2007年04月25日

東京地域の理想的省エネ外壁(6)  208かそれとも206+外断熱か

IMG_0022.JPG


私は、今まで木造での外断熱には批判的であった。

欧米ではRC造は原則として外断熱である。
丈夫な太くて防錆鉄筋を用いているので、100mm厚のロックウールを外側に施工しても仕上げ材が垂れてくるということはない。
防火の面でも安全。

そして、欧米の木造は原則として壁内の充填断熱。
折角の空間に断熱材を充填しないというのはもったいない。
内側を12.5mmの石膏ボードで覆えば、防火の面でも心配ない。

この世界の主流に対して、日本の在来木軸だけが外断熱を謳歌。
筋交いが邪魔になって断熱材が充填出来ない。気密施工も難しい。
そこで、やむを得ず外断熱を選ぶしかなかった。
ところが、ど素人のジャーナリストがペテン師の策謀に乗っかり、外断熱が特別に素晴らしく、最高の技術であるかのように消費者に宣伝し、欺いてきた。

まず、いただけないのが、外断熱業者のほとんどが発泡プラスチック系の断熱材を用いていること。
隣家が火事になると、不燃の外壁を用いていても、その裏で発泡プラスチック系の断熱材は完全に熔融してしまう。
外壁の通気層が煙突効果を発揮し、いとも簡単に熔融。
そんな被害報告が、年に何回となく入ってくる。
したがって、真面目なビルダー、真に消費者のことを考えるビルダーだったら、怖くて発泡プラスチック系の外断熱には手が出せない。
私の仲間には、そんな厚顔な無知と勇気を持った者はいない。
田舎の一軒家の需要を除いて……。

二番目の問題点は、外装材の保持。
例えば50mmの断熱材を用い20mmの縦胴縁を用いたとする。
150mmの長ビスを用いたとしても、70mmは外に出ている。
この70mmのビスクギを曲げるのは簡単。小学生の力でも曲げられる。
こんなことは構造強度のイロハ。
その頼りのない縦胴縁にサイデングなどの外装材を取り付ける。
当然、経年変化で垂れてくる。
「震度7の直下型地震には絶対に耐えられない」と断言出来る。
ガルバニウムなどの軽量サイデングを用いる場合以外は、良心的なビルダーだったら、これまた怖くて使えない。

ということで、決してアンチ外断熱ではなかったが、RC造以外では外断熱を積極的に評価出来る根拠が一つもなかった。

ところがである。
パッシブハウスということを考え、外壁の熱貫流率(K値)を0.22W以下に抑える必要性に迫られてきた。
新しい模索が始まった。

つまり、R-2000住宅までは、外壁の204材を206材に切り替えるだけで良かった。
高性能グラスウールの充填断熱を前提に考えると、204だと0.57WのK値が、206にするだけで、K値は0.34Wから0.36Wとなる。
関東地域のR-2000住宅は、これで対応出来る。
この0.34Wというのは、スタッドの使用を最小限に抑えて木部の面積を小さく工夫したものであり、0.36Wというのは、4本柱や5本柱を使った木部面積の多い高価なパネルの場合。

この0.36Wの外壁の性能を50%近く上げないと0.22W以下にはなってくれない。

考えられる方法は2つ。
1つは壁を厚くして充填断熱材を厚くしてゆく方向。
つまり、206材を208材とか210材に切り替えてゆく方向。
これはスウェーデンやノルウェーなどの北欧が採用している方向。

もう1つは、206の充填断熱+外断熱という方向。
この方向では、いろんなバリエーションが考えられる。
ただし、外断熱として発泡プラスチック系を除外して考えてゆくことにする。
これこそが、ビルダーの良心。
となると、選択肢に挙げられるのはドイツで開発された木質繊維による不燃エコボード、硬質グラスウール、あるいはロックウール。

どっちの方向を選べば良いのかで迷った。
石田ホームはさんざ迷い、シミュレーションしてみた結果、206+外断熱ではなく208を選んだ。
この選択は、勇気ある選択であった。

しかし、実際に採用してみると「不都合な真実」が次々に表面化してきた。

まず、基礎幅。
206の外壁だと150mmで良かったものが、208の外壁にすると200mmが求められてきた。
そして、1階床を210によるパネル工法による床断熱としたら外周全体が4枚合わせの根太を張り巡らすということになった。
もちろん2階の側根太、端根太も同様。
見えないところでドンドンとコストアップが続いた。

そして、外壁は隅部やT字部で208材の4枚から6枚合わせが多発し、外壁面から開口部を除いた部分で計算してみると木部の占める比率が25%を占めており、断熱材の部分は75%を切るという状態。
つまり木部がやたらと多いということはそれだけ割高ということ。
価格だけだったら我慢が出来る。
一番堪えたのは木部が多くなることによって外壁の断熱性能、つまりK値が低下したということであった。
0.25Wであがるはずが、0.28Wから0.29Wという数値となってしまった。
泣きっ面にハチとはこのこと。

つまり、パネル化を前提に考えると、壁を厚くする方向……つまり208とか210にする方向は、現在のツーバィフォーパネル工場の技術レベルから考えると、価格的にも高くなるだけで、なるべく避けた方が良いということ。

石田ホームは、外壁以外での工夫を凝らしているので、外壁のK値は0.29Wであっても
全体のQ値は0.8Wを切っている。
パッシブハウスと呼ぶにふさわしい内容を持っている。
昨日、気密テストを行ったが0.3cm/m2であった。
文句なし。

ともかく、率先して貴重な実践を敢行してくれた石田ホームに感謝。
そしてこの貴重な体験を、全国のビルダーの共有財産にしてゆこうではありませんか。
posted by unohideo at 09:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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