2007年11月20日

日本でパッシブハウスと呼べるのは茅野の「桜ハウス玉川」だけ  (塩尻随感3)


さて、先週紹介したグラフを、少し改正したのを再度掲載する。
実は、この改正の後に北海道の仲間がリッター/u表示のデータを付け加えてくれた。
確認して、次の機会に紹介したい。


RIMG4785.JPG

さて、この表をみて、今更ながら15年前に決めたR-2000住宅の基準というのは「優れていたのだな」と痛感させられる。
なにしろ、次世代省エネ基準の半分。
大手プレハブメーカーは、やっと次世代をクリアーして、天下を取ったよう顔をしている。
そして、厚かましくも「エコロジー」とか「外断熱」「地球に優しい」などと宣伝している。
地球に優しいと呼べる最低条件が、R-2000住宅基準であると断言したい。
したがって、大手は全部「地球の敵」でしかない。

そして、強調したいのは、1戸とか2戸、R-2000住宅を建てたからといって威張れないということ。
自社の供給する全ての物件が、R-2000住宅の基準以上でなければ意味がない。
そんな企業があるのか。
ある。
私のリンク先に20件近くある。

関東ではまず群馬のマイスターハウス。
栃木のエムエスホームとハートランドホーム。
横浜の太平住販。
東京のナイスハーティホームからスピンオフをさせられた建築士たち。
東北では北洲ハウジングとツーベアホーム。
北海道では旭川のハウジングシステム。
札幌のリビングドクター、他。
十勝では岡本、赤坂、神谷、広岡、北栄、外城、ホクセイと多士済々。
こうした地場ビルダーこそが省エネ住宅の実質的なトップランナー。

そして、ヨーロッパのパッシブハウスというのは、R-2000住宅の70kWh/uの1/3に近い25kWh/uだということがこの図でよくわかる。
1/3ですよ。
暖房ゼロにいたっては1/7の10kWh/u。

今まで、コンスタントにR-2000住宅をこなしえなかったビルダー。
つまり100kWh/u以上の住宅しか提供してこなかったビルダーが、いきなり1/4のパッシブハウスに挑戦しても、所詮実験住宅の域を抜け出せない。
年に1戸か2戸Q値0.7Wの住宅を提供したとしても、とても褒めるわけにはゆかない。
そしてけしからぬことにはQ値が0.7W前後でしかなく、35kWh/uのものを「無暖房住宅」と称して売っている。
その代表が山梨のサンワホーム。
羊頭狗肉の代表的な企業ではないかと私は推測する。

山下先生が提言されておられるとおり、「無暖房住宅」という看板は即刻取り下げるべき。
日本には25kWh/uを達成したパッシブハウスは1つも存在しない。
私のブログの「パッシブハウス東京第1号の記録」も真っ赤な偽り。
最初はQ値0.07W以下を目指していたが、準防火地域のために使えるサッシがなく、結局は0.09Wという惨めな数値になってしまった。
意欲は満々だったが、みごとな恥さらし。
それだけに、パッシブハウスとか無暖房住宅という言葉を安易に使ってはいけないということが、教訓として骨身にこたえている。

そして、日本ではドイツのようにK値が0.8W以下のサッシが簡単に入手出来ない。
おそらく日本のサッシメーカーでは、あと5年待っても無理だろう。
なんとか安く輸入する方法を考えなければならない。
ということで、日本でパッシブハウスを目指すことが大変に難しい。
出来るのだけど価格が馬鹿高くなる。
どうすればいいか・・・。
私は、R-2000住宅をコンスタントに、大手プレハブメーカーの価格よりも安い適正価格で提供しているビルダー。
そのビルダーがもう少し智慧を働かせば、R-2000住宅の1/2のQ値0.7Wの住宅が、プレハブの価格でコンスタントに提供出来るのではないかと考えている。

つまり、当面は25kWh/uのパッシブハウスを目標にするのではなく、R-2000住宅の2倍の性能、35kWh/uに目標値を定めるべきだと思う。
Q値0.7W住宅。
そして、今までのささやかな経験で、東京ではQ値0.7W住宅で、年間の暖・温・冷・換の費用が、セントラル空調換気システムだと、なんとか6万円余で収まるのではないかと淡い期待をよせている。
年間冷暖房費が25,000円、年間給湯・換気費が35,000円。
そして、この時点で一番比重を占める給湯費を削減するために、太陽熱温水器を本格的に見直す必要が出てくると予想している。
混乱の中からなんとか一条の光が見えてきている。


RIMG4798.JPG

RIMG4801.JPG

RIMG4804.JPG

そして、現存する日本の建築物の中で、唯一「パッシブハウス」と呼んでもそれほど間違っていないのが、茅野市に1年前に完成したタカネヒューマンサポート社の介護サービス施設「桜ハウス玉川」
RC造で延べ面積773.4u。
RCの壁の外側に300mm、天井の外に400mmのEPSボードを施工し、仕上げに防火・防水工事を行っている。
山下先生の報告ではQ値0.62Wと日本では最高値。
良く聞こえなかったので間違っているかもしれないが120MJ/u分以下という。
これだとパッシブハウス並と言っていい。
そして施設長の話によると、ディサービス25名、ショートスティ20名、職員25名のこの介護施設の光熱費や厨房を含めた年間電気代は200万円という。

詳細なデータは山下研究室から発表されている。
日本におけるパッシブハウスは、この桜ハウス玉川を嚆矢とする。
新しい始動が始まった。
そして、施主の意識が業者よりも先行しているという好例。

塩尻で本当に良い勉強をさせて頂いた。
感謝。
                                   (了)
posted by unohideo at 11:14| Comment(0) | TrackBack(0) | シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月17日

リッターでの表示


北海道の仲間からクレームが入りました。

省エネの基準値として用いられているのはQ値、GJ、kWhだけではない。
北海道では リッター/uが標準である。
ドイツでも 3リッターハウス/u が用いられていたではないか・・・。
したがって、リッター表示も付け加えるべきだというご意見。
非常にもっともと思います。

是非、リッター表示での暖房、給湯、冷房、換気の費用を提示して
頂ければと思います。
posted by unohideo at 20:25| Comment(0) | TrackBack(0) | シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月16日

「暖・温・冷・換」の年間燃費での表示こそ!  (塩尻随感2)


少し大胆な提案をさせていただく。

前回も述べたが、日本には省エネ住宅の性能を正しく定義する基準がない。
このため、無暖房住宅とかゼロ・エネルギーハウスなどという、わけのわからない誇大広告やエセ広告がまかりとおっている。

そして、表示の方法としてQ値、GJ or MJ、kWh/uの3つが混在している。
暖冷房費のみのQ値表示。
世帯当たりの全ての電気代を含めたギガジュール(GJ)ないしはメガジュール(MJ)表示。
世帯当たりの暖冷房、給湯、換気、照明だけのギガジュール表示。
u当たりの暖冷房費のみのkWh/u表示。
u当たりの暖冷房、給湯、換気のみのkWh/u表示。
u当たりの冷暖房、給湯、換気、その他全電気代を含めたkWh/u表示。

これらが混在しているから、どの住宅がどれほどの性能を持っているのかを簡単に比較して検討することが困難。
これが、日本における省エネ比較を難しくしている原因だと思う。

それと、もう一つ強調しておかなければならないことがある。
環境庁は、省エネのために冬期は18℃、夏期は28℃に室温を設定して下さいと国民に呼びかけている。
このため、熱計算する時に冬期18℃、夏期28℃で計算することが、あたかも正しい行為であるかのように考え、消費者に押しつけている場合が多い。
「お願いですから冬期18℃で生活していただけませんか。そのデータがほしいのです」と言って頼んでいる笑えない話もある。

私の経験では300棟建てたR-2000住宅の中で、消費者の方が18℃で生活している例は2世帯しかなかった。ほとんどが20〜23℃での生活。
また、夏期に28℃の温度設定のためには、相対湿度が50%であらねばならない。この絶対的な条件が叶わないから、相対湿度が60%で27℃という設定温度が圧倒的に多かった。

そこで、塩尻の講演会が終った後、マックス・シュテムスホルンさんに「ドイツで冬期の熱計算の時に用いる設定温度は何℃ですか」と聞いた。
「20〜21℃です」との返事。
また堀内氏からは「スウェーデンの冬期の設定温度も20〜21℃です」とのメールを頂いた。

つまり、冬期18℃、夏期28℃というのは理想論で、机上の空論。
やはり、冬期20〜21℃、夏期は26〜27℃で計算し、相対湿度を下げられる機能を付加した場合にのみ28℃以上に設定して計算値を出すべきだと思う。

こうしたことを大前提にして、日本およびドイツなどの省エネ住宅を比較しやすい一覧表を作成してみた。
断っておきますが、これはあくまでも叩き台で、プロの方にまとめ上げてもらう必要があります。

この一覧表の最大の特徴は、住宅で使うエネルギーのうち、暖房、給湯、冷房、換気の4項目にしぼったという点にある。
坂本雄三先生の提案されている項目の中にはこの4項目以外に照明が入っている。
一方、ドイツの項目には4項目以外に家庭で使われる全ての家電の電気代が含まれている。
これでは比較してみることが出来ない。
また、坂本先生のデータは、世帯当たりの年間消費量のギガジュール。
世帯の構成数によってエネルギーの消費は大きく異なる。
単身、2人、3人、4人、多人数の各世帯を、1つにくくるには無理がある。
したがって、省エネ性能を比較するには、やはり問題はあるけれども平方メートル当たりのkWhの方が優れているように思われる。
したがって、それをメインに採用した。
しかし、念のために概算のGJを参考までに付け加えておいた。

もう一つ、あまり正しいとは言えないが、推定Q値も付け加えておいた。
そして22円/kWhで、乱暴な数字だが年間電気代も出しておいた。
それが、下表である。


RIMG4758.JPG

次世代省エネ基準にしろR-2000住宅にしろ、Q-1住宅にしても、各地で暖房と冷房の比率が異なる。
また、使えるヒートポンプの性能によって給湯の使用エネルギーも異なってくる。
このため、あくまでも「東京」を中心に推定してみた。

まず、「次世代・東京」は、坂本先生のギガジュール表示を120uの住宅のkWhに置き換えたもの。
「ドイツ・Low Energy」は、4項目以外の家電を省いたもの。

「Q-1W・東京」は坂本先生が作成された資料から照明を省いたもの。
「パッシブハウス」はドイツの資料から同じく家電を省いたもの。
「暖房費ゼロハウス」も同様。

そして「ゼロ・エネルギー」の場合は、暖房費ゼロの性能のほかに、給湯、換気、全部の家電用の4800kWhの発電装置を備えている必要がある。
でないと、ゼロ・エネルギー住宅と呼べない。
なお、「R-2000・東京」と「Q-0.7W住宅」についてはその内容比率を想定するだけの資料がないので省いた。それに、カナダの「ネット・ゼロ」の詳細資料がないので?マークを付けておいた。

しかし、大変乱暴な一覧表であるが、これを見ると世界の最先端の住宅に比べ、日本の次世代省エネ基準の性能値は1/5と低いことが良くわかる。
ビルダーが何をしなければならないかが良くわかると思う。

家電メーカーのヒートポンプの努力にひたすらにオンブしているプレハブメーカーと国土交通省、それにサッシメーカーのだらしなさが、浮かびあがっていると考えるのは、独善だろうか・・・・。


(グラフが間違っていたので書き直しましたが、まだ間違いがあるかもしれません。ご指摘いただければ幸甚です)

posted by unohideo at 18:27| Comment(0) | TrackBack(1) | シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年11月10日

『無暖房は過大広告』 『パッシブは垢まみれ』  (塩尻随感1)


「旅はしてみろ、人には添ってみろ」
誰の言葉だったか戯言かは忘れたが、まさに至言。
塩尻へ行って、いろんな新しい考えや貴重な実績体験を聞いて、強い刺激を受けました。


RIMG4306.JPG
写真はパネルディスカッションの模様。右からマックス・シュテムスホルン氏、山下恭弘信大教授、田代育夫桜ハウス施設長、堀内正純事務局長



ハンスさんの「無暖房住宅」をいち早く日本へ紹介したのは山岡淳一郎氏の「あなたのマンションが廃墟になる日」だった。
東北大の吉野先生は、この本を読んだのかどうかは判らなかったが、ハンスさんのプロジェクトのことはとっくに熟知しておられた。
そして一昨年、山岡淳一郎氏とコンタクトをとったNPO法人外断熱推進会議がハンスさんを日本へ呼んできて、各地で講演会を開催した。
この講演会に最も強く反応したのが北海道でも仙台でもなかった。
ダークホースといえる信州だった。

信州大学工学部には温熱の専門家が不在。
そこで音響が専門の山下恭弘先生を担ぎ出し、建材業者やビルダー20社が集まりSAH会(信州の快適住宅を考える会)を組織して勉強会を続けていた。
そこへハンスさんが飛び込んできたというわけ。
一気にヒートアップして「無暖房をやってみようか」ということになった。
そして、信州大学の校内に16u平屋建ての実験棟(Q値0.72W)が建てられ、計測が始まった。

それだけでない。
ホクシンハウス(Q値0.68W)が長野市に、佐々木工務店(Q値0.77W)が御代田町にそれぞれモデルハウスを建て、一年間にわたって山下研究室に温熱の測定をしてもらっており、そのデータはすでに公表されている。
こうしたモデルハウスとは別に、井坪建設が駒ヶ根市に完成させた分譲地内の119uの4人家族の住宅でも5ヶ月にわたる実際の生活データも発表されている。
こうした住宅とは別に、タカネヒューマンサポート社が茅野で、RC造で延べ773.4u(234坪)の介護施設「桜ハウス玉川」(Q値0.62W)を完成させており、これまた山下研によって一年間に亘る詳細なデータがとられている。

このほかに、仙台の北洲ハウジングの「サスティナブルハウス」は東北大吉野研でデータがとられている。10月末に仙台で開催された国際会議でそのデータが発表されたはずだが、残念ながらまだ入手出来ないでいる。
一番PR活動に熱心な山梨のサンワホームは、実験棟が完成したというニュースがあったきりで、その後のデータの発表がない。山下研ではなく坂本研に依頼しているのかもしれないが、それにしても未だにSMASHによるシミュレーションだけで「無暖房」を謳い、堂々と商売をやっているくそ度胸には呆れる。
1日も早いデータの発表がないと・・・・・・。

こうしたデータを、ここで細かく分析することは省く。
ただ言いたいのは、日本で建てられた住宅のいずれもが「無暖房住宅」ではないという事実。表示に偽りがある。

ハンススさんの言った「無暖房住宅」の定義は、「暖房機のない住宅」。
「セントラル暖房設備費に100万円かかっているとしたら、40万円をより厚い断熱費にかけ、40万円でより性能の良いサッシに変え、残りの20万円を熱回収率の高い換気装置にかける。そうすれば、建築コストを上げることなく無暖房住宅が得られる。つまり暖房のランニングコストが一切かからない住宅が得られる。このことは消費者にとって大きなメリットがある」というのが無暖房住宅。

ハンスさんは、いきなり無暖房住宅を建てたわけではない。
25年前に16世帯のための2リッター/uハウスを建てている。
そして、23年前には1.75リッター/uハウスに成功している。
つまり、現在ヨーロッパで共通の目標とされているパッシブハウス(1.5リッター/u)に近いものを23年前に建てた実績を持っている。

この実績と経験をもとに、イエティボリに2000年に完成したタウンハウスで、無暖房を実現した。
ところが、そのごスウェーデンでは、無暖房住宅は建てられていない。
建てられてきたのはパッシブハウス。
これが昨年まで141戸だったという。
それが、今年と来年の計画を合わせると一気に1046戸に急伸していると堀内氏は報告している。
スウェーデンに建てられているのは「暖房費ゼロ」住宅ではなく、どこまでも「パッシブハウス」であるという事実を、はっきり認識しておきたい。

今度の講演でドイツの建築士であり大学教授でもあるマックス・シュテムスホルンさんは次のように語った。
「ドイツでは、今まですでに8000戸のパッシブハウスが建てられている。しかし、暖房費ゼロの住宅はコストが20%から30%も割高になるので実用的ではない。ドイツでは誰もが無暖房住宅を建てようとは考えていない」と断言した。
そして、講演会が終わった後で通訳に聞いてもらった。
「ドイツでは近い将来、パッシブハウスの比率は何パーセントぐらいになると考えておられますか」と。
そしたら氏は、あくまでも個人的な見解にすぎないがと前提して「5年後には、新築の30%にまではゆくでしょう」と答えた。
パッシブハウスを侮るなかれ! である。

こうした諸外国の現実を前に、山下先生も一部の業界人の「無暖房住宅」という無責任で不用意な発言に苦言を呈した。
「北海道の先生方とも相談したのですが、日本で無暖房住宅と呼んでいるのは正しくない。いま北海道で訴訟事件が起こっている。業者がいい加減なシミュレーションに基づいて、年間灯油代が400リッターで上がりますとか、無暖房住宅ですと誇大広告を行い、それを咎める動きが出てきている。無暖房住宅という表現は、謹んでゆくべき」と。

全く、その通りだと思う。
日本で実現したのは、ハンスさんが25年前に達成した2リッターハウス/uにも及ばない。
無暖房住宅と呼べるのはおそらくQ値が0.5W/u以下であろう。
どんなに断熱材を厚くしても、K値が1.0W以下のサッシを入手することが出来ない日本においては、適正価格での無暖房住宅は不可能。
日本で「無暖房住宅」とか「ゼロエネルギー住宅」と叫んでいる会社は、羊頭狗肉で消費者を愚弄するニチアスや赤福と同系列の会社と考えてよい。

といって「パッシブハウス」で良いのかどうか・・・。
私はヨーロッパの実態から「パッシブハウス」と割り切ってきたが、日本には「パッシブ」という言葉には大きな拒絶反応がある。
かつての中断熱低気密の、何とかソーラーとかなんとかサーキットなどという「パッシブソーラー」での、手垢で汚れた不快な住宅を連想させるから・・・。

とすれば、なんと表現したら良いだろうか。
カナダのネット・ゼロもピンとこない。
堀内氏によるとスイスの建築家ヘルシンボリ氏は「Self Heating House」と呼称しているそうだ。なかなかとは思うが、パンチ力に欠ける。

どなたか、素晴らしいネーミングを考え出して下さい。
お願い!

posted by unohideo at 11:47| Comment(4) | TrackBack(0) | シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月09日

外壁の単位が1桁間違っています


間違いを指摘するメールをいただきました。
坂本先生の講演の記事で外壁のKが「0.02から0.021」とあるのは
「0.20から0.21」の間違いです。
最近、お詫びと訂正が多い。
反省しております。
posted by unohideo at 18:16| Comment(0) | TrackBack(0) | シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年08月05日

坂本先生の「予想される省エネ基準」講演と現場見学会


さる1日、ロックウール工業会主催の「省エネ住宅セミナー」が開催された。

RIMG2213.JPG

第1部は、日東紡ビルで120人が参集して坂本雄三先生の「新省エネ基準の動向」と題する講演と工業会住宅部会から「不燃ハイブリッド断熱工法」の紹介。
このあと55名がバスでS邸の建築現場を視察。充填断熱+不燃外断熱工法の設計、施工上の問題点をつぶさに勉強。
最近にない傑出したセミナーだったと大好評。

坂本先生の講演は地球温暖化対策の経緯とその重要性をわかり易く説明した上で、住宅の省エネのポイントを次のように指摘した。

●まず、何と言っても住宅の中で熱損失の一番大きいのが窓。
日本の窓の基準は平均すると3.0Wを超えており、諸外国に比べて甘すぎる。
ヨーロッパはほとんどが2.0Wを下回っており、ドイツは1.6W、オランダにいたっては1.2Wという厳しい基準。
トステムをはじめとした日本のサッシメーカーの努力不足を、先生は以前から厳しく指摘されているが、国際的な資料で比較されると、なるほどと肯かせられる。
ともかく高断熱サッシを2.34Wで頭打ちさせているようではダメ。
6等級で、最低でもK値を1.8Wにすべきだという意見には双手を挙げて賛成させられた。

●次ぎに熱損失の大きいのが外壁。
残念ながら先生は充填断熱材+不燃外断熱の実態については明るくなかった。
しかし、バスによる現場見学会にも率先して参加され、K値が0.02Wから0.021Wの性能を持つ外壁が、比較的簡単に、しかも適正な価格と適切なクオリティで実現出来るのを目撃された。
これからの講演内容が大きく変わるものと期待される。

●次ぎに大きな熱損失が換気。
先週、熱回収率90%という輸入換気関係のセミナーでも先生は講演された。
換気廃熱の90%が回収されるとQ値は0.4W/uk以上も低下させることが出来る。
ただし、熱回収換気装置で大切なのは中間期のバイパス機能。
外気温が一定の温度になると自動的に熱交換をやめ、外気がそのまま導入されるシステムでないとその実効性が乏しくなる。
それと、フィルター交換などのメンテも重要。
住宅の外皮に関しては、上記の3点を重点的に改善してゆく必要がある。

●そして、CO2削減という点から考えると、ヒートポンプに注目して行く必要がある。
COPの高いエコキュート、エアコン、冷蔵庫、洗濯機の性能は飛躍的に向上していて、CO2は半減されてきている。これらCOPの高い家電の積極的な導入と買い換えも大きなポイントに。
そして、日本の家電のCOPが飛躍的に向上したのは、経済産業省がとった「トップランナー方式」による。
このトップランナー方式を、住宅にも採用して行くことが必要。

最後に先生は、これからの省エネ基準の改正の動向について、次のような個人的な考えを述べられた。
●省エネ法と省エネ基準の改正・強化は来年の3月から8月になされるであろう。
新省エネ基準は強制力のない単なる基準値。
このため2004年時点での普及率は32%に過ぎない。2000u以上の非住宅建築物の普及率70%に比べると低すぎる。

●そこで考えられるのは省エネ基準の義務化ということ。
これには神社仏閣などに代表される伝統的な木造工法をどう扱うかと言う難しい問題もあり、簡単にはゆかない。
また、省エネリフォーム制度の新設に併せて減税措置も考えられているようだ。

RIMG2309.JPG

●次は外皮と設備の総合評価による新しい省エネづくり。
この外皮と設備の総合評価はEUでも行われており、必然的な方向と言える。
この設備の評価には、消費エネルギーだけでなく、太陽光発電、燃料電池などの創エネルギーも評価されることになる予定。

RIMG2304.JPG

●そして、総合的な省エネ基準のイメージは下記のようになろう。
住戸当たりの1次エネルギーの消費量で基準レベルが定められることになる。
これにともなって、品確法の性能表示の等級も変更されよう。

RIMG2308.JPG

●電力会社による省エネ住宅ラベリングも既に発表されている。
大手メーカーのシリーズものの性能をラベリングするとともに、地場ビルダーのラベリングも行われる。
そして、そのラベルを取得したものの中から、優れたものを「ハウス・オブ・ザ・イャー」として表彰してゆく。 
こうした動きがこれからの中心的な動きになるであろう。

RIMG2306.JPG

以上が坂本先生の講演の中で、私が特に印象深く聞いた諸点。
非常に勉強になり参考になった。
よくまとめられていたと感心。
ただ、最後のハウス・オブ・ザ・イャーについて先生は触れられなかったが、若干気にかかることがある。
それは、新制度発足の記念セミナーが先月25日に開催されるはずであった。
案内状が届き、即参加の返信を送った。
ところが、事前になってこの記念セミナーが延期された。
東電の柏崎原発事故以前のことだったので、事故が延期の理由とは考えられない。
住宅業界に「トップランナー方式」を持ち込むことに、一部の関係者が反対しているためだとは考えたくない。しかし、住宅業界の官学業に潜む守旧派の存在は、決して忘れてはならないようだ。

CIMG7765.jpg

現場見学会の内容は、S邸の記録の中で、順次取り上げてゆきたいと考えます。
posted by unohideo at 04:59| Comment(1) | TrackBack(0) | シンポジウム・講演 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月07日

地場ビルダー、設計事務所対象にKM+ロックウール外断熱セミナーと現場見学会



ロックウール工業会は『温暖化防止省エネ住宅セミナー』と『パッシブハウス東京第1号住宅の現場見学会』を下記要項で開催いたします。

◆日  時  8月1日(水) 13:00〜16:50
◆場  所  ◇セミナー会場 日東紡ビル4階 東京八重洲・東京駅から歩き6分
       ◇現場見学会場 バスにて杉並の会場へ案内
◆定  員  45名(先着順。定員になり次第締め切り)
◆参加対象  地場ビルダーおよび建築設計事務所
◆参加費用  無料
◆スケジュールおよび内容
◇セミナー
・13:00〜13:10 挨拶       ロックウール工業会奥本久治理事長
・13:10〜14:00 温暖化対策とこれからの新省エネ基準の動向 東大・坂本雄三先生
・14:00〜14:30 ロックウール不燃ハイブリッド断熱工法 工業会住宅部会・多田正
◇現場見学会(バスで移動)
・14:40〜15:20(車中説明)パッシブハウス東京第1号住宅の諸性能
          高気密健康住宅研 鵜野日出男・マイスターハウス 山口康雄
・15:25〜16:00(現場にて)ブラケットを用いた施工上の留意点 住宅部会・福島泰典
・16:10〜16:50(車中にて)質疑応答とディスカッション   (東京駅にて解散)
◆問合わせ  ロックウール工業会事務局・担当 宮崎 03−5202−1471
◆申込方法  E-mailで、miyazaki@rwa.gr.jp へ連絡すれば、申込み用紙など一式を添付して送信してくれます。  


 
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