2007年02月20日

真空断熱材の登場! 次はサッシメーカーの存在価値が問われる番!!

熱を透さないのが断熱材の仕事。
熱伝導率が低いことと、断熱材の厚みが物を言う世界。
木造住宅に用いられている主な建築資材の一般的な熱伝導率(W/m・K)は以下。
アルミ      236.0
鉄         84.0
コンクリート    1.6
モルタル     1.5
スレート      0.35
石膏ボード    0.22
合板        0.16
杉・桧の木材   0.12
グラスウール10K 0.052
住宅ロックウール 0.04
セルローズファイバー  0.04
グラスウール24K 0.038
硬質ウレタンフォーム  0.024
ネオマフォームなど    0.02 
★真空断熱材    0.002〜0.004

私共住宅屋が今まで取り組んできた断熱材の熱伝導率は0.02〜0.04Wの世界。
そこへ桁が1つ違う0.002〜0.004Wという真空断熱材が登場してきた。
100メートルを10秒で走るか走らないかで競争している時、1秒で走るランナーが登場してきたのである。文字通りケタ違い。
ともかく、画期的な出来事。

真空断熱材のそのものについて語る資格は私にはない。パナソニックのURLに載っている真空断熱材開発物語・プロジェクトXを読んでいただけば、概略が分かる。
http://panasonic.co.jp/ism/vacuum/

しかし、冷蔵庫やポットなどの断熱と住宅の断熱は基本的に異なる。
電化製品の寿命は15年から20年。
これに対してこれからの住宅に求められている耐久性は80年から100年。
最低限80年の耐久性が見込めるようになったので、発売に踏み切ったという。

この住宅用の真空断熱材は、北方建築総研、日清紡績、KMブラケット、音熱環境開発がかなり前から共同で研究開発を進めてきていたもの。
しかし、まだカタログもなければ基本的な発表データも揃っていない。
したがって、現時点では真空断熱材を使った家造りの実態を想像して頂くには下記のURLを開いて頂くしかない。
http://www.onnetsukankyo.com/sinjiyuu.pdf

これを見ればお分かりのように、外壁に高性能グラスウールないしは吹き込みロックウールを充填し、外側に15mmの真空断熱パネルを貼り、真空断熱材を保護するためにその上に100mmの撥水性ロックウール100mmを施工している。
このため、外壁のK値(熱貫流率)は0.107Wという呆れるほどの優れた数値。
私の計算では外壁のKは0.15〜0.22Wで十分。
それが0.1Wであるということは、外壁だけが過剰性能。
「アンバランスの見本のような住宅」ということになる。

外壁にかけるカネを半分にして天井や床断熱にカネをかけるべき。そして何よりも、もっとサッシと換気にカネと努力を傾注すべき。その方が、総合的に見てはるかに省エネになり、CO2の削減になる。ひいては消費者と地球のためになる。
しかし、実験棟として考えるならば、いとも簡単にK値が0.1Wが達成出来るようになったということは、素直に喜びたい。

真空断熱材というのは真空状態を破壊すると、圧縮されていた断熱材が一気に膨張して溢れ出してしまう。始末に負えない代物でもある。
したがって、この断熱材は万能ではない。いかに効率的に、しかも事故の懸念無く使いこなすかがカギ。
いずれにしろ、これからのキーマンとなる商品であることは間違いない。

さて、住宅用の真空断熱材が出現してきたことによって、一番必要なのに、開発をサボっていたことが目立つのがサッシ業界。

昨年の春、天才的な経営者として尊敬しているトステムの潮田元会長から「ヨーロッパの住宅の省エネ事情について話してほしい」と電話がありノコノコ出かけた。
話したのは、何時も話していること。
「これからの住宅の省エネのピン・ポイントは、K値が1.0Wを切る高性能で、しかも外壁を破損することなく取り替えが可能なサッシの開発。それと熱回収率の高い換気装置の開発です」と馬鹿の一つ覚えを鸚鵡返した。
しかし、当時の私の話には説得力がなく、潮田元会長の魂を動かすことが出来なかった。
具体的に突っ込んだ提案が出来なかった自分が情けない。

しかし、今年になって某プラスチックサッシメーカーが、日本としては初めてK値1.2Wというサッシを試作してくれている。PVCの枠に断熱材を充填し、日本板ガラスのスペーシアを入れたもの。
ご案内のとおり日本板ガラスのスペーシアというのは大変な優れもの。日本が世界に誇って良い省エネ建材。真空ガラスを利用してK値0.6Wの達成を可能にしている。

つまり、日本の開口部の性能が世界的に劣っているのは、枠の性能が悪すぎるため。
如何に世界一の高性能真空ガラスがあっても、熱貫流率の高いサッシ枠がないから、窓枠からドンドン熱が逃げている。
そのことに対して危機感も使命感も乏しいのが日本のサッシメーカー。
日本の大手住宅メーカーがのほほんとしているから、横並びのK値2.3Wという低レベルのメニューを並べて、同じようにのほほんと構えておいでになる。

日本のサッシメーカーには欧米メーカーのような木を加工する技術遺産がない。東洋ドアから出発してトステムにも、「木」が分かる技術屋が皆無になりつつある。熱伝導率の低い木を使って高性能サッシを開発する欧米のメーカーの技術ストック。これには日本のメーカーは逆立ちしてもかなわない。
とすれば、PVCの枠の中に真空断熱材を充填するサッシ枠の開発しかない。
真空断熱枠の開発という厳しいテーマが、10年前から求められていたのだ。
それには、PVCの枠をシームレス加工するとか、薄い金属製の中に一体注入した真空断熱材ユニットをPVCの枠で包み込むしか無いはず。その中で最善のものを産み出す英知にサッシメーカーの社運がかかっている。

つまり、これからの数年間に、真空断熱枠サッシが開発出来ないメーカー、設備投資を行えないメーカーは退場していただくということになるのではなかろうか。
真空断熱材が開発される前に、サッシメーカーの自発的な動きが欲しかった。
その動きが見られなかったのは、イノベーションを放棄していた証拠と憎まれ口の一つも叩きたくなる。

耐用年数50年の真空断熱枠の開発。
遅れた分を誰が先行して開発してくれるのか。
大車輪の頑張りを、心から期待致します。
posted by unohideo at 08:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 技術・商品情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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