Passive House Instituteを主宰するドイツの Wolfgang Feist博士は、昨年暮にアメリカのワシントンDCとミネソタで「パッシブハウス」の講演を行い、大反響を呼んだ。
その多忙なスケジュールの合間をみて著名な理論雑誌「Energy Design Update誌」が博士とインタビューを行い、今年の1月号のトップで大きく報道している。
あのアメリカで、パッシブハウスが大々的に取り上げられたのである。
何か、大きな変化を予感させる出来事・・・。
このほど、札幌の音熱環境の三星氏がその全文を翻訳してくれた。
これをそのまま掲載したいのだが、ある程度の解説を加えないと理解してもらえない。
北米では、熱貫流率のK値とかU値ではなくR値を使う。
記載されているU値が、理解出来ない。
そこで私なりに換算を試みたが、果たして正確なのかどうか・・・。
また、全文を紹介したのでは不要な誤解を招く可能性が高い。
昨年の11月5日に、この欄で「パッシブハウスとは?」を取り上げた。
そのおさらいをしながら、EDUのインタビューの一部を紹介することにした。
ともかく「パッシブハウス」は、パッシブハウス研究所のフェイスト博士を抜きには語れない。最初に「フェイスト博士あり」なのだそうだ。
私などは、パッシブハウスと聞いた時「消極的な家」と捉えてしまった。アクティブの対極として。
ところが「アクティブな暖房システムを全く使わない住宅・・・・ということでパッシブハウス」と呼称するようになったのだという。
OMソーラーとかソーラーサーキットなどのパッシブ・ソーラーとは異質の、積極的で攻撃的な内容を持った住宅!
NEDO(新エネルギー技術開発機構)の「海外レポート」の昨年6月号(No.1002)で、このパッシブハウスを取り上げている。そこに示されているのが下図。
ともかく省エネ性の高いロー・エネルギー住宅に比べても消費エネルギーが1/4で済むということ。そして30年間のタイムラグで見れば、費用対効果という面で傑出している住宅と紹介している。
それと、同研究所が提示していた「パッシブハウスの基本的な指針」を併せて紹介しておく。この指針に書かれている数値とEDUの記事の数値が完全に一致しない。このためにとまどわされるのだが、何はともあれこの数値が頭に入っていないと、インタビュー記事が理解出来ない。
インタビューに先立って、EDUはパッシブハウスのことを、以下のように読者に紹介している。
1990年代に入って、ドイツやオーストリアでは、極端なまでに高断熱化された住宅の建設の動きが高まってきました。
外壁の性能値がR-50。(K値に換算すると0.11W。ちなみにR-2000住宅の外壁はR-20、K値換算で0.28W)。
開口部の性能値はR-7。(K値換算だと0.8W。それにU-0.14と書かれている?)。
気密性能は、漏気回数で0.6回/hr, 50パスカル。(相当隙間面積換算だと0.3cm2強。ちなみにR-2000では1.5回/h。相当隙間面積換算0.9cm2)。
これらの数値は、世界中の住宅の中で飛び抜けた性能値です。
(このK値で示した数値が本当に正しいかどうか。判っている方の訂正をお願い致します。いずれにしろR値、C値ともR-2000住宅の2.5倍というけたたましい数値)
これらの住宅は、高い温度を維持する快適さと、極端に少ないエネルギー消費にもかかわらず非常に優れた居住性を発揮しています。
このパッシブハウスはドイツの物理学者フェイスト博士が推進している性能値に沿って、12ヶ国で建設されています。
しかし「ゼロ・エネルギー住宅」という呼称と同様に、この「パッシブハウス」という呼称に対しても、何人かの批評家からクレームがつきました。
初期のパッシブハウスの推進者は、パッシブハウスの建物には「ヒーテングシステムの必要性がない」と自慢していました。従来のスチームパネルによる輻射暖房装置がなくても良かったからです。
ところが、中央ヨーロッパのほとんどのパッシブハウスは、新鮮空気を導入するダクトに、空気を暖めるための加熱コイルというアクティブなヒーテングシステムが内蔵されていたのです。したがって「パッシブハウスではない」というクレームが付いたのです。
(日本の「無暖房住宅」という呼称は、当然のことながらクレームの対象になります)
ドイツとオーストリアを中心に、世界で9000戸におよぶパッシブハウスが建てられています。
各国で、パッシブハウスと呼称してよい性能規格が厳密に決められ、かつよく理解されて厳守されています。
すなわち、暖房エネルギーの年間消費量は15kWh/u以下。
そして、暖房だけでなく給湯、照明、家電、すべてのコンセントプラグの負荷を含めて最大で120kWh/u以下で無ければならないと。
中央ヨーロッパでは、パッシブハウスの設計者の大多数は、住居エリアに対する熱の供給を、換気システムを通じて行う方式を採用しています。この方法は、必然的に制約を伴います。つまり、パッシブハウスの換気の空気流量は、通常0.3回から0.4回/hrだからです。
換気の空気は、満足出来るような高温で供給することは出来ません。パッシブハウス研究所では、ダクトを通して供給する空気の温度を50℃以上にすべきではないとアドバイスしています。
中央ヨーロッパではこの制約は、デザイン上克服出来ない障害ではないといっていますが、北欧やミネソタでは、克服出来ない制約だといっています。
(この内容がイマイチ理解出来ない。単なる換気システムではなく、空調換気システムの場合が含まれているのかどうか・・・)
アメリカでは、省エネ住宅の設計者は、極寒の地においても第2種とか第3種の換気システムを多用しています。
これに対して、パッシブハウスの設計者にとっては、熱回収をしない換気装置を採用するなどということは、想像外のことです。
未解決の質問が多々あります。
1、パッシブハウスと他の省エネ建築との違いは何か?
2、15kWh/uの制限が、未暖房空間を残すことにならないか?
3、パッシブハウスはすべて換気システムを通じて熱を供給しなければならないのか?
Etc・・・・・・。

