だという。

インディオの集落が多くあるマドグロッソ州。その州知事は大豆王でもある。
すでにベルギーの国土と同じ面積を大豆畑にし、さらにその倍の広さを大豆畑にすると豪語しているという。その知事さんに、日本の業者が群れる。
つまり、日本の商社や食品メーカーがブラジルの森の喪失に手を貸しているのだ。そして私共消費者はその共犯者だということ。ブラジルの森を焼いているのは決して現地人ではない。日本人も犯人であり、フィクサーでもある。

それだけではない。
CO2削減、脱石油の雄として注目を集めてきているのがエタノール。
自動車の燃料として将来性を期待されているのが燃料電池とエチル・アルコール。
日本の自動車メーカーも資源屋さんも、この未来の資源確保に東奔西走している。
未来のために、素晴らしいことをやってくれていると私などは感激していた。
ところが、研子さんに言わせるとアマゾンの森をサトウキビ畑に変える動きが、この数年で急速に拡大しているという。
なんのことはない。自動車産業のために、地球の温暖化が加速化されてきている。
この事実を、日本の新聞も雑誌も、もちろんテレビも取り上げていない。

森を壊す方法はいろいろある。
その中でも代表的なのが、大型ブルドーザーの2台の間に20メートルくらいの太いチェーンを何重にも渡し、ガリガリと森を削ってく。
木々は倒され、枝葉は粉々に散り、土の着いた根を天に向けてひっくり返った無惨な木も多くあるという。
数週間はそのままにして乾燥させる。そして、乾燥したところで火を入れる。
まるできのこ雲のように天高く煙が上がり、ダイオキシンがまき散らされる。周辺は煙と臭気で呼吸するのさえ困難となる。
そして、この森を壊す仕事に直接携わっている日本人がいるし、日本のブルドーザーも活躍している。

うかつにもこの本を読むまで、アマゾンの森の喪失に日本が深く関わっているということを知らなかった。
そして、人間を万物の霊長と考えず、植物や動物の命と人間の命は同じ重さだと信じている森の住人のインディオから、学ぶ点が多くあるということも知らなかった。紙数が尽きたのでインディオの素晴らしい智慧は紹介出来ない。
この本には、研子さんのちょっと耳障りな饒舌があるけれども、ゴアさん以上の感動と発見がある。ご一読をお奨めしたい。
posted by unohideo at 07:49| Comment(0) | TrackBack(0) | CO2と環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年02月05日

CO2では最大のプレゼンテーター・ゴア元副大統領「不都合な真実(わやな地球)」

この2、3年間、映画館へ足を運んでいない。
ゴア元副大統領の「不都合な真実」という映画が大反響を呼んでいることを、うかつにも知らなかった。
一人でやっているSOHOの哀しさ。往々にビック情報を見逃してしまう。
アンテナを張っているつもりだが、情けないことにポロリと網目からこぼれ落ちた情報の存在に気付いていなかった…。

新建ハウジングの三浦編集長から「この本を読まれましたか…」と突き付けられてあわてた。年初から大型書店へ3回通っていたのだが、こんな本が出版されていたとは全然気付かなかった。書評でも見かけなかった。

しかし、これはAN INCONVENIENT TRUTHを、そのまま何の工夫もなく「不都合な真実」(ランダムハウス講談社、税込2940円)と直訳した映画会社と出版社が悪い。
「不都合な真実」という題名では内容がさっぱり分からない。
おまけに副題もついていない。
まさかこの本がCO2問題を真正面から取り組んでいるとは、お釈迦様でも気付かない!

私だったらこの本の題名を下記のようにした。

「わやな地球」
……200枚の真迫カラー写真と50枚のカラーグラビアで抉る温暖化で爛れた傷口

これだったら、出版と同時に飛びついていた。
あなたも、今すぐに本屋へ走り出したくなっているはず…。

クリントン前大統領に対しては、日本人の印象は非常に悪い。
日本の頭越しに中国と握手をしたり、金正日という大馬鹿者の手玉に乗ったり、桃色スキャンダルをまき散らしたり…。
したがって副大統領のゴアは環境問題で孤軍奮闘していたとは知っていたが、ブッシュとの大統領戦で惜敗した時、私はむしろ喜んだ。ブッシュの選挙公約にCO2排出を規制するという文言が入っていたから…。
「これで、アメリカは日本を真の友好国として扱ってくれる。変なバッシングは影をひそめるであろう」と。

ところが、ブッシュは公約を反古にして、京都議定書を締結せず、時計の針を止めてしまった。そして、ネオコンに煽られてイラク戦争という泥沼にのめりこんでしまった。ブッシュ時代の7年間に失ったもの、さらにこれから失うものはあまりにも大きい。
そして、日本の国土交通省住宅局と大手住宅メーカーのほとんどが、このブッシュのサボタージュに便乗して、本格的な省エネ住宅の開発とその普及を見事なまでにサボってきた。企業としてのポリシーと倫理観が完全に欠如している。

アル・ゴア氏はテネシー州の田舎で、母親が読んでくれたレイチェル・カーソンの「沈黙の春」で環境問題に目覚めた。そして大学では温暖化問題の先駆者であるロジャー・レヴェル教授の薫陶を受けた。その影響で1989年に「地球の掟」を書き始めている。
この本が完成した翌年から8年間は、副大統領として勤めた。
しかし、2000年の大統領選挙に敗れて失業した時、地球の温暖化に対するスライドを見せながら警鐘の鐘を鳴らし続ける講演会の再開を決意した。
以来7年間、延べ1000回の講演を全世界で行っている。
つい先日の節分の夜の「世界一受けたい授業」というテレビ番組出演もその1つ。

こうした講演を続けていた2005年の春、ロサンゼルスでの大規模な講演の後、映画関係者から「講演内容をそっくり映画にしたい」という話が持ちかけられた。
最初は「環境問題という固い講演内容が、映画になるわけがない」と考えた。しかし、スタッフと話して見ると、自分の目標とスタッフのそれとは完全に同じだと分かった。一人ではどんなに力んでも一晩に数百人にしか話が出来ない。映画だったら、何千人、何万人の人に考えを伝えることが出来る。
と同時に、その資料を最大限活用して本も作ろうということになった。

残念ながら、私はまだ映画を観ていない。下記の150秒の宣伝を観ただけ。
http://www.futsugou.jp/
一昨日2940円を払って買ってきた著書は、お釣りがくるほどの値打ちがある。

本の内容では、特別に新しく、はっとさせられるものはない。
すでに、今まで読んできたものばかり。それなのに熱中させられた。
それは、今まで読んできた本は白黒の写真とグラフ。昔の白黒テレビの世界。
ところがこの本は、さすがに映画化しただけあって、掲載されている200点に及ぶ最新のカラー写真は、美しく、しかも超弩級の迫力に満ちている。
例えばキリマンジャロの勇姿にしても1970年に撮影したもの、2000年に撮影したもの、さらに2005年に撮影したものを並べてあるだけだが、今地球上で何が起こっているかが一目でわかる。
文字通り百聞は一見にしかず。

そういった地球の今の姿……それがパタコニアであったり、ペルーであったり、あるいはアラスカであったりする。
世界中で温暖化で爛れた傷口が散見される。スイスの氷河もイタリアの氷河も、ヒマラヤも病んでいる。中国もインドも、痛々しい傷口を曝している。
テキサス州には信じられない気象現象が起こっているし、アフリカには未曾有の事件が発生している。日本も例外ではない。
そして、顕著なのが北極圏であり南極。
永久凍土が溶け出し、氷が海を覆わなくなりシロクマの生命が危ぶまれている。南極の氷の溶解は加速度をつけており、西南極の氷床が水没したら海水面は一気に6メートル上昇するという。マレーシア半島ややハイチはどうなるのか。ドミニカは、タイは、メキシコは、そしてフロリダ半島はどれだけ水没してしまうか。

ともかくどの写真も説得力がある。
それだけではない。50枚にもおよぶいろんな科学的な裏付けのあるデータが、カラーでグラフ化、グラビア化されている。このグラフがこれでもか、これでもかと迫ってくる。それが脳裏に焼き付いて離れない。

環境問題は、今まではどちらかというと学問の世界の話であった。
しかし、この本は誰にでも分かるように視覚に訴えている。そして、問題の大きさと重要性を、今までの誰よりも強力なパンチで訴えている。魂を揺する。

ゴア氏はCO2に関しては最善のプレゼンテーターでありプロパガンダです。。
そして次のように断言する。
「温暖化は科学だけや政治だけの問題ではない。これは個人にとっても企業にとっても倫理の問題だ。地球を救うのは倫理観だ」と。
「そして、CO2の削減目標は5%とか10%であってはならない。1970年代までに戻すには50%以上の削減が必要である。きちんとした倫理観を持ち、イノベーションを進めれば絶対に到達可能な目標である」とも。

皆さん。騙されたと思ってこの本を買って下さい。売上金はNPO法人に寄付されます。
この本は決意と勇気を与えてくれます。そして、自分の中にも潜んでいる倫理観なき敵の存在がはっきり見えてきます。敵との戦へいざ出陣。その肩を押してくれます。
posted by unohideo at 06:43| Comment(0) | TrackBack(0) | CO2と環境 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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