2008年08月01日

再生可能エネルギー世界フェアの会場のスナップ写真


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シャープのコーナーでは、超高層ビルの全ての窓に薄型シリコン太陽電池を搭載したミニチュアが関心を集めていた。


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先進国における太陽光発電システムの市場規模。
今まで日本は世界のトップを走っていたのだが、2004年にドイツに追い抜かれた。そして2006年にはドイツ953MWに対して日本は286.6NW。ドイツは日本の3.3倍にもなっている。

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これは、累積の導入量。
この面でも2005年にドイツに追い抜かれている。
何しろ、10年以内に減価償却出来るドイツの買上料金に対して、20数年もかかる日本の減価償却。
政策の差がはっきり現れている。


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トヨタ自動車に取り付けられた燃料電池。
このほかホンダなど数社の展示があった。


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変わった形の風力発電や、地中熱利用のヒートポンプも目についた。
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2008年07月20日

ドイツの断熱・気密工マイスターの仕事ぶりに学ぶ



さる18日、ドイツの断熱・気密工事でマイスター有資格者のトーマス・ゲルトナーさんが、群馬県・伊勢崎市のマイスターハウスの建築中の現場で、新しい防湿・透湿シート「インテロ」の施工実演を行った。

なにしろ、マイスターハウスの気密性能は桁外れ。
きちんとした断熱・気密の専門家チームが育ってきていて、昨年の相当隙間面積のアベレージは0.2cm2(漏気回数が0.4回転/50pa)。
間違いなく日本のトップというよりは世界のトップレベル。
少なくともカナダの現場よりは、はるかに優れている。
ドイツのマイスターには勝るとも劣らない。
しかしさすがはドイツ。
日本と異なった施工精度があり新素材を多用。学ぶ点が多かった。
そのエキスを紹介することにしよう。


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このインテロの幅は1.5メートル。これを横貼りする。
貼り出すのは下部から。
床に約5センチ折り込むので、その高さをスタッドに墨出ししてゆく。


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墨に合わせて、インテロをステップル・ネールで止めてゆく。
シートには10センチのネール間隔がプリントされている。


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開口部回りはカットして、あらかじめ施工されていたべバーバリアと接着テープで緊結される。
このテープの接着力は強力で、時間が経てば剥がれることはない。
コーナー部分も隙間が無いように丁寧に施工される。
また、L字部用の特殊なテープも用意されている。


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床の折り返し部分に緑色の接着剤が施され、壁と床のコーナー部分はヘラで抑えられる。


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配管回りの気密はコーキングに依存しない。
ゴム系のシートで、管をしっかりと止め、コーキングによる劣化を防いでいる。
そして、このシートの4周もテープ抑えられる。


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コンセントボックスカバーとシートもテープで固定される。
日本のコンセントボックスカバーはランチボックスもどき。配線が終わったあとは配線回りはコーキングがなされる。
ところがドイツでは、配線部分の穴はゴム系が施されていて、自動的に隙間無く締まるようになっているとのこと。


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下段が終わると、重ね代15センチの線に従って、上段のシートをステップル・ネールで止めて行く。
そして、壁の中央のスタッドから上段を止めてゆく。
当然のことながらシワの発生を防ぐため。
こうして、上段が取り付けられてゆく。


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換気の給気口に設けられているスリーブ。
このスリーブ回りもゴム系の穴の開いたシートが施され、ほぼ完全な気密が取れるようになっている。これは優れている。


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上下のジョイント部分を接着テープが施工され、ヘラでしっかり均されると、一丁上がり。
天井は、壁面へ15センチほど折り込んで施工し、テープで一体化される。
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2008年07月15日

日本の暖房費はなぜ韓国の1/3なのか?


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上の世帯当たりエネルギー消費用途別国際比較表は、以前にも一度使った。
しかし、再度使わせていただく。

なぜなら、この表から「日本の家庭のエネルギー消費量は世界一少なく、日本の家庭は乾いた雑巾で、ムダなエネルギーを絞り出す余裕がない」
「したがって日本では、これ以上住宅の省エネ化の基準を厳しくすることは出来ない」
国交省は「このグラフが見えないか」と、水戸黄門の印籠のように使っている。

事実、日本の世帯での暖房の使用量は、各国に比べて極端に少ない。
暖房費を一番多く使っているドイツの58GJ(ギガ・ジュール)に比べると1/5の12GJに過ぎない。
その他の国に比べても1/4以下である。
そして、お隣の韓国に比べても1/3という数値。

たしかに、冬のソウルは寒い。
しかし、よく考えてみると、南北朝鮮は38゜線で区切られている。
38゜線が日本のどこを走っているかと見てみると、新潟市の10キロ上で、仙台市の20キロ下にすぎない。
たしかに暖流が流れている島国の日本と陸続きの半島・韓国では温度が若干違うことは認めるのはやぶさかではない。しかし、日本の東北や北海道ほどソウルが寒い訳がない。

一方、済州島を除いて、韓国の南の島々は34゜線から北にある。
釜山は35゜線といってよかろう。
日本で34゜線上にある都市は、下関、今治、徳島、和歌山など。
35゜線上だと名古屋、富士、横須賀など。

つまり、韓国の北限は仙台から下に位置しており、島々を除けば南限は名古屋、横須賀から北ということになる。
緯度的に見ると、韓国は寒くてしょうがないという位置にはない。
それなのに、韓国の暖房費の使用量が日本の3.0倍。
これが1.5倍か、せいぜい2.0倍だというならば納得出来る。
しかし3.0倍という数値は、どうしても解せない。

人類学の知識が乏しいので、はっきりしたことは言えないが、朝鮮半島の人々は地続きの漢民族の影響を強く受けてきた。そして、暖房に関しては「オンドル」に代表されるように、全館暖房システムを早くから確立してきている。
これに対して、島国日本へ辿り着いたのは、圧倒的に南の島々から船で渡ってきた人々が土着したのが多いのではなかろうか。
暑い南の島々の人々は高床での生活に慣れていて、オンドルなどというセントラル暖房システムの経験がない。
日本の南の都市でも、真冬は零下以下になる時もある。
しかし、夏の蒸し暑さを避けるために、セントラル暖房システムを最後まで採用しなかった。
つまり、北半球の先進国の中で、唯一セントラル暖房システムを備えていない民族が、わが日本人だと言えるのだ。

そして戦後、大手のプレハブメーカーの誕生や、北米からのツーバィフォー工法のオープンな導入があった。
三井ホームなどは、高級住宅に特化して需要を開発した。
そして、輸入住宅のブームも続いた。
しかし、欧米から持ってきたのは工法であり、外観デザインであり、インテリアコーデネーターであった。セントラル暖房システムまでを導入してこなかった。
この大手メーカーのポリシーのないいびつな技術導入が、日本をして、先進国の中で唯一セントラル空調システムが普及していない国にしてしまった。

日本の暖房エネルギーの消費が、韓国の1/3だということは、室内に大きな温度差があるということである。
このため家の中で風邪をひく人が、日本では非常に多い。
そして、温度の極端なバリアがあるために、浴室などで脳卒中や心臓病を多発させている。
現在では、交通事故死よりも浴室や便所での突然死の方が2倍以上も多いのである。いや、死にいたらないまでも、寝たきり老人を多く輩出している最大の原因は、セントラル暖房システムを普及させなかった日本の大手メーカーに責任。これは、決して過言ではない。

ヨーロッパでは、地域給湯・暖房システムが普及している。
いろんな廃熱を使ってお湯を沸かし、各戸に配る。
そのお湯を一部は給湯として使い、残りは各室の窓下に設けたパネルラジエーターからの輻射暖房熱として使う。
そして、台所、浴室、トイレなどのダーディゾーンから第3種換気で汚れた空気を排出する。給気は最近では各室のサッシからが多い。
この空気の流れがあるので、浴室もトイレも温度のバリアがなく、家の中で寝たきりになることはない。

一方、アメリカでは地域によって差はあるが、圧倒的にセントラル空調換気システムが採用されている。冷房も暖房も電気によるものが多い。
しかし、アメリカでは、電気代が安いということがあって、自動車では小型車ブームが起こっているのに、住宅ではよりコンパクトで、より効率のよい空調換気システムを採用してゆこうという運動が起きていない。
正直いって、その浪費ぶりが気に掛かる。

さて、日本に本格的にセントラル空調換気システムを持ち込んだのは、R-2000住宅の普及が大きな契機になっている。
ハーティホームでは、90%以上がセントラル空調換気システムを採用していた。
ダクトを簡単に配備するために、アメリカで開発された平行弦トラスの採用を標準仕様とした。これを、スウェーデンハウス、地所ホーム、三井ホーム、東急ホームは採用し、他工法との差別化を図るべきだった。
しかし、サラリーマンにすぎなかった開発担当者は、その勇気を持ち得なかった。

一方、北関東から北では、給湯によるパネルラジエーターの輻射暖房のセントラル暖房が地場ビルダーを中心に採用された。
つまり、R-2000住宅専業ビルダーが日本でセントラル暖房システムの普及でも草分け的な存在となった。
これは、Q値が1.4Wという高性能になったことにより、セントラルシステムにして全館24時間運転をしても、そのランニングコストが、それまでの個別・間欠運転のクーラー代とほとんど変わらなかったからである。

いままでは、我慢をしてケチケチと冷暖房機械を使ってきた。
ところが、R-2000住宅以上の断熱・気密性能を備えると、我慢をしなくても今までと同じランニングコストで全館24時間暖冷房が出来る。

それなのに、大手プレハブメーカーは、未だに次世代省エネ基準で足踏みをしている。
そして、ダイワハウスのようは、恥ずかしさを忘れて「外断熱が素晴らしい」とテレビで叫び、積水ハウスは「制震と5本の植樹」というバカの1つ覚えの宣伝文句しか用意していない。実になさけない。
この大手のバカさ加減が、日本の住宅のセントラル空調換気の普及を阻害している。

つまり、日本の大手住宅メーカーが、今までの燃費で、全館24時間空調換気しても、ランニングコストが変わらないと言う商品を消費者に提示していない。
次世代省エネ基準の性能値で全館24時間空調換気をすると、えらく高い電気代がとられる。このため、日本の各世帯は、ケチケチと我慢に我慢を重ねている。
それが最初の上図。
この図からは、熱帯夜に悩んでいる日本の消費者の、悲鳴が聞こえる。

皆さん。
13GJの平均暖冷房費で、全館24時間セントラル空調換気が出来る技術体系が、地場ビルダーを中心にすでに確立しているという事実を、是非知っていただきたいのです。
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2008年05月05日

逆転結露  東京・福岡・札幌の屋根内湿度と調湿シート(下)


さて、壁の逆転結露に関しては、今までにいろんな実験が行なわれて、それなりのデータが揃ってきている。
しかし、屋根に関しては実験をやったことがない。また諸先生方の資料を拝見したこともない。
壁に逆転結露があるならば、当然屋根にあってしかるべき。
不思議なことだが、多分日本では誰も試験をやってこなかった。

ドイツのプロクリマ社は、実験ではなくフラウンホーファー研究所のWUFIというプログラムを使って、下図の東京の屋根内の温湿度状況を示してくれている。
この屋根構造は内側から石膏ボード→べバーバリア→繊維系断熱材→タイべック→通気層→合板→ルーフィング→屋根材という一般的なもの。


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この図を見れば、通気層があるので、真夏でも屋根断熱の温度は瞬間的には30℃を越すことはあるが、太い平均線を見ると30℃以内。
もちろんヒートブリッジになるランバーの部分は、こういった温度では済むまい。現しの隅タルキなどに触るとなかなかの熱さ。
そして、壁の中の湿度は5月から10月までは90%を越え100%に達する時があるが、太い平均線をたどってみると80%以内に納まっている。
この図を見ていると、屋根内の結露はそれほど心配する必要がないように感じる。


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ところが、福岡の湿度のシミュレーションを見ると、一年を通じて90%から100%に達している日が多い。そして、6月から10月までの5ヶ月間は平均湿度が80%を突破しているか若干下回っている。
尾崎明仁先生(現京都府立大教授)が提示なさっている夏期の逆転結露によるカビ・腐朽の予防基準・・・・相対湿度が80%以上で累積率25%以上という条件を満たしているのではなかろうか。
地球の温暖化が進めば、福岡地方はよりカビ・腐朽の条件が厳しくなってくるであろうし、やがてこのような状態が東京に及んでくると考えるべきだろう。
つまり、今は大丈夫でも30年先はどうなるか分からない。
200年住宅などと、寝ぼけたことを言っている場合ではない。


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さらにびっくりしたのは、上図の札幌の屋根内湿度状況。
この図をみると、福岡よりひどい。
北海道には梅雨がないと言われ、東京よりはるかに乾燥しているように感じていた。
ところが、この図では5月と6月を除けば、一年中屋根内の相対湿度の平均値の太い線が80%を越えている。
日本一の厳しさといっても過言ではない。
これは、WUFIというシステムそのものがおかしいのか?
あるいは、札幌の気象条件の入力時のミスなのか?
もしミスでないとすれば、札幌の屋根は夏期にはかなりの規模で逆転結露が起こっていると推測できる。
本当か?
そして、ここで気になるのは、札幌に多い無落雪の陸屋根。
急勾配の屋根は通気層をとるのも、棟換気の設置も容易。
しかし、陸屋根の換気は、それほど簡単ではない。
したがって、他人事ながら気になる。


こうしたデータを見ると「カビは不衛生ではあるが、病気や木材の腐朽、シロアリの被害など、直接的な影響を及ぼすことはない。したがって心配する必要は一切ない」と放って置いて良いものなのだろうか?
「壁内、屋根内のカビは、その死骸がダニのエサになっても、べバーバリアがあるので、ヨーロッパの冬期のようにダニがアレルゲンになるようなことはない」と割り切って良いのだろうか?
矢張り繊維系断熱材はダメだ。現場発泡のウレタン充填断熱にするか、あるいはEPSの外断熱に切り替えるべきなのか?

そこで登場してきたのが調湿シート。
ところが、今まで売られていたデュポン社の調湿シートはそれほど優れたものではなかった。

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図のように、ポリエチレンシートに比べて20%程度湿度を抑えてくれるという効能しかない。
このため、調湿シートと言われても、わざわざ関心を寄せるだけの価値がなかった。


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ところが、である。
ドイツのプロクリマ社の開発したインテロは、図のようにポリエチレンシートに比べて格段の差がある。
つまり、夏の壁内にほとんど湿気らしい湿気を貯めない。
つまり、透湿性があるということ。

イントロというのは厚さが0.2mmの白っぽいシート。
気密材だから空気は透さない。600パスカルの圧をかけてもびくともしない。
基本材質はポリエチレン・コポリマー。
それにポリプロピレンのメッシュが施されている。可変の分子構造が調湿を行うという。
そして最大の特徴は、冬期は石膏ボードの下にあって、壁内に入ろうとする湿気をシャットアウトし。夏期は壁内の湿気を部屋内側に放透する。
マジシャンのような高等な芸を見せてくれるのである。


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手品の仕掛けは、透湿抵抗値にある。
ポリエチレンシートは左上図のように、一定である。
これに対して、右上図のインテロは湿度の低い時は湿気を遮断し、湿度の高い時は湿気を透す。
つまり、透湿抵抗値が湿度によって変化する。
そのメカニズムを詳しく説明しろと言われても、文系の人間には無理な相談。
これ以上は、各自で調べていただくしかない。

しかし、いずれにしろイントロの出現で繊維系断熱材の冬期と夏期の壁内、屋根内、床内の結露の心配はなくなった。
これは本当に有難いこと。
だが、問題は価格。
かなり高いのである。
「タイべックの出現の時も価格は平米あたり800円と高かった。高いけど一番先に飛びついた。同じことで、そのうち日本のメーカーも開発して、使いやすい価格になってくると思う」(山口マイスターハウス社長)という意見がある。
しかし、プロクリマ社が特許をとったのが2003年というから、日本のメーカーがこれに匹敵する技術開発を行ってくれると、安易に期待することは出来ない。
なにしろ日本の建材メーカーは、ガラス業界以外は衰退する国内需要しか視野になく、ヨーロッパのメーカーのようなグローバルな視点に欠ける。
これは、建材メーカーを叱るより、よりすぐれた性能を求めない日本の住宅メーカーのイノベーションの努力不足を叱かるべきなのだと思う。
サッシにしろ、換気にしろ・・・。

あまり自虐的になってはいけない。
プレハブメーカーは国土交通省と一緒になって、世界へ技術輸出が出来るような「200年住宅」を開発してくれるかもしれない。
ゴールデンウィークの期間中だけでも、そんな夢を見ることにしよう。
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2008年04月30日

逆転結露  壁内結露とRC造の壁表面結露(中)


新しい調湿シートのことに触れたいのだが、その前にヨーロッパで大問題になっている室内空気質の問題と外断熱問題に、どうしても触れておかねばならない。
まわり道のようだが、付き合っていただきたい。

室内空気質の問題は、日本ではホルムアルデヒドに代表される化学物質問題であった。
合板やパーティクルボード、集成材、あるいは壁紙施工時の接着剤に入っていたホルムアルデヒドと、畳のワラ床に使われていた農薬、衣服用の防虫剤などが主犯人。
それと換気。
10年前には国で決められたホルムアルデヒドの濃度0.08ppmを守ることは大変に困難な仕事だった。いつも測定機を担いですべての完成住宅を検査して回った。
それなのに子供がアレルギー反応を起こしたから何とかしてくれという電話。急いで訪ねたら、施主が新しく買った家具からホルムアルデヒドが発散していたというような事例の連続。

しかし、ホルムアルデヒドの少ない☆☆☆☆建材の開発が進み、機械換気が義務化されて、急速に空気質の問題はなくなってきた。
そして、この数年間は化学物質過敏症問題からは完全に解放されてきた。
ところが5年前、空調学会の室内空気質の報告会で国立公衆衛生院の池田耕一先生が「ヨーロッパでは化学物質過敏症問題をとっくに卒業して、現在はカビ、ダニが大問題になっている」と報告された。
ドイツで医師をやっている某施主の弟さんにお会いしたとき、同じ話を聞いた。
「ドイツの冬期はいつも雨や曇りの日が続き相対湿度が高い。そして、全館暖房が普及して内外の温度差からカビが生え、そのカビをエサにダニが発生する。今ドイツでは、冬期におけるカビとダニが大問題になっている」と。

日本では、ダニは夏しか問題にならない。
何故なら、ダニは「高温多湿」が生存の必須条件。
相対湿度は70%以上で、温度は25℃が適温。最低でも20℃以上。
ところが、表日本の冬期はカラカラの過乾燥。
相対湿度は加湿器をつけていても40%を維持するのがやっと。
それに、セントラル暖房でないから、全館が20℃以上という状態にはない。
したがって、冬期に内外の温度差で窓や壁にカビは生えるが、ダニが好む条件を人工的に作り出すことは不可能。

ところが、ヨーロッパでは夏期はカラカラに乾燥しているが、冬期は厚い雲が空一面を覆っていて、快晴の日はほとんどない。
スペインあたりの畑も夏は雑草が少なく黒い土が見える。だが、冬期は恵の雨で麦の芽が青々としている。ヨーロッパ人が米食でなくパンを主食に選択しなければならなかったのは、こうした気象条件による。
そして、単にカビだけの問題だったら我慢も出来る。
全館暖房が当たり前になって、湿度環境だけではなく温度環境でも、冬期こそがダニにとって生存出来る絶好の環境になってきた。
当然、ダニの死骸はアレルゲンとなる。
そして、多くの人々を苦しめることになった。
こうして化学物質に変わって、カビとダニ問題がヨーロッパの空気質の最大問題になってきた。

当然のことながら医学界だけでなく、建築関係者も研究に乗り出さざるを得なかった。
そうした中で、ドイツの有名なフラウンホーファー建築物理研究所も温湿度問題に本格的に取り組んだ。
なにしろこの研究所の規模は、ケタはずれ。
2年前に技術提携した東急ホームのニュースリリースによると、年間予算は1200億円で、研究スタッフの数は1万2500人という。
(ところで、東急ホームはドイツの技術で季美の森にQ値0.8Wのモデルを建て丸一年以上過ぎたが、いまだに本格的にやるという話が伝わってこない。びびっていなさるのか、満を持していなさるのか・・・)
我が国の独立行政法人「建築研究所」の今年度の予算規模が23億円で役職員数が95人ということを考えると、ケタが2つも違うことが分かる。

この研究所の開発した温熱解析のプログラム「WUFI」はなかなかのもの。
そのシミュレーションの結果と実際のデータとの誤差はほとんどないという。
世界各都市の基礎データを入力すると、確実な答が得られる。
日本のほとんどの都市で活用出来る。
しかし、このプログラムは、日本ではドイツほどに歓迎されていない。

というのは、ドイツで冬期に発生しているカビは、主として壁の内表面のもの。
木造住宅で冬期に問題になるのは壁内結露。
これは石膏ボードの下にべバーバリアを施工すれば寒冷地での問題は解決済み。
わざわざ高いプログラムを買って調査する必要がない。
したがって、冬期の木造住宅にはあまり役立たない。
役に立つのは冬期に内外の温度差で、壁の内表面の結露が問題になるRC造。

覚えて居られるだろうか。10年ぐらい前に出版された「日本のマンションにひそむ・史上最大のミステーク」(赤池学、江本央、金谷年展共著)を。
この著書では巻末に21ページにわたってRC造の内断熱の水分挙動計算例を示して「内断熱のマンションは必ず結露する」と断言した。
RC造の場合、木造のように充填断熱が出来ない。したがって内断熱か外断熱のいずれかしかない。そして、出来れば外断熱の方が効率的で、しかもRC造そのものの耐久性が良くなることは、建築関係者だったら誰でも知っている。しかし、予算的な関係から内断熱にとどめていた。RC造の高断熱のメリットが理解されていなかったからやむを得ないことだった。しかし「必ず結露する」としたのは言い過ぎで科学的ではなかった。
江本央氏は、定常計算で断言したことが間違っていた。

2001年の「建築技術」10月号で、坂本雄三先生が「史上最大の濡れ衣」と題して、同書の定常計算による間違いを指摘し、事実とは異なる計算結果を意図的に導き出したものとして糾弾した。
坂本先生は「HMTRANS」という非定常計算プログラムを駆使し、コンクリート厚12cmの外壁に5cm厚の押出発泡ポリスチレンBを隙間無く密着施工すると、東京では室内の相対湿度が60%でも結露しないということを立証。
旭川で、RC造で5cm厚のポリスチレンということはあり得ないが、それでも室内の相対湿度が40%以内であれば旭川でも結露が生じないと江本氏の定常計算を論破した。

このHMTRANSという非定常計算プログラムとフラウンホーファーのWUFIというプログラムとの差がどれほどかは、素人の私には分からない。
冬期にRC造の壁の内表面に結露するかどうかよりも、まず問題にしなければならなかったことはサッシ。ペァーガラスの断熱サッシでないと、開口部で結露している。そして、ガラスとか窓枠にはカビが付いている。
しかし、カビが生えていても、日本のRC造のマンションや公団、公営住宅では室内空気質がそれほど問題にならなかった。
なぜなら、冬期は相対湿度が70%を突破することがなく、サッシや壁の内表面にカビが生えても、ダニが冬期に湧かなかったから。
したがって、結露でRC造の内断熱を攻めるよりは、省エネ性と耐久性で外断熱の優位性を示すべきであった。窮鼠に噛まれたネコになるべきではなかった。
WUFIをPRしたいがために、同じ愚行を繰り返してはならない。

そして、WUFIを使ったシミュレーションで、木造住宅にとって有難いのは夏期の壁内結露の状態がよりわかり易くなってきたこと。
そして、今まではもっぱら壁に結露するかしないかで議論していた。インテロのデータで面白いのは屋根の結露状態を示してくれていることである。
このシミュレーションを見ると「カビは実害がないから少しぐらいあってもかまわないとしているが、本当にこれでよいのかどうか・・・」という坂本先生の疑問符が、大きくクローズアップしてくる。
その詳細は、次回のお楽しみ。
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2008年04月26日

逆転結露(補記)


逆転結露の解決の方法として石膏ボードの下に10mmの硬質ウレタンボード1号を施工すれば、解決することが定常計算上明らかになった・・・と書きました。

この件について仲間からメールが入りまして「当時北海道では90mmの外壁の内側にべバーバリアを施工し、さらに内側に胴縁を組んで40mmの断熱材を施工すれば冬、夏とも結露が防げるということが言われていた。つまり断熱材2:1の比率の中心にべバーバリアを入れれば良いという北海道の実例がヒントになって、硬質ウレタンボードの図が生まれたのではなかったか」というのです。
そこで、札幌の高倉氏に聞きましたら「そういった図がカナダのR2000住宅のマニュアルに載っていた。したがってソースは北海道ではなくカナダ。しかし、欧米は部屋の大きさを内法寸法で表示するが、日本では柱芯で表示する。したがって内側へ壁をふかすとそれだけ部屋が狭くなるので、北海道では実際に採用されたことはない」とのこと。
しかし、充填断熱+外断熱の場合は、このべバーバリアの位置が重要な役割を果たしてくれるかもしれません。
参考までに補足しておきます。
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2008年04月25日

いわゆる「逆転結露」解消への福音(上)


イーアイ主催の「ドイツの省エネ技術」の講演の中の「エネルギー・パス」についてはすでに紹介した。
もう1つ逆転結露を解消する「インテロ」という画期的な調湿シートの紹介があった。
これは価格が高い。しかし、なかなか魅力的な新素材。
単に、この新素材の効能を紹介するのではなく、日本における逆転結露問題に関する経緯や研究成果などを含めながら、解説してみたい。

夏期の逆転結露が大問題として提起されたのは20年前。
冬期の壁内結露を防ぐために、外壁の内側、つまり石膏ボードの下にポリエチレンなどの防湿層としてべバーバリアを入れる。
断熱材が薄く、気密性がそれほど良くない時は、結露は冬期だけに限られていた。
ところが断熱材が厚くなり、気密性能もR2000住宅のように1.5回転/h・50pa(相当隙間面積0.9cm2)以下というように飛躍的に向上すると、今度は夏期にべバーバリアの裏側に結露が生じる怖れが出てきた。
これを日本では、逆転結露と称している。

最初にそのことに気が付いたのは、部下の開発担当の若い設計士だった。
定常計算をさせてみたら、結露が生じるという。
この定常計算というのは、夏期外気温度が35℃、相対湿度が80%。そして室内音頭が26℃、相対湿度が60%の状態が10時間以上続くという設定での計算。するとべバーバリアの断熱材側にどうしても結露が生じてしまう。 
まだ、逆転結露という概念が普及していなかった時期。
そこで、断熱材メーカーの2、3の技術者に確かめてみたら、異口同音にやはり結露が生じるという。
なんとか解決の方法はないかと問うたら、石膏ボードの下に10mmの断熱性能の高い硬質ウレタンボード1号を施工すれば、東京では解決することが定常計算上明らかに・・・。

当時、アキレス社が石膏ボードの裏に10mmの硬質ウレタンをサンドイッチした複合建材を売っていた。
早速、町田のモデルハウスで採用してみた。
コンセントボックスやスイッチボックスからの漏気対策と、配管などのコーキングとジョイント部分をきちんと施工すれば、べバーバリアがなくても高い気密性が得られるということも分かった。
使える!
しかし、厳密に言うならば、これはツーバィフォー工法にとってはマイナスの作用を及ぼす。なぜならば、石膏ボードの裏に断熱材を入れるために石膏ボードの保持力が弱くなり、石膏ボードを耐力壁としてカウント出来なくなる。このため、価格面から考えてもあまり使いたくない。
だが、それ以外に方策がなく、R2000住宅の設計・施工マニュアルの外壁の仕様に、石膏ボードの下に10mmの硬質ウレタン1号を使った断面を書き加えた。

ところが、R2000住宅を建設大臣認定制度として発足させる間際になって、ツーバィフォー協会の梶山初代専務からクレームが付いた。
「夏期の逆転結露に対して、絶対に安全であるという確証のデーターを提出しなさい」と。
この梶山専務は建設省の指導課長、金融公庫の理事を経て協会の専務になった実力者。
ツーバィフォー協会は現在では三井ホーム協会と呼ばれているが、梶山専務の時代は三井ホームの横暴を完全に抑えていて、文字通り社団法人として指導的な活動をしていた。
なぜなら、ツーバィフォー工法のオープン化に中心的な役割を果たしたのはホームビルダー協会だったし、建設省がその運動を認め、公庫が標準仕様書をつくったからツーバィフォーが陽の目をみた。遅れてきた三井ホームは恩人の梶山専務や杉山英男先生には大きな顔が出来ない背景があった。

その梶山専務が、中小ビルダーに過ぎない私に逆転結露の保証書提出を求めた。
当時、私の所属していた会社と現マイスターハウスでは、個別に東洋大土屋研究室に2年間にわたって実物のモデルハウスで逆転結露の研究調査を依頼していた。そのことを専務は知っていて、調査内容をオープンに公開しろと迫ったということ。
だが、オープンしたくても調査途中の段階。東京では一時的に結露が生じても、問題になるようなことがなさそうだという感触は先生から聞いていた。しかし、正式に発表出来るような結論は出ていない。
それでも「なんとかしろ」とせがまれて坂本先生に泣きついた。
困った坂本先生は、空気線図に東京、鹿児島、那覇のMaxの●印をつけただけのものを出してくださった。これは、残念ながらそれほど説得力のあるものではなかった。
しかし、設計・施工マニュアルに硬質ウレタンボード併用の図があり、さらに坂本先生の空気線図を加えることで、やっと梶山専務のOKが出た。
梶山専務が逆転結露問題にこだわったのは、協会の有力会員社から強力なヨコヤリがあったからであろう。

このような経緯があって、R2000住宅が夏期の逆転結露問題に火をつけた。
その中でいろんな研究が発表されているが、私が一番注目していたのは建築技術2002年7月に発行された別冊「結露の完全克服間マニュアル」の中の尾崎明仁氏(当時北九州市立大助教授)の「夏期の逆転結露はあるのか」という論文。
先生は「逆転結露はあるか?」と聞かれれば「あると答える。ただし冬期と比べると発生割合は低い。ただし夏期結露はカビ・腐朽の原因になるため冬期より深刻な被害をもたらす場合もある」としていた。
そして、カビ・腐朽の予防基準として「相対湿度が80%以上の累積率が25%」、内部結露の予防基準として「相対湿度が90%以上の累積率10%」を許容限界値とするとした。
その上で、主要都市の西壁と北壁の基準値を超える数値例を挙げている。(この壁体は外側に通気層あり、繊維系断熱材、ポリエチレンフィルム、ビニクロス仕上げ。シミュレーションの詳細条件は省略)

都市      西壁          北壁
      80%   90%    80%   90%   
仙台                 27    12  
冨山         13      30    12   
前橋         12      25    11   
名古屋        14      31    15   
大阪         11      27    10  
広島         14      37    17  
福岡         15      35    17  
熊本         14      32    16
鹿児島        14      37    18      
那覇    30    19      52    28    

この表を見て不思議に思ったのは東京が入っていないこと。そして、仙台、富山、前橋が入っている。いずれも北側の壁にカビ・腐朽の可能性と壁内結露の可能性がある。そして温暖化が進めば、この範囲は次第に北上し、東京も危険地域に入ることは間違いなかろう。
温暖化は、単にCO2の問題や省エネの問題ではなく、壁内結露によるカビ・腐朽の問題でもある。そして、カビの発生はダニの発生にからむかも・・・。

こうした研究発表がなされていたが、私は危機感を感じていなかった。それは、ウレタンの現場発泡をメインとしていたため壁内結露の心配が皆無だったから。
しかし、ウレタンの現場発泡だと解体時はランバーと一緒に燃焼償却をするしかなく、いつまでも石油系断熱材に依存しているわけにはゆかない。やはり繊維系断熱材の研究とその逆転結露対策を考えてゆく時期にきているという印象を強く持つ。

今までの逆転結露に対する懸念は、建築技術2004年1月号で坂本雄三先生が書かれている下記内容が、共通の認識になっていたと思う。

「夏型の内部結露については、本州以南ですでに確認されているものの、晴天日の日中にしか発生しない現象であることも確認されている。そのせいもあって、この結露水は微量で、これが原因で木材腐朽の被害が発生したという報告はない。したがって、省エネ基準では夏型の内部結露防止のために特段の規定を設けてはいない。このように、結露と言っても実害がない微量の結露は許容するというのが平均的な考え。ただし、この実害という言葉があいまいで、カビは不潔であっても即病気を招くものでないから実害としては考えられていないとしているが、本当にこれでよいのかどうかはわからない」
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2008年04月10日

ハウス・オブ・ザ・イヤーの画期的な側面と提起している問題


表彰式写真.doc



ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック2007の表彰式が4月8日に行われた。
大賞が一条工務店とスウェーデンハウス。ほかに特別賞4件と優秀賞が8件。
その詳細は下記URLで確かめていただきたい。
http://www.jcadr.or.jp/

この表彰制度が画期的な点は、住宅業界で初めてトップランナーを表彰したという点にある。
今まで国交省が行ってきた性能に関する制度は、品確法にしろ何にしろ、ともかく一定のレベルを設け、それをクリアーすれば良いという横並びの護送船団方式。
このため、優れた技術や性能を開発しても評価されない。
例えば中越地震を徹底的に研究して、直下型に対応でき、阪神淡路地震の2倍の烈震に耐えられる工法を開発したとしても、3等級の1.5倍にしか評価されない。
省エネ性能にしても、次世代省エネ基準の4等級で打ち止め。
次世代省エネ基準の2倍から3倍の性能を付加しても、4等級としてしか認めてくれない。
「こんな品確法なんかクソ食らえ」と進歩的なビルダーほど反発したのは、道理。

つまり国交省の護送船団方式下の諸制度は、一貫してイノベーションをストップさせるというマイナス効果しか発揮してこなかった。
これに対して経済産業省は、1980年の省エネ法の特定機種指定で、トップランナー方式を採用した。
つまり、優れたトップの性能を認定し、その性能を表示して良い、とした。
このトップランナー方式によって、日本のエアコン、冷蔵庫、自動車などでは技術開発が続けられ、世界のトップレベルを維持して大発展してきている。
ハウス・オブ・ザ・イヤーは、省エネ性能でトップランナー方式の採用を決めた。
今までの閉塞状態に、ともかく突破口を開いてくれた。
この意義の大きさをまず知っていただきたい。
これで、低迷していた日本の省エネ技術開発は、間違いなく弾みがつく。

しかし、日本の大手メーカー、なかんずく鉄骨プレハブメーカーは、駆体の省エネ性能向上に対して見事なまでに不熱心。このため大手が軒並みボイコットし、このトップランナー方式が機能しないのではないかと一部で心配されていた。
当初は表彰制度と併行して、ビルダーの開発した住宅を含め、その性能を評価し認定する制度の新設が議論されていた。正直なところ、私はそちらの方に期待を寄せていた。
だが、この性能認定制度は、省エネ機構(IBEC)などの既得権を脅かすものとして国交省の反対で潰された。地場ビルダーにとっては痛恨の極み。
こうした横槍もあって、地域開発センターの画期的なトップランナー方式は、このまま消滅してしまうのではないかと、昨年の春頃には懸念されていた。

その時、たまたま一条工務店の新しい動きを耳にした。
EPSの断熱材で壁が120mm、天井145mm、床90mm。サッシはPVCペアのアルゴンガス入りで、全窓にハニカムサーモ付き。相当隙間面積は0.71cm2。そして新しく全熱交換で熱回収率が冬期90%、夏期85%の換気装置「ロスガード90」をスペックオーダーする。
このことによりW地域でQ値が1.16WとR-2000住宅を上回る住宅。
そのモデルを拝見させてもらう機会があった。
それを見て、これで間違いなくハウス・オブ・ザ・イヤーは軌道に乗ると確信した。
http://www.ichijo.co.jp/news/lossguard/index.html


さて、話を表彰式の坂本雄三先生の講評に移す。
先生は「省エネなどのエネルギー性能は、数字で現せる」と強調。
「この新しい制度は、定められたルールにしたがってEco度を計算し、もっとも優れた性能住宅を表彰するもので、画期的な意義を持っている。審査の対象は暖冷房・給湯・換気の3点で、照明などの家電は含まれない。いわゆる外皮の性能とヒートポンプの高効率設備だけ。しかし、単なる性能コンペでは意味がない。価格的にもこなれていて、ある程度売れているものでなければ対象にならない。そして、大賞は無理としても、地場で努力したものはそれなりに評価した」との趣旨説明が、まずあった。

ルールに基づいてEco度をシミュレーションした結果、一条工務店とスウェーデンホームが飛び抜けており、大賞に選ばれた。
Eco度だけだと優秀賞の中にすぐれた2点があった。
だが、この2点はQ値が低かった。そのためQ値の高い4点を優先させて特別賞に選んだとのこと。
残念ながら説明資料の配付がなかった。画面だけの説明だったので、図面で示すことが出来ない。このため理解しにくい点はご勘弁頂きたい。
ともかく、設備の性能もさることながら住宅である以上Q値を優先させたという選考基準には納得した。

先生の説明によると、一条工務店のQ値は1.06W/m2(1.16Wではなかった?)で、スウェーデンハウスは1.27W/m2とのこと。
これを約122m2の広さの4人家族の住宅に置き換えると、一条工務店の場合は世帯当たりの年間消費エネルギー(暖冷房・給湯・換気費)が21.1GJ(ギガジュール)でスウェーデンハウスは23.7GJ。
これを平方メートル当たりの年間kWに置き換えると一条工務店が48kWh/m2で、スウェーデンハウスが54kWh/m2となる。(多分正しいと思うが、間違っていたらご指摘頂きたい)

坂本先生の話によると、日本の平均的な一戸建て住宅の年間消費エネルギー量は100GJ
だとのこと。このうち暖冷房・給湯・換気が60%を占めていて60GJ。残りの40GJは照明などの家電が占めているという。
つまり、一条工務店の場合は、平均的な60GJが1/3の21.1GJに激減した。
しかし、家電などの省エネが改善されず40GJのままだと、平均的な100GJが61.1GJになるだけということになる。それでも38.9%と4割近い省エネであることは間違いない。
大きな一歩前進ではある。

そこで先生は、一段と声をあげて言われた。
「3月にたまたまドイツを訪ねてきました。この写真のパッシブハウスの場合は、暖房・給湯・換気だけでなく家電も含めての年間消費エネルギーは16.4GJと、日本の平均的な家庭の16%に過ぎなかった。各メーカーさんは一段と省エネの努力をしてもらわねばならないし、消費者と一緒になって家電全体の省エネ化を強力に進めてゆく必要があります」と。

ドイツのパッシブハウスが達成している16.4GJを120m2の住宅に置き換えると38kWh/m2となる。ドイツの資料を見るとこのうち25kWh/m2が暖房・給湯・換気費で、照明などの家電は13kWh/m2となっている。
ということは、暖冷房・給湯・換気は、一条工務店の半分、つまりQ値を2倍にすればいい。
これから10年間のQ値目標は0.5Wから0.6Wということが明確になった。
これだと、なんとかなりそう・・・。
しかし、家電などの日本の平均的な消費エネルギー量が40GJだとすると、これは大変な数字。
平方メートル当たりに換算すると91kWh/m2と、なんとドイツの7倍にもなる。
これは、どう考えても私の計算ミスとしか考えられない・・・。

ドイツでは、本当に年間13kWh/m2で生活しているのか・・・。
しているとすれば、どんな生活様式なのか。
テレビは何時間見て、多分ゲームはやらず、掃除や洗濯やオーブン、皿洗いはどうしているのか。
そんな、生きた調査の必要性を、ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリックの表彰式の中で、痛感させられ続けていた。
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2008年02月20日

地熱エネルギーで再認識させられた貴重な資料!


「新エネルギー財団」という財団が存在している。
最近はもっぱら●太陽光発電 ●太陽熱利用 ●燃料電池 ●風力発電に焦点を絞って新しい技術の開発や紹介、普及に力を入れている。
しかし、数年前までは●地熱にも力を入れていた。
そして「地熱エネルギー」という雑誌を通巻で100余刊発行している。
その96巻(2001年10月号)が「地中熱の利用」特殊号。

その特集号には、地中熱を利用したヒートポンプや融雪システム、空調システム、給湯システムなどの研究発表が掲載されているが、あまり面白くない。
その中にあって、宇佐美智和子さんの「外気と地中との温度差のタイムラグを活用した地熱住宅」は唯一読ませる。

この雑誌の所在を知らなかった。
2年余前に玉川建設を訪れた時、著者の宇佐美さんから直接頂いた。
ご存知のとおり、私は地中熱利用についてはそれほど熱心ではない。
しかし、この研究発表には心底から打たれた。
なにしろ、7枚にもおよぶ実測の貴重なデータが掲載されていた。
カラーグラフを白黒のグラフに置き換えられてしまっていたので、グラフの持つ意味が良く理解出来なかった。しかし、1997年3月から2001年7月まで、丸5年余に及ぶデータには圧倒された。

省エネ住宅とかエコハウスなどという本や雑誌が腐るほど出版されている。
その中で、地道な実験データの裏付けのあるものは、ほとんど皆無に近い。
省エネとかエコとか快適性、耐震性などという性能は、データで示せる。
デザイン性とか住み心地などというのは主観や情緒の世界。したがって数値化することが難しく、写真などで見せるしかない。
数値の裏付けのない口先だけの省エネ住宅とかエコロジー住宅、健康住宅が横行している。
こういった著書は、正直言ってニセモノ。

1つの例を挙げよう。
東京で、最初に高気密高断熱住宅を取り上げようとした時、解決しなければならない大きな課題が2つあった。
1つは夏期の冷房効果を実証すること。
もう1つは、これも夏期のいわゆる「逆転結露」に解答を用意すること。
とくに冷房効果については、当時の大学教授、東電の技術者、空調メーカーの技術屋さんのすべてが「高気密高断熱住宅は夏期の冷房負荷が大きく、とても実用化はムリ。東京で高気密高断熱住宅を建てようなどという酔狂な真似は絶対に止めた方が良い」と異口同音に発した。
つまり、高気密高断熱の冷房効果を実証する必要があった。
当時の三菱総研の吉田部長が、通産省と掛け合ってくれ、若干の補助金を得て東電の送電線下の敷地を無償で提供してもらい、各27坪の新省エネ基準住宅、次世代省エネ基準住宅、R-2000基準住宅の3棟の住宅を建てた。そして、三菱総研に夏期の5ヶ月間、消費電力などの比較データをとってもらった。
この成果が「日加住宅会議」で発表された。それで初めて大学の諸先生も電力や空調の技術屋さんも、夏期の高気密高断熱住宅の利点を認めざるを得なかった。

夏期の逆転結露も同じこと。2夏に亘って大学の研究室に研究を依頼した。
大手の三井ホームなどが何一つやらないものだから、私の所属していた会社や現マイスターホームの地場ビルダーが身銭を切った。
そうしたデータの蓄積の上に花が咲いたのが、温暖地における高気密高断熱住宅。

そうした経験を何度も積んできたから、宇佐美さんの努力に感動を覚えた。
その宇佐美理論を端的に示すのが下記のグラフ。このグラフは2001年の1月で打ち切られているが、実測は7月まで続き、雑誌にはそのグラフが掲載されていた。


RIMG5641.JPG

このグラフには6本の線が書かれているが、その中の細い赤線と、同じ太い赤線だけを注目していただきたい。
細い赤線は戸外で曝された地下1メートルの地中温度の推移。
千葉の成田市では最低で8℃、最高で28℃程度。つまり年間では約20℃の範囲内で変動している。気温が40℃以上の幅で変動するのに比べて、曝した地下でもその幅が少ないことに驚かされる。
これに対してモデルハウスの地下1メートルの地中温度の変動は、初年度を別にすれば最低で18℃、最高で22℃。つまり年間の変動幅はたったの4℃にすぎない。

この図の最大の欠点は、横軸の測定月日が一定の間隔でなされておらず、バラバラなために図を正確に読みとることが出来ない点にある。
しかし、よく見ると夏期は戸外の温度がピークになるのが8月中旬頃なのに対して、ハウス下では2ヶ月ぐらいずれてピークを迎えている。
冬期も戸外の最低ピーク時からハウス下ではこれまた2ヶ月ぐらいピークがずれている。
これが地下2メートルになると3ヶ月ぐらいのズレとなり、地下5メートルではハウス下の温度の変化は年間たった1℃強であり、半年ぐらいのズレとなる。

このズレ、つまり「タイムラグを利用したのが地熱利用住宅」というのだが、地下1メートルでのタイムラグはせいぜい2ヶ月程度にすぎず、それを強調するだけの実利が残念ながらこのグラフからは得られない。
それよりも、ハウス下の地下1メートルの温度が18℃から22℃であるという事実を私は大切にすべきだと思う。これだと暖冷房設備が無くても生活出来る。
つまり、地下1.5メートルの半地下室だけの平家だと、夏の内部発熱さえうまく処理出来れば冷暖房費は不要となる。
半地下室だけの家ではなく、半地下室のある平家だと、かなり地熱の恩恵が受けられる。
スウェーデンにはこうした地下ないしは半地下室付きの平屋建てが多い。
緯度が高いので、背の高い家を建てると隣の家の日射がなくなるので隣棟間隔を広くとらねばならない。したがって背を低くして地下に潜るしかない。
だが、東京では地価が高いので半地下室付きの平屋というわけにはゆかない。また、北側斜線が厳しく、とても半地下室付き2階建ては許してもらえない。
地下1メートルの地熱を活かすには、実際のところ地下室付きの住宅しかないのかもしれない。 

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そうではなくて、何がなんでも普通の基礎で、この地中熱を利用しようというのがかつての玉川建設であり、エコホームズ。上図の「冬」バージョンを見ると、基礎断熱の床下の温度が15℃から19℃。
これでは寒いので1階のエアコンを稼働させて暖め、2階天井の暖かい空気を機械で地下へ移動させ、それを外断熱の壁を通じて強制的に循環させようというシステム。
合理的なようだが、こんな循環システムにカネをかけるなら充填断熱プラス外断熱とし、床下暖房で掃き出し窓の下から1階へ空気を送った方がはるかに早い。
これは、すでにハイムをはじめとして多くの企業で採用している。
別に地中熱利用と断るほどの話ではない。

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また、「夏」バージョンは、床下の温度が23℃から25℃と低いので、これを小屋裏まで機械的に引き上げて、落下させようという構想。
しかし、床下の気積はたかがしれている。全体の冷房に使える量はない。それを機械的に引き上げるのだったら、断熱層を厚くし、日射遮蔽に配慮した方が早い。
どうせ夏場は、2階のエアコンを除湿運転で稼働させているのだから、子どもだましの小細工を弄することは不要。

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そして、消費者を欺く怖れがあるのが上の図。
私は、最初は外気温度がマイナス2.9℃の時、地中熱だけでこの温度分布になるのかと勘違いをした。しかし、どんなに考えても屋根や壁からの熱損失がなく、絶対にこんな温度分布はあり得ないと宇佐美さんに詰問した。
そしたら、1階のエアコンの設定温度を18℃に設定しての温度分布図とのこと。
それだと、納得。
しかし、何の条件説明もなくこの図を掲げているエコホームズに対する信頼感は、一気に瓦解した。
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2008年02月15日

−20℃の世界の木構造と断熱と換気   旭川で学んだこと(下)

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次ぎに訪問した住宅はQ値0.95Wのツーバィフォー住宅。
Q値が0.95Wと言っても、もう誰も驚かない。
しかし、この住宅は第3種換気。それでこの数字。
東京だと第3種換気を熱回収90%以上の第1種換気に取り変えるとQ値が0.3Wから0.35Wは良くなる。東大の坂本雄三先生は0.4W平均は良くなると言うが、これは少しオーバーな表現のように感じられる。
ということは、第3種換気で0.95Wということは、換気を変えればQ値が限りなく0.6Wに近づくということ。つまり、現存する住宅ではトップクラスの性能値だということになる。

どのようにしてそれだけの性能値を担保したかというと、外壁は206の壁に構造用合板を張り、その外側に204の壁を二重に組み、計230mmの断熱厚を確保したから。
206の壁に204の壁を付け加えるのはもったいない。これだと外壁のK値は0.204W程度にしかならないが、KMブラケットで100mm厚の外断熱とした方が0.157Wと性能は良くなる。しかも価格も若干安くなる。
しかし、この住宅の計画段階ではKMブラケットの情報がなかったということ。
急勾配の小屋裏を使った2階建て。
2階の床をTJIで組み、高さ455mmの小壁を建てる。
その壁に210のタルキを架け、そのタルキに直行して内側に206タルキを二重に架けて375mmの断熱厚を確保している。
この方法も良いが、210のタルキにKMブラケットで100mm厚の外断熱方式でも、それほど性能値は変わらない。木部のヒートブリッジがないからだ。一度、計算していただくだけの価値はある。
しかし、将来は140mm厚のブラケットが求められてくるかもしれない。

サッシはガデリウスのトリプルガラスのエリートフェンスター。K値は1.3W。
暖房は床下蓄熱(5時間通電)という北電の低料金制度を上手に使った方式がメイン。
そのほかに、2階には3台のオイルパネルが配されている。
東京のように性能の良いエコキュートが、寒冷地ではまだまだ使いきれない。これが非常に残念なところ。
そして、急勾配で2階の天井が高くとれるので、部屋の入り口のドアの上に廊下側へ倒れる欄間もどきの小さなドアがつけられた。
夏期にこのドアを倒すと窓からの空気が抜け、その抜けた空気が廊下のトップライトから外へ吐き出される仕組み。風の流れを作って、クーラーがなくても生活出来るようにしようというアイディア。
湿度の高い内地ではあまりお奨め出来ないが、梅雨がなく、夏期の相対湿度が低い北海道ならではの、なかなかすぐれたアイディア。

それと、もう一つ気に入ったのは、ナラのフローリングを中心にナラ系の木材でカラーコーデネィトが統一されていたことと、内装仕上げが珪藻土入りのマルチコンパードの塗り壁仕上げであったこと。
とくに、居間に置かれた家具が、内装の仕上げにマッチしてものすごくいいムードを醸し出していた。
エコハウスということで、やたら無垢材を使うことが流行っている。いろんな材種や色でチンドン屋のようなインテリアを、あちこちの地場ビルダーの現場で見かける。本格的なインテリアコーデネィターの指導を得ないと、目の肥えた奥様方から見放される懸念のものが多い。
センスのないビルダーは、インテリアに口を出してはならない。
そういった意味でこの家は、一級建築士のビルダーが手がけただけの、センスの良さが感じられた。


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最後に訪れたのが、夕暮れに没しようとしていた建築中の現場。
ここでも屋根の雪が雪庇状態。しかし、ツララがない。
ツララがある昔の家は風流のようだが、断熱性能が悪くて住めない住宅だという立派な証明書。

この住宅もツーバィフォーで、第3種換気で、Q値は1.1W台。
シャノンが今春から売り出すK値1.2Wのトリプルガラス入りのサッシを、前倒しで使っている。
そして、旭川という寒冷地だから、窓を大きくとっても床までの掃き出し窓は避けている。
掃き出し窓にすると、どうしてもコールドドラフト現象で床が冷える。したがって、写真のように、最低でも床から20cmの壁を設ける。これが雪国の智慧。

それと、和室に設けた雪見障子。
障子をピッタリと閉めると、裏に空気の流れがなくなり、サッシの下部の空気が冷えて
往々にしてサッシとガラスに結露が発生する。
この結露を防ぐためには、写真のように雪見障子の上下を少し開けておいて空気が流れるようにする。これも賢いビルダーのやり方。
お施主さんも見習って貰わねばならない。

さて、この現場で大変面白いドア枠を発見した。
普通のドア枠は、枠を先付けしてケーシングが後付となる。
ところが、写真のようにドア枠とケーシングが一体化しており、しかも縦枠と上枠があらかじめ工場で組まれて現場へ搬入されている。
したがって、縦枠と上枠のトメ部分がきちんと収まっている。
写真のような黒い戸当たりのパッキングもついている。
しかしこれだと、どうして取り付けたらいいのか?

これを考案したのは旭川で有名な久保木工。
http://www.kubo-mokko.co.jp/body.html
私なども同社の木製の玄関ドアを良く使った。また工場を案内してもらった時、その規模と精度と清掃には感心させられた。ただ、デザインがほんの少しダサいのが難。
その久保木工の考案は、戸当たりの部分で枠と枠をサネでガッチリ嵌め込む方法。
そのサネ部分は戸当たりで隠れてしまうので、シームレスに見える。
実用新案をとっているが、これはなかなかのアイディア。
もう少し白っぽい材種で作れば、東京のマーケットでも十分に売れる。
ただし、東京で売る場合には、それこそ厳しい消費者に鍛えられたインテリアコーデネィターの意見を徹底的にとりいれたデザインであるべし。

旭川から帰った翌週の2月8日、旭川で林産試験所主催の「木製サッシフォーラム」が開催された。
このフォーラムの閉会の挨拶で、北海道ウッドサッシ協会の会長でもある久保木工の社長は次のように宣言したという。
「何としてでも、私共でK値1.0Wのウッドサッシを開発します」と。

皆さん。嬉しいではないですか。日本のサッシ業者が、史上初めてK値1.0Wのサッシの開発を宣言してくれたのです。
そんなにやたらな種類はいらない。木材の圧縮の技術を応用して、国産材で素晴らしいサッシを開発してもらいたいもの。
この宣言を事前に知っていたら、何が何でも久保木工に立ち寄って激励の言葉を掛け、私なりのアイディアも伝えたかった。どうせ帰りが1日遅れたのだから・・・。

そして、嬉しいニュースというのは重なるもの。
仄聞にすぎないが、某サッシメーカーがPVCで1.0Wのサッシの試験を、北総研に依頼することを決めたとか、決めないとか・・・・。
もし、これが事実であれば、日本のサッシはやっとヨーロッパの足元に近づくことになる。
思わず旭川バンザイ、と大きな声を出したくなる旭川小紀行でした。
                                 (了)
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2008年02月10日

−20℃の世界の木構造と断熱と換気   旭川で学んだこと(中)


基礎断熱か床断熱か。
旭川では床断熱が圧倒的に多いと書いた。しかし、よく考えてみると布基礎の型枠が90センチある。床の断熱を厚くしても、床下に配管のスペースが十分にとれる。
しかも、積雪があるからGLから床が高い方がよい。地価も安く、敷地はゆったりある。

これに対して、東京などでは北側斜線に押し潰され、GLからの基礎高を40センチに抑えねばならない。床を厚くして断熱材を充填すると母屋下がりにしなければならない。
床下空間を低くして断熱材を入れようとすると、排水の勾配がとれにくくなり、いざという時に床下へ潜れない。
ということで、東京では基礎断熱の要望が北側斜線の面からも発していることに改めて気が付いた。
つまり、床の性能を上げるには基礎断熱でも厳しいが、床断熱でも厳しいのだ。


さて、旭川で案内していただいた4棟の住宅。
いずれもQ値が1.2W以下で、R-2000住宅の基準をクリアーしている。
ハイムのシェダンのQ値が1.0Wを切ったので、今更「R-2000住宅です」と言っても誰も振り向いてくれない。といって「Q1住宅です」と言っても一般消費者はピンとこない。
やはり、ドイツのように「この住宅の年間暖房費は、設定温度が20℃から21℃で、平方メートル当たり3リッター以内で上がります」と明示してゆくべきだろう。

ところがQ1では、5リッター以上になってしまう。訴訟力が弱い。
灯油の急激な値上がりで、北海道では灯油から蓄暖への乗り換えが盛ん。
しかし、道民にとっては今でもリッター換算の方が分かりいい。
絵内先生を中心とする研究会が「3−0−3」運動を始めようとしている。
これは暖房3リッター、冷房0リッター、給湯3リッターで上がる家づくり運動。
この方が分かりよく、これからの本命になってくると思う。
しかし、それにはQ値が0.7Wを達成しなければならず、K値が1.0Wサッシの開発や寒冷地でCOP4のエコキュートの実用化が伴わなければならない。課題は多い。


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最初に訪問したのが外壁ウッドの瀟洒な建物。
赤いサッシはノルドのアルミウッド。スウェーデンから部品を取り寄せ旭川の工場で組み立てており、現時点では最高級の性能を持ったサッシ。ユーロが強いのでどうしても価格が割高になるのが難点。白は塩ビサッシ。

木軸で、外壁には105mmの高性能GWを充填し、45mmの硬質GWを外断熱として併用している。
この住宅の床断熱は前回紹介済み。
屋根タルキがツーバィ材。敷き桁の上に収め、280mmの高性能GWを充填。そして、べバーバリアの装填工事が手慣れていて綺麗。こんな現場を見ると嬉しくなってくる。
スウェーデンでは、210と206を重ねてギャングネールで締め、375mmというセイの大きなタルキを屋根用に活用している。
ところが、日本のツーバィフォーのプレカットメーカーは北米と大手メーカーばかりを見ていて、このような発想を持っていない。日本の大手メーカーは一周遅れのランナーに過ぎないということが、プレカット屋さんも一般消費者も判っていない。これが情けない。

そして、集成材の柱と梁は金物できちんと収められている。
換気は1種換気で、排気と給気ダクトの工事が始まったばかり。


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次ぎに訪れたのが、現在はモデルハウスとして利用している住宅。
看板にはQ1住宅とうたっているが、実際のQ値は0.9Wを軽く切っている。
したがって、本当に消費者がQ値を理解してくれるのであれば、Q1住宅などと呼称するのではなく、Q値0.852W住宅とかQ値0.91W住宅と謳ってゆくべきではなかろうか。

それにしても雪庇となって垂れ下がっている雪。
昔の家は、天井や屋根の断熱が弱かった。このため屋根の雪はすぐ溶けて滑り落ちた。
しかし、屋根面からの熱損失が少なくなり、屋根の雪はこのように雪庇となってしまう。
昨日、9年前に東京・杉並に建てたR-2000住宅を訪ねた。
1週間前に降った雪は、駅から10分ばかり歩きながら見たすべての家の屋根からとっくに消えていた。それなのに、R-2000住宅の一軒だけが、北側の屋根に雪が残っていた。
とたんに、旭川の雪庇の屋根々々を想い出した。

この住宅は、特注でナショナルに熱回収率90%の換気装置を作らせていた。
90%を回収するということは、大きなエレメントでゆっくり回収しなければならない。
そこで既存のエレメントを2列に並べ、しかも2段重ねとし、計4個を使用している。
このため、どうしても嵩が大きくなる。
しかし、全熱交換機のために結露の問題が起こらず、快調に運転を続け、間違いなく90%の熱を回収してくれているという。
ヨーロッパから輸入した顕熱交換機は、外気が低くなると霜取り運転を開始する。
そのため、旭川では90%の熱回収は難しく、かなり低い数字になっているのではないかというのが各ビルダーの意見。
実際を確かめたわけではないので確言は出来ない。むしろ、ドイツのパッシブハウスが提案しているように、給気は地下のパイプを通し、さらに床下の暖かい空間を通すべきなのかもしれない。そうすれば外気がマイナス10℃でも熱交換機には4℃程度で供給され、霜取り運転は必要なくなるという。
この場合、地下埋設管内部に結露が発生しないかなど、問題が多いと思う。しかし、ドイツで行われている以上、検討してみる価値がある。

ナショナルにこの全熱交換機を2基つくってもらったそうだ。しかし、メーカーは量産する考えはないとのこと。しかし、部品を活用すれば、いくらでも高性能な性能は入手出来ることが判った。熱交換というのはそれほどメカニックな機械ではない。

同モデルの和室の桐の黒い腰板と黒いフロアーが印象的。
1月の電気代が1.8万円。24時間人が住んでいないとしたら、高いのか安いのかは、内地の人間には判断出来ない。
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2008年02月05日

−20℃の世界の木構造と断熱と換気   旭川で学んだこと(上)



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木軸なのに1階床が厚い構造用合板でブラットフォームが構成されている。
そして、厚い床断熱がなされていた。



北方型住宅のセミナーに便乗して、2月2、3日の両日、旭川の代表的な地場ビルダー3社の社長と情話交換をさせていただき、完成現場2ヵ所と工事中の現場2ヵ所を案内していただいた。

訪問する前に、ハウジングシステム社の高橋社長から「ようこそマイナス20℃の世界へ。寒冷地の厳しさを十二分に体験して下さい」とのメールをいただいた。
昔、シカゴでマイナス35℃の世界を体験している。
夕食会場の中華レストランからホテルまでの200メートルを歩く間に、酔いはさめ、歯がガタガタ鳴った。それ以来マイナス20℃以上の世界を経験していない。
薄い股引を引っ張り出し、滑らない靴と手袋、セーター、襟巻きを用意して、いざ旭川へと乗り込んだ。

ところが案内されたホテルの部屋は馬鹿に暑い。
レーザー光で測定してみると床も天井も26℃。
暖かいことが最大のサービスだと勘違いしている。
すぐに暖房を切ったが、一晩中室温は25℃を切らず、寝苦しい夜にのたうちまわった。
そして、会食した居酒屋も暑く、皆さんはセーターを着て平気なのに、私は久しぶりの股引のためセーターどころか長袖シャツも脱ぎ、ランニング姿で鍋を突くというみっともないザマに・・・。
外はともかく「旭川の室内は暑すぎる」という強烈な印象。
そして、2日間はマイナス10℃にしかならなかったが、日曜の夜は雪に弱い羽田空港が閉鎖。このため帰ることが出来ずもう一泊を余儀なくされた。
そのおかげで、月曜日の早朝はホテルを飛び出し、マイナス20℃の世界を満喫することが出来た。

さて、私が旭川でびっくりしたことは、何と言っても木軸工法が、内地でいう「在来木軸工法」とは異質なものに一変していたという事実。
ハウジングシステム社はツーバィフォーだが、会食した芦野組と新濱建設はれっきとした木軸派。
ところが議論を進めると何一つ違和感がない。
「木構造は如何にあるべきか」という点で議論を吹きかけたが、120%ぴったり意見が合う。耐震性や温熱対策で意見が異なる点が1つもなかった。これには嬉しくなった。

内地の伝統的な在来木構造は「大貫工法」。
昔の民家はすべてこれであり、故杉山英男先生はこの大貫工法の耐震性を、歴史をさかのぼって精密に調査されている。
ところが、住友林業をはじめとした在来木造派と言われるメーカーや「自称腕の良い大工さん達」は、太い柱や梁、大貫が得られなくなってきたので、やむを得ず筋交いとか羽子板ボルトなどで誤魔化してきた大正時代以降のチャチで、耐震性の乏しい筋交い工法をもって「伝統ある木構造」などとほざいてきた。
大貫工法を放棄した大正時代以降の細い材による筋交いと羽子板ボルトによる筋交い工法は、日本の2000年来の木構造とは、部分的な仕口、継ぎ手は似ていても、構造的には全く異質のもの。
そのことを正しく消費者に伝えず、チャチな木軸工法をもって「伝統工法」と呼称してきたのは「羊頭狗肉」以外の何ものでもない。

さて、最初に旭川の仲間に質問したのは基礎断熱が良いか、床断熱が良いかという議論。
S邸では基礎断熱を採用し、布基礎の外側には50mmEPSを施工し、布基礎の内側とコンクリートの床面に90cmの幅で100mmの高性能現場発泡を吹き込んだ。
かなり丁寧な断熱施工をしてもらったつもりだった。
ところがプロの久保田氏に計算してもらったら、なんと外壁からの熱損失が16.7%なのに対して土間床からの熱損失13.8%と想像以上の高さ。
このため、基礎断熱に対する疑念が払い切れていない。
布基礎の外側にぐるりと幅90cmのEPSなどを施工する、いわゆる「スカート断熱」をやった経験がない。北海道ではこのスカート断熱が普及している。
まず、このスカート断熱の熱計算方法を教えて欲しいと3人に懇願した。

ところが、3氏とも「スカート断熱そのものは土間の熱計算にはそれほど貢献してくれない」という。
それなのに、なぜスカート断熱が流行っているのか?
「それは布基礎の高さに関係があるからだ」とのこと。
雪が積もる旭川は、雪が積もらない帯広地域よりも凍結深度が浅いのだそうだ。
それでも、まともにやるためには1200mm高の型枠が必要になる。
ところが、スカート断熱をすると、基礎底盤の凍結深度が緩和され、900mmの型枠で用がたりるようになる。
1200mmと900mmの基礎高では、型枠だけでなく鉄筋も生コンも節減出来る。
そこで、スカート断熱全盛時代となってきたというわけ。
「熱損失の改善のため」と思いこんでいたのはどうやら的はずれ。

そして聞いたら、旭川では床断熱が圧倒的で、基礎断熱というのは熱効率という面からもほとんど採用されていないとのこと。
ここでも、私の無知がさらけ出てしまった。
しかし、一番寒い旭川で基礎断熱が熱効率の面から見送られているのに、内地の「新しもの好き」の間に基礎断熱が流行っているのはなぜなのか?

これに対しては2つの意見が出された。
1つは、内地型の在来木軸工法では、床に厚い断熱材を入れることが技術的に難しい。
このため、安易な基礎断熱に逃げているのではないか。
北海道でも函館となるとシロアリの心配がある。これから温暖化が進むとシロアリの脅威は今以上に北上する。それなのに基礎断熱が採用されているのは、木軸工法そのものの構造を変えようとしない怠慢のせいだというのが北の旭川の意見。

それと、もう1つはソーラーサーキットなど壁の中に空気を流すシステムが未だに反省されずに続けられているから。
外壁の中を空気が流れると言うことは、対流で外壁の断熱性能が失われる。
対流止めを入れて、断熱材内部の空気を移動させてはならないということが、北海道だけではなく全世界の常識になってきている。
つまり、1階床は、木軸でもブラッとフォーム工法にして、地下の空気を外壁の中にいれるという愚をまずやめる。
そして、よく聞いてみると、木軸なのにほとんど通し柱を使っていない。
管柱で、胴差しの部分できちんと対流を止め、2階の床もツーバィフォーのブラッとフォームのコンセプトを全面的に採用している。

つまりOMソーラーとかソーラーサーキットなどというのは、次世代省エネ基準以前の、前世紀の中断熱時代の遅れたシステム。
これから求められている外壁は、K値が0.2Wを切り、かぎりなく0.15Wに近づいてゆかねばならない。
そうすると、充填断熱プラス外断熱ということにならざるを得ない。
今までの中断熱時代の、外断熱だけにしがみついているフランチャイズシステムと、それを有難く受け入れている工務店は地球に対する共犯者となってくる。
指名手配される業者となる。

つまり、基礎断熱を推進している業者は、土間から失われている熱の大きさ意識的に無視しているか、そのデメリットをあえて公開していない。
そして、外壁二重通気工法を謳っている業者は、CO2の増加に協力的なシーラカンスのような過去の遺物にすぎないということ。

ただし、土間コン床スラブを蓄熱体として積極的に活用するとか、一部内部に床下空間を設け、そこから地下を通して換気の給気ダクトを上げてくるとか、一部の床下に暖房機を置く場合などは、厳密な熱計算でその優位性が立証されれば、採用されるべきであろう。

言いたいのは、いたずらな基礎断熱礼賛論には、眉唾が必要だということ。
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2007年12月25日

塩ビはダイオキシンや環境ホルモンの真犯人ではなかった!


1999年の2月、テレビ朝日夜の久米宏のニュース番組で「塩ビの焼却で、所沢の野菜がダイオキシンに汚染されている」と報道され、一躍塩ビがダイオキシンの元凶であり、真犯人であるとされた。
「あるらしい・・・」ということではなく、絶対に「そうである」という盲信が、日本全国に広まった。

そればかりではない。硬い塩ビを軟らかくするために加えられる可塑剤のDEHPは、人体の内分泌を攪乱する物質、つまり生体にホルモン作用を起こし、精子を死滅させる環境ホルモンであると一方的に決めつけてしまった。

塩ビは、どんな用途に使われているか。
日本では土木・建築関係が3/4以上と圧倒的に多い。
・パイプ・継ぎ手   41%
・電線被覆      10%
・床材・繊維      8%
・建材・窓枠      7%
・壁紙・レザー     6%
・フィルム・シート   4%
・波板・平板      3%

・農業ビニフイルム  10%
・押出品        4%
・成型品・その他    7%   

しかし、窓枠や壁紙など、住宅に見える形で使われているのは13%に過ぎない。
ところが自称エコロジー派の人々は、ここぞとばかり塩ビメーカーだけでなく、それを採用しているビルダー仲間を激しく攻撃した。
「塩ビサッシを使っている会社は人類の敵だ!」
「壁紙を採用しているビルダーは、時代遅れの大馬鹿者だ!」
「ドイツでは自然素材しか使っていない!」と。

この論旨は、最初から納得出来かねた。
なぜなら、ドイツでPVCサッシの比率が55%を越えているというのが世界の常識。
ところが、彼らはドイツで採用されているルナファザーとか木質系の断熱材のエコロジーのことだけを熱く語った。
そして、ドイツの新築住宅の半分以上に使われている塩ビサッシについても、また信じられない勢いで進行していたパッシブハウス省エネ運動についても、何も語らなかった。
もし、本当に塩ビサッシが危険なものであるならば、何故ドイツへ行った時にそのことを抗議しないのか。抗議しないまでも猛毒の危険があるというのなら、採用している本当の理由を糾さなければならない。
それをやらずして、自分の都合のよい点だけを並べてのPRは、許し難い。

塩ビは、処理さえきちんと行えばダイオキシンを発生させない。
現に日本のダイオキシン放出量は2000年代に入り激減している。
そして、可塑剤のDEHPは環境ホルモンに関係がないことを、環境省と厚生労働省が認めている。
詳しいことを知りたい方は、下記URLへ連絡して「ダイオキシン問題について」「塩ビの可塑剤DEHPの安全性について」「塩ビのリサイクルビジョンについて」「新たな発見・生活と塩ビの環境最前線」などのパンフを入手して頂きたい。
  塩ビ工業・環境協会     http://www.vec.gr.jp/
  塩化ビニル環境対策協議会  http://www.pvc.or.jp/    



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さて、ここで図を見て頂きたい。
これはプラスチックサッシ工業会が作成したもの。
この資料にはイギリス、カナダなどのデーターが載っていないが、ともかく先進国でアルミサッシの比率が90%も占めているのは日本だけだということが分かる。
アイルランド、ドイツをはじめカナダや北欧などの寒冷地でアルミサッシの比率が低いのは納得出来る。
しかし、あの暖かい西部や南部を持つアメリカでも16%にすぎない。
そして、地中海に面しているフランスでも34%。
ところが、日本では90%を占めている。正にアルミサッシ天国。
日本だけが、何故こんなにもアルミサッシが威張っているのか?

第1の原因は、ガラスが量産されるようになってからどの国でも窓には木が用いられてきた。一部の高層ビルにスチールサッシが使われたが、ヨーロッパの住宅用に使われていたのは圧倒的にウッドサッシ。
堅木の木枠にペンキを塗って使う。
ほとんどが上げ下げか、外開き。
そして、引き戸は一本引きしかない。あとはFIX。
非常に気密性と断熱性に優れており、このヨーロッパのサッシと住まいの習慣はそのまま新大陸のアメリカへ持ち込まれた。

これに対して、日本の木の窓は、サッシではなかった。
あくまでも針葉樹で造った木の建具。
格子にガラスをはめ込んだ引き違い。
ともかく、夏には開けっぴろげに出来ることが絶対条件。
このため、全ての建具が引き違いで、開き戸は仏壇の観音開きと便所だけ。
この木製建具を襲撃したのがアメリカから技術を導入した不二サッシのアルミサッシ。
東京オリンピックの数年前。
当時、輸入技術によるアルミサッシには、引き違いがなかった。
それを、日本流に「アルミ建具」に改良した。
そして、木材価格の高騰から、東京オリンピックの年に木製建具よりもアルミ建具の方が、価格的に安くなることが予見出来た。
そこで「現在アルミの窓は月に1万窓しか売れていないが、数年後に月100万窓になる」と駆け出しの記者が大々的にキャンペーンを張った。
私の予見以上のスピードでアルミ建具が普及し、石油ストーブの普及と相まって日本で初めての本格的な第1次窓革命が勃発した。

第2の原因は、建設省(国土交通省)のアルミの過保護。
建築研究所ではアルミ、PVC、ウッドの防火性能の本格的な比較実験をやり、どれが国民のためになるかを検証していない。
このため防火性能の面で、PVCやウッドサッシが、欧米における評価に比べて余りにも低い評価を受け、厳しい認可条件を突きつけられている。
このため、準防火地域やマンションで、PVCやウッドサッシが採用されていない。
韓国のマンションではPVCサッシの普及が95%以上、中国でも40%を越えてきていると言われている。
サッシに関して、日本はアジアの最後進国になりつつある。

今、日本に求められているのは、地球の温暖化に伴う第2次窓革命。
それは、「気密性の悪いアルミ建具からPVCやウッドサッシへの転換」である。
いや、ヨーロッパで進められているのは「木とPVCやアルミと断熱材が渾然と一体化したハイブリッドサッシの開発」である。
なぜなら、アルプラではどんな高性能ガラスを使っても、可能なK値は2.0Wにすぎない。
そしてPVCサッシでは、現在の技術水準から言ってK値は1.2W。金型で新しい型を興しても1.1Wから1.0Wをクリアーするのが限度であろう。
これに対して、ヨーロッパのパッシブハウスが求めている開口部のK値はなんと0.8Wから0.5Wというすさまじい数値。
パッシブハウスが求めているのではない。
地球が、住宅関係者にそれだけの性能を求めている。
これに応えられるのは、ハイブリッドサッシをおいてない。

ところが日本のサッシメーカーには、準備された技術が1カケラもない。
嗚呼!
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2007年07月05日

窓の断熱性能表示ガイドラインに対して意見書の提出を!

ネットフォーラム欄へ、6月21日に「kei2@北関東」さんから経済産業省の「窓のガイドライン」に対する意見書掲出の提案がありました。
私は今日、なんとか意見書を郵送しました。
しかし、意見書の締め切りは7月9日(月)必着となっています。
必ずしも郵便でなければならないというわけではありません。
FAX番号は 03-3501-6799
あるいはメール jyutaku-ka@meti.go.jp でも受け付けています。
書類の書き方は、私の意見書を参考にして頂ければと存じます。
なお、詳細内容は下記URLを開いて下さい。
私だけでなく、多くの同志の方々から意見書が提出されることを祈念します。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=595107040&OBJCD=&GROUP


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写真はフランクフルトの小学校に使われていたK値0.8Wのサッシの断面

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写真は北洲のサステナブルハウスに試験採用されたK値0.68Wという超高性能サッシ




経済産業省製造産業局住宅産業窯業建材課
     パブリックコメント担当様

「ガラスおよびサッシの断熱性能表示に係わるガイドライン(省エネ建材等級
 ガイドライン)」に対する意見

氏     名       高気密健康住宅研究所所長 鵜野日出男 
 住     所       東京都小平市喜平町
 TEL&FAX番号       042−321−8812
 E-mail  unohideo@nifty.com

・該当箇所
   
 熱貫流率の性能値の上限が2.33Wと定められている点。

・意見内容

日本の住宅の省エネ性能が、欧米に比べて低水準にある最大の理由は、品確法の「温熱環境」で、最上級の4等級が「次世代省エネ基準をクリアーしておれば良い」とした点にあります。
つまり、次世代省エネ基準をもって最高の性能値としたため、技術開発が停滞し、欧州
各国が共同で進めているパッシブハウスプロジェクト(年間暖房費15kWh/?u)に、大きく遅れをとっています。
「省エネ建材等級ガイドライン」は、この品確法と同じ危険性を内包しています。
つまり、現在の技術レベルで簡単にクリアー出来る2.33Wをもって最高級の★★★★
を与えれば、技術開発はそこでストップし、消費者や全国の先進的なビルダーが求めている高性能のサッシの入手が期待出来なくなります。

経済産業省は1980年の省エネ法の特定機器指定で「トップランナー方式」を採用しました。
その結果、エアコン、冷蔵庫、エコキュート、自動車などにおいて、世界でトップの省エネ性能を実現し、国際競争力を著しく強化してきました。
その、名誉ある実績を持つ経済産業省が、国土交通省の二の舞となりかねない形でガイドラインを設けられることには、いささか疑問符が付きます。
そして、必要なのは、サッシにおいても優れた性能を認め、その性能値を表示する「トップランナー方式」を採用していただくことであります。
住宅というマーケットは非常に地場的で閉鎖的です。このためグローバルな経済社会の外にあります。
それに習って、国際競争力に曝されているガラスやサッシ産業界の技術開発の芽を摘むようなことがあっては、長い目で大きなマイナスになります。このままでは「高性能サッシはヨーロッパからの輸入品に限る」ということになりかねません。

・理  由 

私は、多くの消費者と地場ビルダー仲間から「高断熱用サッシの性能値の表示が、一律02.33Wであるのはおかしい」という意見を数多く聞いています。
「アルプラもPVCサッシもウッドサッシも、表示されている数値は2.33W。このためどうせ同じ性能値なら安い方が良いという設計士の薦めでアルプラを選んだ。そしたら枠に結露が生じた。よく調べたらLow-Eとかアルゴンガス入り、さらには遮熱ガラスを使えば結露も生じないし、夏の日射も防げて省エネになりCO2の削減にも貢献出来る。そうした高性能サッシの存在を後で知った。多少イニシアルコストが高くても、性能の良いサッシを選んだ方が長い目で見てメリットが多い。そのことを設計士は教えてくれなかった」と嘆いている消費者は少なくありません。

ヨーロッパでは、断熱材を厚くすることもさることながら、住宅における省エネのポイントはサッシの性能を上げることと熱回収率の高い換気装置の開発にあると言われております。
そして、現在ヨーロッパから輸入されているサッシの熱貫流率はトリプルガラスで1.3Wから1.5Wという性能値が容易に入手出来ます。
その背景にあるのが同封した写真に見られる驚くほどの性能値の高いサッシの技術開発競争です。

(1)から(4)の写真は、ドイツのフランクフルト郊外での小学校建築でのパッシブハウスプロジェクトの実例。延べ8700?uの幼稚園と小学4年生まで約500人の児童が通う校舎。そこには各教室に小さな薪ボイラーの補助暖房設備しかありません。
これは、昨年2月に北海道のアース21というビルダーグループが訪問して調査してきたもの。
(2)のサッシの熱貫流率は0.8Wという数値。ガラスだけだと0.6W。つまりアルミ・ウッド・断熱材・ウッドと多重構造にしても枠の性能値が落ちると言うこと。
(3)はめ殺しサッシで外側に電動ブラインドシャッターの溝が見えます。
(4)夏外気が冷えた時に自動的にサッシが開き、冷気を導入するシステム。夏期の相対湿度が低いヨーロッパだから可能なシステムです。

(5)はスロベニアで生産されているトリプル+1の熱貫流率0.68Wという信じられないほどの超高性能を持つサッシ。
(6)の断面図を見れば判るように、ウッドの外側に断熱材を包み込んだアルミ枠が被覆しています。価格は高くてまだまだ実用性に欠けますが、こうしたイノベーションが絶えず行われているので企業の切磋琢磨が続けられ、高い性能値のサッシが日本へ輸入されてくることになります。

日本には、真空断熱材など優れた技術開発がなされています。それらの技術をサッシに応用してゆけば、自動車とともに日本は世界に冠たるサッシ生産国になることも決して夢ではないと考えます。
そのためには、イノベーションを促す「トップランナー方式」を採用することこそが、日本のサッシ企業を活性化させキーポイントだと考えます。
私どもビルダーや消費者が切望しているのは、熱貫流率2.33Wという護送船団方式による世界的に見ると低性能のサッシ群ではありません。なんとか1.0Wを切るというトップランナー方式によるイノベーションサッシが欲しいのです。

もちろん、温暖地に立地する日本の場合は、寒冷地のように暖房対策だけでことが足りるわけではなく、より冷房とか除湿対策、あるいは省エネ機器の普及ということが比重を占めるのは事実です。しかし、高断熱化すればするほど開口部からの熱損失の大きさを考えると、2.33Wサッシの普及で事足りるとする考えには絶対に賛同するわけにはゆきません。

もとより品質の表示を通じて高断熱サッシの普及を図ろうとする「省エネ建材等級ガイドライン」構想そのものには賛同いたします。
どうか経済産業省におかれましては、品確法の苦い轍を踏まれることがなく、等級ガイドラインにプラスしてトップランナー方式を併用されることを、衷心より切望致します。
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2007年05月25日

オープンスペース・コミュニティというコンセプト

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土地の共有化という社会主義運動が戦後のアメリカで「オープンスペース・コミュニティ」の名で一大展開を見せた。
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古い日本的な宅地開発の例。道路面積が25%も占めている。
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同じ宅地をランドプランニングのテクニックを用いるとオープンスペース団地に一変する。



もう30数年も昔の話。
40人の住宅産業人とツアーを組み、日本人としては初めてNAHB(全米ホームビルダー協会)のワシントンの本部を訪れた時、アメリカのビルダーが私共に見せてくれた最新映画が『オープンスペース・コミュニティ』だった。

当時、分譲住宅を手がけたことがなかったので、この最新技術の素晴らしさ、つまりイノベーションの意味が判らなかった。
それがおぼろげながら判ったのが数年後で、(財)住宅情報サービスの佐々木専務に依頼されて「ランドプランニングの基礎」という小冊子を書いた。
その小冊子が書棚から紛失し、出版元にもないという。手元にある古い資料を頼りになんとかコンセプトだけでも解説してみたいと思う。

アメリカの旧市街地はご多分に漏れず直線で四角に区切られ、アベニューとストリートで区分。車道と歩道は常に交差しており、自動車にも歩行者にも大変に危険。
それが、戦後郊外に出現した新しい街では、車道と歩道が完全に分離された。
大変見にくいが、上の古い白黒の写真をクリック拡大して頂きたい。
一番の特徴は、幹線道路に沿って家を建てるのではなく、カル・デ・サスと呼ばれる回転路に沿って、ブドウの房のように家を張り付けてゆく手法が登場したこと。
このカル・デ・サスは必ずしも丸い回転路とは限らず、三角のものもあれば細長いものもあった。

いずれにしても道路は、スーパーでいうならば商品の搬入路。舞台裏。
新しい郊外の住宅地では道路はどこまでも住宅の裏側。
玄関は広々としたオープンスペースに面した歩道側にある。
このため、幼児もお年寄りも交通事故の心配や排気ガスにまみれることなく、安心して集会所やプール、幼稚園などに通うことが出来る。

たしかに広々としたオープンスペースがあるに越したことはない。
「そんなことをしたら宅地価格はべらぼうに高くなって、とてもじゃないがサラリーマンには手が届かなくなるのではないか」という当然の懸念が湧いてくる。
サラリーマンの手の届く範囲に収めてオープンスペースを広くとるには、各戸に配分する宅地からオープンスペース分を差し引いて供出するしかない。
そして、入居者は占有スペースと共有スペースの両方を登記する。

このメリットをいくら口で説明しても判ってもらえない。
そこで真ん中の図を見ていただきたい。
これは、当時実際に日本で分譲されていた延べ6万坪の住宅地。
歩道付の幅8メートルの道路の外は6メートルと4.5メートルの道路が、全宅地に接するように配分され、区画がなされている。日本でお馴染みの宅地形態。

ところがよく見ると道路面積が25%にも当たる1.5万坪も占めている。
そしてT字型交差点が70ヶ所、十字型交差点が19ヶ所、計89ヶ所もの交差点がある。
そして公園やスポーツセンターはたった5.4%しか占めていない。店舗や幼稚園、事業用地は3.8%で、どこへゆくにも車道を通ってゆくしかない。
運転手も住民も、交通安全を最優先に考え、おどおどと生活しなければならない。
そして、専用住宅用地は65.7%の3.95万坪。
住宅戸数が697戸だから1戸当たり専有面積は平均56.7坪。
これが、東京近郊で売られていた宅地の実際。今では宅地が転売されミニ開発がなされ、アパートが建てられたりしている。
宅地全体がスラム化してきている。

この宅地をオープンスペース・コミュニティのコンセプトで開発したらどうなるか。
稚拙だが、ランドプランニングの手法を用いて描いたのが下の図。
まず注目して頂きたいのが幹線道路を12メートル幅、アクセス道路幅を7メートルに拡げたのに道路面積は半減して7900坪で13.2%。
交差点は60%減少してT字型のみで35ヶ所。ものすごく安全な宅地に一変。
そして専用住宅地は36.8%で2.21万坪。
戸数が同じとすると1戸当たりの専有面積は31.7坪。
この専用面積にはガレージと専用庭が含まれる。

そして、ショッピングセンターを除いたオープンスペースはなんと2.82万坪で47%も占めている。つまり入居者は31.7坪の専有地の外に平均して40.6坪分の共有地を持っているという勘定。
そして、住居は戸建てとは限らない。2戸1棟でも、タウンハウスでもいい。
この共有地の中に集会所やプールやテニスコート、幼稚園のほかに広々とした遊歩道と緑の遊び場がある。
したがって、この素晴らしいコミュニティはいつまでたっても不動産価値を下げることも、スラム化することもない。
いや、逆に不動産価値が次第に上がってゆく。

かつてのように広い専有地を持つことが出来れば、プールや広い庭を持つことが出来た。
しかし、人口の都市への集中を考えると宅地の狭小化が避けられない。
そして、道路面積だけがやたらと増大し、交通事故と排気ガスが増え、都市から緑が失われてしまう。
それを防ぐには『各戸から宅地を供出して、緑の多い共有のオープンスペースを創ってゆこうではないか』というのが「オープンスペース・コミュニティ」のポリシー。

言ってみれば、あの資本主義の権化のようなアメリカで、美しい宅地を共有化してゆくという社会主義運動とも呼ぶべき運動が、ホームビルダーによって提唱され、それがアメリカの市民の絶対的な支持を得て、全国的な運動として展開したのだ。

本来であれば、日本では左翼文化人とか自称進歩人が最初に飛びつかなければならないコンセプト。それなのに、左翼文化人は私の提案にそっぽを向いた。
今から考えると馬鹿みたい話だが、当時は住宅公団が建設しているニュータウンから自動車を閉め出すことが、進歩的な正しい考えだとされていた。
アメリカのランドプランニングは自動車社会を前提としており、けしからぬというわけ。
こうした近視眼が、消費者の近未来行動を正しく予測出来ず、ニュータウンを魅力のないものにして、現在のような廃墟タウンにさせてしまった。

また、大学の都市工学の諸先生はヨーロッパばかりを見て、アメリカのオープンスペース・コミュニティという一大イノベーションを正しく評価する洞察力に欠けていた。不動産会社も土地の値上がり益のみにオンブしてトライをさぼった。その結果、日本では公団の住宅団地と民間の古い手法による宅地開発のみが進み、コミュニティづくり運動が起こらなかった。
当時、私はツーバィフォーのオープン化運動に忙しく、折角書いた「ランドプランニングの基礎」を各大学の都市工学部へ送るということをやらなかった。
そのことが反省材料。

そして、公団住宅が売れなくなった20年前から、RCの中高層住宅に変えて低層のタウンハウス団地の開発が試みられたが、時すでに遅かった。
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2007年04月30日

東京地域の理想的省エネ外壁(7)  効果的な充填+外断熱(KM+ロックウール)

KM-1.bmpロック 1.bmpロック 2.bmp

KMブラケットの取付は、下記URLを開いていただきたい。
http://www.km-h.co.jp/
冬期の札幌だったが、撥水ロックウールボードは、雪の舞う中でも施工を行っていた。




大都市の外断熱材として、最大の関心を払う必要があるのが耐火性。

隣家から火事が出た場合、無傷というわけにはゆかない。
まず、屋根下地のルーフィング材が瞬時に全部燃えてしまう。
だが、屋根から類焼する心配はない。
しかし、隣家から火が出た場合には屋根材を剥がしてルーフィング材から施工をし直す必要がある。

類焼で一番問題になるのは軒裏。
この部位の耐火性能は、建築基準法でうるさく指定されている。

次いで外壁。
隣家が火事になると、家が建て込んでいた場合、出火から30分で外壁の表面温度は840℃になると言われている。
発泡プラスチック系の断熱材は、何℃で劣化をはじめ、何℃で熔解するかを確かめて頂きたい。
通気層の煙突効果を考えると、死んでも発泡系プラスチックは外断熱に使いたくない。
それを平気で使っているビルダーとシステムが横行している。
そんなビルダーやシステムを信用する方が悪い。
「これは消費者の自己責任ですよ」と言いたくなる。

木の繊維で出来たドイツ産のエコパネル。
隣家の火事で、モルタルの裏のパネルが燃え出して炭化する。しかし、30分では剥落したり、パネルの裏まで火が回ることはない。このため、206の充填断熱の外側に40mmのエコパネルを施工し、モルタル仕上げをするのもパッシブハウス用の省エネ手段として有効な一手法。
この場合のK値は0.23Wから0.25W。
パッシブハウスの仕様としては若干物足りないけれど、かなり優れた数値であることは間違いない。
選択肢の1つとしてリストアップするだけの価値がある。

グラスウールは不燃だが、400℃からの性能劣化が問題。
露断などの硬質のグラスウールは使いやすい。しかし500℃を突破すると急速に細繊維の劣化が始まり600℃で溶解する。
したがって、外断熱用の素材としてはイマイチ。

やはり外断熱用の素材としては、世界で認められているのがロックウール。
700℃でも形状を維持し、体積の変化もないと言われている。
したがって、外断熱用の素材として選ぶならば「ロックウールを第1番に挙げる必要がある」と北海道のビルダー仲間から何度となく聞かされてきた。
しかし、ロックウールの外断熱需要は主として北海道地域を対象にしており、標準厚が60mmと100mm。
東京で使いたいと思っている40mm厚がない。
このため選択肢の1つとして考えてはいたが、本格採用までには到らなかった。

ところが今年の3月、札幌での真空断熱材の研修会の折に、KMブラケットによるロックウール断熱の施工現場を案内してもらった。
まさしく「百聞より一見」。

東京では外装材の保持力を考えて、外断熱材の厚みを40mmにこだわっていた。
それ以上だと、直下型地震で外装仕上げ材が剥離してしまう。40mmよりは30mm。30mmよりは20mmと、薄ければ薄いほど良いという先入観。
ところがKMブラケットを使うと60mmでも100mmでも剥離の心配がない。
KMブラケットの存在そのものは、2年ぐらい前からネットで知っていた。
知ってはいたが、内容を確かめず、信頼していなかった。

改めて資料をよく読んでみると、KMブラケットの主原料はポリカポネート樹脂とファイバーグラス。
ポリカポネートというのは防弾用のヘルメットなどに使われている優れもの。
それにファイバーグラスというから、文句の付けようがない。
このKMブラケットを幅455mm、高さ600mm間隔に施工すると、外壁の耐荷重は134kg/uという。タイル仕上げでも石仕上げでもOK。
素人の常識を覆すだけの性能を持っていた。
いまさらながらの一目惚れ。

206の外壁に高性能グラスウール140mmを充填し、外側にKMブラケットを使って60mmのロックウールのボード(熱伝導率0.036W)を施工すると、K値は0.2Wから0.21Wという高い数値を示してくれる。
私が勝手に叫んでいる0.22Wを軽くクリアーしてくれる。
一目惚れした理由が分かって頂けると思う。

そして、コスト的に言うならば、何も206材の外壁を使わなくても、204材の外壁に高性能グラスウール90mmを充填し、KMブラケットを使って100mm厚のロックウールを外側に施工したとする。
この場合のK値がなんと0.22W。
私の叫んでいる数値にぴったりではないか。
そして、価格的にはどうか。

最初に提示した延べ40坪のプロトプラン。このプランの開口部を除いた外壁面積は約142m2。
KMブラケットの施工には熟練が必要。また、ロックウールの購入にはある程度のロットが不可欠。
そうした条件が揃えば、客出し単価は3600円/m2程度で可能に。
ということは142m2だから52万円高で済む。
坪単価が1.3万円高くなる勘定だが、費用対効果は下手なパネルよりはいい。

いいですか。
40坪の204の外壁だとK値が0.57Wの住宅が、52万円を出してKMブラケット+100mm厚ロックウールを施工すると、なんとK値は0.22Wと2.5倍にもなるのです。

204の外壁は12.5mmの石膏ボートと12mmの構造用合板を合わせても壁厚は113.5mmしかない。それに100mmのロックウールと18mmの縦胴縁に18mmのサイデング仕上げをしたとすると、外にふかす分が136mm。壁厚よりも厚い。
こんなことで良いのかどうかと言う細部の検討は、別の機会に行いたい。

私の個人的な考えは、外壁は206であるべき。
206+60mmのロックウールが東京エリアの理想型だと思う。
しかし、コストということを考えると204+100mmということがあっていい。
木軸だと3.5寸角+構造用面材+100mm。
3.5寸角をダブルに重ねるQ-1の提案よりは優れている。

開口部周辺の納まりなど解決すべき問題点は多い。
だが、KMブラケットと撥水性のロックウールボードは、凝り固まった前頭葉に新しい血を注入してくれている。
(完)
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2007年04月25日

東京地域の理想的省エネ外壁(6)  208かそれとも206+外断熱か

IMG_0022.JPG


私は、今まで木造での外断熱には批判的であった。

欧米ではRC造は原則として外断熱である。
丈夫な太くて防錆鉄筋を用いているので、100mm厚のロックウールを外側に施工しても仕上げ材が垂れてくるということはない。
防火の面でも安全。

そして、欧米の木造は原則として壁内の充填断熱。
折角の空間に断熱材を充填しないというのはもったいない。
内側を12.5mmの石膏ボードで覆えば、防火の面でも心配ない。

この世界の主流に対して、日本の在来木軸だけが外断熱を謳歌。
筋交いが邪魔になって断熱材が充填出来ない。気密施工も難しい。
そこで、やむを得ず外断熱を選ぶしかなかった。
ところが、ど素人のジャーナリストがペテン師の策謀に乗っかり、外断熱が特別に素晴らしく、最高の技術であるかのように消費者に宣伝し、欺いてきた。

まず、いただけないのが、外断熱業者のほとんどが発泡プラスチック系の断熱材を用いていること。
隣家が火事になると、不燃の外壁を用いていても、その裏で発泡プラスチック系の断熱材は完全に熔融してしまう。
外壁の通気層が煙突効果を発揮し、いとも簡単に熔融。
そんな被害報告が、年に何回となく入ってくる。
したがって、真面目なビルダー、真に消費者のことを考えるビルダーだったら、怖くて発泡プラスチック系の外断熱には手が出せない。
私の仲間には、そんな厚顔な無知と勇気を持った者はいない。
田舎の一軒家の需要を除いて……。

二番目の問題点は、外装材の保持。
例えば50mmの断熱材を用い20mmの縦胴縁を用いたとする。
150mmの長ビスを用いたとしても、70mmは外に出ている。
この70mmのビスクギを曲げるのは簡単。小学生の力でも曲げられる。
こんなことは構造強度のイロハ。
その頼りのない縦胴縁にサイデングなどの外装材を取り付ける。
当然、経年変化で垂れてくる。
「震度7の直下型地震には絶対に耐えられない」と断言出来る。
ガルバニウムなどの軽量サイデングを用いる場合以外は、良心的なビルダーだったら、これまた怖くて使えない。

ということで、決してアンチ外断熱ではなかったが、RC造以外では外断熱を積極的に評価出来る根拠が一つもなかった。

ところがである。
パッシブハウスということを考え、外壁の熱貫流率(K値)を0.22W以下に抑える必要性に迫られてきた。
新しい模索が始まった。

つまり、R-2000住宅までは、外壁の204材を206材に切り替えるだけで良かった。
高性能グラスウールの充填断熱を前提に考えると、204だと0.57WのK値が、206にするだけで、K値は0.34Wから0.36Wとなる。
関東地域のR-2000住宅は、これで対応出来る。
この0.34Wというのは、スタッドの使用を最小限に抑えて木部の面積を小さく工夫したものであり、0.36Wというのは、4本柱や5本柱を使った木部面積の多い高価なパネルの場合。

この0.36Wの外壁の性能を50%近く上げないと0.22W以下にはなってくれない。

考えられる方法は2つ。
1つは壁を厚くして充填断熱材を厚くしてゆく方向。
つまり、206材を208材とか210材に切り替えてゆく方向。
これはスウェーデンやノルウェーなどの北欧が採用している方向。

もう1つは、206の充填断熱+外断熱という方向。
この方向では、いろんなバリエーションが考えられる。
ただし、外断熱として発泡プラスチック系を除外して考えてゆくことにする。
これこそが、ビルダーの良心。
となると、選択肢に挙げられるのはドイツで開発された木質繊維による不燃エコボード、硬質グラスウール、あるいはロックウール。

どっちの方向を選べば良いのかで迷った。
石田ホームはさんざ迷い、シミュレーションしてみた結果、206+外断熱ではなく208を選んだ。
この選択は、勇気ある選択であった。

しかし、実際に採用してみると「不都合な真実」が次々に表面化してきた。

まず、基礎幅。
206の外壁だと150mmで良かったものが、208の外壁にすると200mmが求められてきた。
そして、1階床を210によるパネル工法による床断熱としたら外周全体が4枚合わせの根太を張り巡らすということになった。
もちろん2階の側根太、端根太も同様。
見えないところでドンドンとコストアップが続いた。

そして、外壁は隅部やT字部で208材の4枚から6枚合わせが多発し、外壁面から開口部を除いた部分で計算してみると木部の占める比率が25%を占めており、断熱材の部分は75%を切るという状態。
つまり木部がやたらと多いということはそれだけ割高ということ。
価格だけだったら我慢が出来る。
一番堪えたのは木部が多くなることによって外壁の断熱性能、つまりK値が低下したということであった。
0.25Wであがるはずが、0.28Wから0.29Wという数値となってしまった。
泣きっ面にハチとはこのこと。

つまり、パネル化を前提に考えると、壁を厚くする方向……つまり208とか210にする方向は、現在のツーバィフォーパネル工場の技術レベルから考えると、価格的にも高くなるだけで、なるべく避けた方が良いということ。

石田ホームは、外壁以外での工夫を凝らしているので、外壁のK値は0.29Wであっても
全体のQ値は0.8Wを切っている。
パッシブハウスと呼ぶにふさわしい内容を持っている。
昨日、気密テストを行ったが0.3cm/m2であった。
文句なし。

ともかく、率先して貴重な実践を敢行してくれた石田ホームに感謝。
そしてこの貴重な体験を、全国のビルダーの共有財産にしてゆこうではありませんか。
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2007年04月20日

東京地域の理想的省エネ外壁(5)  スウェーデンの下屋の一例

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北欧へは2回しか行ったことがない。しかし、30数年前からNCを採用していたし、合理な木材の利用には感心させられてきた。
とくにアルメンプランのBorohus社の自在な発想による屋根トラスを見た時はびっくりした。206材をギャングネールで上下に重ねていた。大径木によらなくてもいくらでもセイの大きなたるきが出来る。

そして、写真の下屋トラスは昨年建築現場で目撃したもの。
スパンを大きく飛ばし、野地板には節のある小径木の厚い無垢板を上手に使っていた。必ずしも構造用合板によらなくても、間伐材を活用することで面白い空間がいくらでも可能になる。
そんな自由なアイディアが、なんとも嬉しい。
こうしたスカーッとした現場写真を見ると、チマチマした日本のツーバィフォーのパネルに、つい小言を言いたくなる気持ちがわかっていただけよう。

木質構造は、まだまだ無限の可能性を秘めています。
posted by unohideo at 07:25| Comment(1) | TrackBack(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月19日

東京地域の理想的省エネ外壁(4)  情けないL金物の多用

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断っておきます。
私は地所センターには何の恨みもない。
むしろ昔のコンポーネント時代から優れたプレカット工場だと評価しています。
しかし上の写真を見たら、ツーバィフォーのパネル業界の総代表に見立てて文句を言わざるを得ないじゃないですか…。

最近は、総二階建ての家が多い。
写真の住宅は、北側と西側に1間幅の下屋がかかっている。
下屋の需要が少なく、パネルの合理化が遅れていたのだと思う。

それにしても、この40坪の家に、L型金物のJH-S 204.206用が約170本使われており、U型金物のJH 204.206が二階の天井根太を中心に約50本も使われている。
そしてZN-40クギがなんと2000本も打ち込まれている。
この金物を止めるためのマンアワーは6時間必要だろう。
とすると、この2種類の金物を取り付けるために材工で4万円から5万円の費用が余分にかかっている計算になる。

二階の大きな根太受けや梁受け金物ならその必要性が分かる。
構造上不可欠だから。
しかし、幅1間、1.82mの天井根太とたるきをとめるために、構造上こうした金物は一切不要。2-CN90の木口打ち(エンド・ネール)で十分。

もし、天井根太はともかくとして、たるきは金物で止めた方が構造上安全であるというのであれば、二階の大きな寄せ棟屋根の配付たるきにこそ金物を使うべきではないか。配付たるきを合板を使うことによって上手にパネル化の合理的処理をしている。しかし、そこには金物の姿がない。3本のエンド・ネールとトウ・ネールで処理されているではないか。
それが悪いと言っているのではない。
それで必要強度を十分に満たしている。

とすれば、天井根太とか下屋たるきの金物は、単なる運搬途中に口を開くのを抑えるためのものに過ぎない。
そのために、ビルダーと消費者は運搬費用の外に金物取り付け代として4万円から5万円という余分な費用を払わされていることになる。
これがおかしいと言っているにすぎない。

生産性を上げるためなら、何も公庫の仕様書に書かれている金物やクギにこだわる必要は一切無い。
強度のあるスクリュークギを開発し、CN90以上の強度と耐久性があるという認定をとればいい。JH金物を使わなくても、ギャングネールで十分に対応出来ますと立証してゆけばいい。
そうした合理化を追求し、コストダウンを図ることこそが工場経営の基本ではないでしょうか?

30年来、そうした合理化投資を行わず、手垢のついた古い手法で2000本ものムダな亜鉛メッキクギが木材に打ち付けられているのを見て、可哀想に「ランバーが悲鳴を挙げている」と感じた私が異常なのでしょうか?

阪神淡路大震災で、通し柱が胴差しのために掘られた大きなミゾ部分で折れるという致命的な欠陥に、否が応でも目覚めさせられた木軸業界。
以来、古い継ぎ手や仕口にこだわる守旧派の宮大工や棟梁、プレカット工場の反対と徹底的に対峙して、剛金物を開発してきた木軸加工業者。
目覚ましいイノベーションで、木軸を一変させた。

しかし木軸は、角材のみに荷重をかけ、間柱をないがしろにしている構造。
この欠陥が中越地震で、内部石膏ボードの破損という形で顕著に現れた。
これは、消費者の立場から見れば容認出来ない欠陥。

柱を太くしたり、多く入れるよりも、間柱の強度をアップして間柱に構造強度を負担させてゆくことが、耐震性の面での飛躍的な性能アップにつながることが立証されたのだと私は確信。

残念ながら、木質構造の諸先生方で、中越地震を詳査している方がおられず、新しい仮説を発表している方が不在。その面でも杉山英男先生を失った損失はあまりにも大きいと痛感している昨今。
木軸とツーバィフォーとが、間柱の評価を通じて構造面での融合してゆく可能性が非常に高くなってきているのだと思う。
つまり、木質構造という共通の分野で、切磋琢磨の競合がこれから始まろうとしているのです。

その時、阪神淡路大震災で安心し、イノベーションを一切やめたツーバィフォー業界の足腰の弱さが非常に気になる。ラーメンの門型構造を開発した木軸関係企業のバイタリティに比べて、なんとツーバィフォーパネル屋の影の薄さ。意欲のなさ…。

それが、上の写真に凝縮していると思うのですが…。
posted by unohideo at 09:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年04月14日

東京地域の理想的省エネ外壁(3)  1,2階の側根太、端根太にも工夫を

RIMG0899-1.JPG

最初にパネル工場が描いたパネル図を見せられた時、正直言って読み切れなかった。

工期がない時は、私もパネルの製作を依頼してきた。
しかし、それは全てこちらで姿図を書き、寸法指定をして製作してもらった。
なんでもかでも、全部工場で製作させるのではなく、現場で加工する方が早い部分は、プレカットのみにとどめさせた。

そして、合板貼は原則として現場とした。
とくに千鳥貼で剛性を求められる床合板や屋根下地合板貼は、絶対に現場作業に。
そして図(6)のように芯振り分けで合板を貼るというパネル工場方式はやめ、図(7)のように隅からの貼り出しとした。これは合板の端材が出る。とくに29mm合板の端材はもったいない。しかし、ランバーの節減で十分に元がとれるし、より剛性が出る。

芯振り分けだと、どうしても206の壁の場合は図(6)のように3枚で構成することになる。これが208の壁だと4枚構成とならざるを得ない。
しかも、1階床を210材としてグラスウールを充填する場合には、210の4枚合わせとなる。これはなんとももったいない。
やはり、外壁は206材にとどめ、図(7)のように外周は端根太、側根太とも2枚にとどめるべきだと思う。
そして、まぐさ受けや梁の大きな荷重を受けるスタッドの下部だけは、ブロッキングを入れて3枚合わせにすれば構造的に十分安全。

そして、2階の4周も原則として210なり212の2枚合わせとしたい。
その上で、下部に大きな開口部がくる場合は図(9)のように通しの3枚合わせ梁とする。
そして、直行する根太の下部を5mmばかりカットして根太受け金物で3枚合わせ梁に固定する。
つまり、3枚合わせ梁で屋根・2階壁、2階床荷重を処理する。
そうすると1階の窓まぐさは206の平1枚でよい。
ただ、カーテンボックスを取り付ける関係上2枚平合わせとするが、これだと大きな窓まぐさは不要となる。
つまり、外壁に占める木部の比率が小さくて済む。

2階の床根太の4周を2-210ないしは2-212にすると、その継ぎ手部分の位置に細心の考慮を払えば、1階外部開口部のほとんどのまぐさを省略することが出来る。
木軸の大きな胴差と考えればよい。
合わせ梁で不十分な場合は、LVLなどのエンジニアウッドを採用すればいい。

ただ、若干問題になるのはオーバーハングのバルコニー。
これは、全ての根太をオーバーハングさせる手法でなく、壁の上の梁だけをオーバーハングさせ、2間とか2間半のバルコニーの部分は根太を壁と平行に配すれば何一つまぐさに負担をかけない。
210で2間半の場合は、300mmピッチに根太を入れればよい。
こうした現場で開発されてきている智慧が、パネル工場に反映されていない。

パネル工場は、ともかく工場で全てを完結させるという発想しかない。
完全なパネル化こそがもっとも最新鋭の技術であり、ベターだと盲信している。
そうではない。
自動車工場の合理化は、全て現場から発想しているように、住宅の合理化は建築の現場から発想すべきである。
そして、北米や日本において、現場で素晴らしい発想がなされ、合理化がなされてきている。
その実態から学ぼうとせず、工場の片隅の机にしがみついてばかりいるから、2階の4周に4枚の210を配し、さらに大きなまぐさを入れるという「木材のお化け」が出現してくる。
これで、堂々と商売をしておれるのだから、嫌になる。

そして、パネル工場の中には、吹き抜けの場合は当然通し柱のバルーンフレーミングにしなければならないのに、平気で1、2階のパネルのままとし、2階の床部分を210の梁で処理しているところがある。
それで大丈夫だと構造計算している設計事務所がある。
これは、姉歯並の設計事務所だと言わねばならない。
そうしたパネルを平気で作っているパネル工場は木村建設と同じように扱うべきだと私は確信している。

なお、小屋裏3階を使う時は、2階の窓まぐさは1階と同じに考えれば全て2枚の平で処理出来る。
小屋裏を使わない2階建ての場合は、図(8)の断熱ボードを挟んだ204と206のまぐさで東京地域では十分。十分でなくてはならない。

日本では木材の許容応力度の長期荷重が110キロしか認められていない。
北米では木造、鉄骨造、RC造がともに150キロ。
日本は30%も低くしか評価されていない。
これは、何回も書いたが、戦後のどさくさに紛れて木造嫌いな学者の思いつきで建築基準法施工令に110キロ書き込まれたため。
何一つ根拠がないのである。大変な偏見であり不当行為。
建築基準法体系の最大のミステーク。
だが、この不当に対する抗議が、未だに林業、製材、パネル業者、木造住宅メーカーから起こっていない。これは摩訶不思議な現象。

せめて鉄骨造、RC造なみの133キロにして欲しいという運動を起こすべき。
だが、骨細の業界人に期待することが、土台無理な相談らしい。
posted by unohideo at 11:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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