2008年03月25日

パッシブハウスの嚆矢「桜ハウス玉川」訪問記 (下)


長野市や松本市などは、盆地に拓けた都市。
その平均気温を見て、長野よりも北海道の方がはるかに寒いと考えていた。
しかし、気象庁のデータを調べると、軽井沢、伊那、立科などの方が札幌より最低気温が低く、むしろ旭川並み。そのことに初めて気づいた。
昨年の最低気温では、原村に隣接している茅野の方が札幌市よりも低い。
海抜約1000メートルという高さがものを言っている。

暖房や冷房設備というのは大変に厄介者。
冬期や夏期の平均気温で、能力を決めるというわけにはゆかない。
過去10数年間ぐらいの最低気温とか最高気温を考えて、キャパシティとかシステムを決めなければならない。
ということで、本当に「無暖房設備住宅」を建てようと考えると、外壁の壁厚やサッシの性能を、10数年に一度の寒波にあわせて過剰投資しなければならない。
ドイツではこの過剰投資を避けるために「無暖房設備住宅」とか「ゼロ・エネルギー住宅」を排斥し、いざという時は暖房をするという最低限の暖房設備を持った「パッシブハウス」に切り替えてきている。

桜ハウスでは、昨年の冬はもっぱらプレヒーターを使っていた。
外気が−14℃の時、いかに室内から排気する熱を86%回収したとしても、給気される温度はかなり低いものにならざるを得ない。
それよりも、零度以下の空気を吸入すると熱交換機の中で結露が生じる。
この結露を溶かすために暖気運転をしていたのでは換気が過小になり、86%の回収は出来ない。
このため、プレヒーターで外気を0℃近くに暖めてから熱交換機へ入れる。

このプレヒーターの電気代が馬鹿にならなかったという。
具体的に幾らかかったかを聞くのを忘れたが、とても「無暖房」だと言えなかったらしい。
そのため、今年はプレヒーターの運転をある程度セーブして、エアコンで加熱してみたとのこと。部分的に結露も生じたようだが、この方が電気代がセーブ出来たらしい。
寒冷地のプレヒーターの問題は、アースチューブの技術を含めて、解明すべき点がまだまだ多い。

介護施設で、今まで大きな問題になっているのが冬期の過乾燥。
過乾燥と低温はインフルエンザ菌にとっては願ってもない好環境。
多くの介護施設で、外部から持ち込まれたインフルエンザ菌で、年配者の感染事故が多発している。
このため、後工事でセントラル換気に加湿工事を追加して、なんとかしのいでいるという具体例を耳にしてきた。
山下研究室でのデータをみると、桜ホームの冬期の相対湿度が初年度は30%を切っており、想像以上の低さに驚かされた。

相対湿度の体感度について、山下研究室では職員とショートステイ、デイサービスの3者に1週間をかけてアンケート調査を行っている。
その調査によると、動いている若い職員の30%近くが非常に乾燥していると捉えており、25%強が乾燥していると答えている。そしてやや乾燥しているという者を含めると全体の68%の職員が乾燥気味だと答えている。
これに対してショートステイの年配者は、半分がどちらとも言えないと答えており、やや乾燥しているという答が半分。職員の申告と大きな差がある。
これがデイサービスとなるとさまざまで、どちらとも言えないとやや乾燥しているがそれぞれ35%と圧倒的。やや湿潤・湿潤が併せて22%で、乾燥していると答えた人は8%に過ぎない。

残念ながら山下研究室のアンケート調査は、ここで終わっている。
この調査期間の相対湿度を見ると25%前後。
当然のこととして、職員の68%、年配者の50%近くが乾燥気味だと感じている。
この相対湿度を35%とか、あるいは45%にした場合に、どのような反応が得られたかが知りたいところ。今後に残された課題。
このアンケートに基づいて、施設としては簡易加湿器をところどころに入れている。
しかし、ほとんどの施設がそうであるように、職員がこまめに加湿器の管理をやってはいない。それなのに、インフルエンザ騒ぎは、昨年も今年もなかった・・・。

訪問して、最初に相対湿度と温度を測定した。
相対湿度は34%とまあまあ。
土曜日で、デイサービスの人も多く、私共訪問者や説明者などからの発湿があったからかもしれない。ともかく、乾燥しているという感じはなかった。
「職員からは乾燥しているという声が出ますが、年配者からはほとんど出てきません。やはり暖房にドラフトを感じないというのが大きいのだと思います。風があるとどうしても皮膚などからの気化熱がある。それがないのと、それほど高温にしなくても暖かいということが、加湿を大きな問題にしていないのだと思います」と田代専務。
いずれにしろ、介護施設の温度と相対湿度とインフルエンザとの相関関係は、大きなテーマであり、今後とも多面的な研究が求められてくる。


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さて、この桜ホーム玉川の成功に意を強くした関係者は、次のプロジェクトとして「エコタウン信州」を構想していた。
上図はそのエコタウンの平面図で、下図が全体のイメージパース。
3600坪の敷地の中に、木造戸建てパッシブハウス10棟、パッシブハウスの共同住宅が2棟で25戸。それに、診療所付きで現在の規模の3倍にもなる延べ700坪のパッシブハウスの大型介護施設。近くにあの鎌田先生で有名な諏訪中央病院があるのだが、介護施設には診療所が不可欠とのこと。
そればかりではない。1階にコンビニが入ったエコセンタービルも計画している。
セブンイレブンと一緒になって、現在展開している店舗より40%以上の省エネ店舗を如何にして造り上げるかを、検討中という。
さらには低層のパッシブハウスのファミリーレストランも併設する。
これだけの建築物をパッシブハウスにするためには、断熱・サッシ・空調換気面で一段のイノベーションが不可欠であり、それを促す起爆剤にしたいと考えている。

ランドプランニングという技術体系からみれば、オープンスペースという基本概念がやや欠如している点が気になる。
しかし、カル・デ・サスの技術も導入しており、今までの不動産屋や都市工学部の先生方がやってきた都市計画からみると、一歩も二歩も進んだコンセプトがバックボーンにある。これが頼もしい。

パッシブハウスを一番求めているのは高齢者。
茅野の市外部をドライブして驚いた。
あっと息を飲むような素晴らしい邸宅が、あちこちに建っている。しかし、家族の急激な減少を考えると、そうした広すぎる家のランニングコストが気になってしょうがない。
断熱改修しようにも、年配者に新しい投資を呼びかけるのはなかなかの困難事。
しかし、診療所付きの介護施設が核になり、それをサポートする従業員の宿舎や家族の住居などをまとめて開発する。
季節を感じるオープンスペースの緑と、ゴミゼロのクリーンなイメージの実現。
そのためには、無農薬農家とタイアップして、介護施設をはじめとして町全体の地産地消運動に発展してゆかねばならないだろう。
下手に改装するよりも、共同住宅へ引っ越した方が年配者には最適という新しい選択肢が一つ増える。

この計画が成功するかどうかは未知数。
今までの常識を超越した画期的な挑戦であることは間違いない。
もし、このプロジェクトが成功すれば、全国でこれと同じような町造りが可能になろう。
そうすれば、地場ビルダーは単なる高性能住宅の建て替え工事だけではなく、こうした町造りが主要な仕事になってくる可能性もある。
そうした可能性を求めて、ボランタリーで協力しますと申し出たのだが・・・。
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