2007年10月10日

十勝で考えたこと(3)  2X4の普及率が50%ということ




物事が普及するということは、必ずしも歓迎すべきことばかりではない。
まがい物や偽物が出現してくるということでもある。
いや、まがい物が出現して、初めて本格的な普及に入ったと言えるのかもしれない。

十勝地方でツーバィフォーの普及率が50%になったということは、今までツーバィフォーを取り組んできたビルダーのシェアが伸びたせいとは言えない。
いままで木軸しかやっていなかったビルダーが、新規にツーバィフォーを始めたという要因も大きい。
ツーバィフォーへの新規参入を拒むことは出来ない。
オープン工法だから、どんどん歓迎してやってもらうべき。
だが、変なことをやられて、折角営々と築き上げてきたツーバィフォー工法への信頼を落とすようなことがあっては元も子もなくなる。
この悩みを十勝2X4協会は抱えている。
日本一贅沢な悩みを…。

しかし、十勝2X4協会は、社団法人日本2X4建築協会の支部ではない。
民間の任意団体。
したがって、社団法人と異なり、極論すれば気に入らない業者の入会を拒否することも出来れば、心がけの悪い会員を除名することも出来る。
社団法人だと、会費が欲しいという本部の助平心もあって、ツーバィフォーをやっている業者が加入したいと言えば、拒むことなく参加させる義務がある。
その点、民間の任意団体にはそんな義務はない。自由に立ち回れる。
今までの信用を落とすことなく、より差別化を強め、グループ全体の信頼をより高めて行くことが可能なはず。
と外野席の私は、気軽に考えるのだが…。

つまり、ツーバィフォーでさえあれば何でも良いという甘い消費者はもういない。
公庫の仕様書を忠実に守れば、ツーバィフォーは震度6までの地震には耐えてくれる。
それだけの性能で良いのなら、どうぞ社団法人の方を選んで下さい。
そして、「それ以上の性能を望まれる消費者の方は十勝2X4のメンバーから選んで下さい」と言うべきなのではなかろうか。
それ以上の性能とは、具体的にどんな性能を指すのか。
思いつくまま並べると、次のようになる。

●まず、震度7の直下型地震にも耐えられることを、設計・工事中の段階で協会員相互が抜き打ち検査を行うことによって保証してゆく。
十勝地方には断層がなく、直下型の心配がないのであれば震度6強で良いのかもしれない。

●最低でも次世代省エネ基準の省エネ性能は保証する。そのためには、結露を起こさない協会の最低仕様を遵守するとともに、全戸気密検査を行い相当隙間面積が1㎠以下であることを証明してゆく。(実質的な平均C値は0.5cm2程度だとのこと)

●協会の定めるエコロジーの基準を守る。

●どんな形にしろ10年間の保証制度に加入して保証するとともに、協会で定める無料のアフターメンテナンスは必ず行う。

こんな取り決めを社団法人でやろうとしても絶対に出来ない。
それこそ経営権の侵害となる。
しかし、30年の歴史ある十勝2X4協会は、実質的にこれに近いことや、これ以上のことを行ってきたのだと思う。0.5cm2という平均的な気密性能がそれを物語っている。
この最低限の約束事を厳守している仲間の集合体だと割り切り、気密性能をはじめとした性能を堂々と公表してゆけば、社会的な信用は一段と増す。

さて、この中で私が一番気になったのは204の充填断熱材プラス外断熱の普及。
これは必然的な方向で歓迎すべきだが、外断熱材として一部でネオマフォームが使われていた。
充填断熱材の内側、つまり石膏ボードの下にべバーバリアがきちんと施工されている。
その外側に非透湿系のネオマフォームや、最近売り出し中の熱伝導率0.0186W(mK)という20mm厚のキューワンボードを使って簡単に次世代省エネ基準をクリアーしたいという気持はよくわかる。
木軸工法にはこの種の仕様が非常に多い。
しかし、密閉性の高いツーバィフォーでは、晴れた日ばかりが続くわけではない。また、万が一べバーバリア層から湿度が壁内に侵入した場合、結露問題が生じないかと心配になってくる。これは杞憂かもしれないが、それこそ北総研あたりの技術者にも参加していただき、協会として一定の見解を示す必要があると思う。

個人的な感想だが、外断熱に非透湿系の断熱材を使うなら、充填断熱材も非透湿系のウレタンの現場発泡にすべきだし、204の充填断熱にグラスウールを使うなら木質繊維系の断熱材が北海道でも入手出来るようになったと聞いたので、外断熱にそれを使ったらいい。そういった推奨仕様を協会として作ってゆくべきだと思う。

と同時に、次世代省エネ基準で満足していたのでは社会的に抹殺されてしまう。
協会としては次の2つの性能認定も行なってゆく必要が絶対にある。

●R-2000住宅基準。(Q値でいうならば1.2W/uk程度)
これは、すでに多用されている206の外壁のほかに、札幌で採用されている204の充填断熱材+KMブラケットで100mmのロックウールによる外断熱が非常に有効。この工法が登場したことによってR-2000住宅仕様は難しいものではなくなってきている。

●パッシブハウスと呼ばなくてもよい。u当たりの年間暖房費が1.5リッターで済む世界基準の住宅。(Q値で言うならば0.8W/uk程度となろう)
これは、単に断熱材だけで解決出来る問題ではない。高性能サッシと熱回収率の高い熱交換換気装置の問題が絡むので、簡単にはゆかない。しかし面白い実験住宅が十勝ですでに完成しており、各社もトライしてみるだけの価値がある。

地域団体で、最低限の基準を決めることは難しいけれども不可能なことではない。
難しいのは、R-2000住宅とか1.5リッター住宅という現在の水準を上回る基準を決めること。
R-2000住宅はかなり身近にあるのでなんとかなる。
しかし、1.5リッター住宅となると喧々たる議論でなかなかまとまらないだろう。
基準を決め、大まかな仕様を決めることすら現実的に資材の入手が困難で暗礁に…。
そして、基準を決めても売れるわけではない。
高い性能住宅は、当然単価が高くなる。
高い単価の住宅を売るノウハウはそんなに簡単に会得出来ない。
どれだけ実質的な意味と効果があるかということが議論になろう。
しかし、あえて言いたい。
そうした議論こそが大切だと。
そして、地場ビルダーの中に、ハイムのシェダンを上回る最高の性能を保証出来る技術が存在していることを強くアピールしてゆくことの重要性。
そうした議論やアピールの中からアイディアが生まれ、トップランナーが育ってくるのだということを。
トップランナーを育成出来ない組織は、いつか消費者から見放される。

十勝2X4協会の皆さんが、デザイン、インテリア、省エネ、エコロジー、サスティナブルなど、それぞれの分野で今まで以上にお互いに切磋琢磨され、イノベーションを重ねられて、トップランナーとして走り続けてゆくことだろう。
そうすればツーバィフォーのシェアは50%どころか70%も80%も可能になる。
そして、地場ビルダーでマーケットをほぼ全面的に占拠することも決して夢物語ではではないと強く感じました。

トップランナーを目指して走り続ける十勝2X4協会は、偉い!
posted by unohideo at 05:24| Comment(0) | TrackBack(0) | ビルダー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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