2008年12月25日

肥満と調理とシャワーと   ドイツパッシブハウス調査(15)



今年、日本では「メタボリック症候群」ということがやたら叫ばれた。
医者は、口を開けば「少し太り過ぎ。もう少し痩せる努力をしましょう」という。
オムロンの、体脂肪も計れる「体重・体組成計」で測定すると、実年齢よりも10才も若い年齢が表示されており、小太りの方が良いはずだと思う。それなのに、藪医者め様が言うことには…。

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上の図を見て頂きたい。
これは7〜8年前に調査されたOECDの肥満度の国際比較。先進国の中ではアメリカが圧倒的に肥満度率が高く、ドイツも12%以上。これに対して日本は最低の3%台。
メタボリック症候群など心配する必要はサラサラないという気がするほど…。
そして、よくよく眺めてみると、上位の各国はいずれも食べものが不味い国だということが分かってくる。

アメリカの代表的な食べものというとハンバーガーと草鞋のようなステーキとポテトチップス。食事と言うよりはボリュームだけのエサ。
イギリスも、どうしょうもない。
カナダは、香港から名のあるシェフが数多く移住したので大都市では中華料理が抜群に美味しく、日本料理店も多いので食事の心配はない。
しかし、ドイツとオーストリアは、その中華料理までが地元の舌に迎合して極端に不味い。
かつて3回ドイツを訪れているが、いずれも2泊程度。
それだったらジョッキーとアイスバイン(Eisbein、ブタの骨付きスネ肉を茹でたもの。これに塩漬けで発酵させたキャベツが山盛りについてくる。プリプリのゼラチンとキャベツのピリ辛味が絶妙)で十分に凌げることが分かった。
しかし6泊ともなると、何を喰っても単調で同一な味付けがこたえてくる。

これに対して、食事が美味しい食いしん坊天国のフランス、イタリア、韓国、日本は肥満度が低い。美味しいものを少しずつ食べる方が、肥満にならない。

しかし、ドイツをはじめ各国の名誉のために書き加えておかねばならない。
昔のヨーロッパの朝食はパンとバター、ジャムとコーヒーだけ。
味もそっ気もないものだった。
それが、どの国でもバイキングスタイルに変わり、自由に好きなものをチョィス出来る。パンをはじめ生ハム、ソーセージ、チーズ、牛乳、ジュースが大変に美味しい。ヨーグルトも中に入れる木の実の種類も豊富で、果物も新鮮で充実している。
洋食の朝食に関しては、日本のそれを上回っている。
夜は我慢。そして、朝食を腹一杯に詰め込むのがドイツ旅行の裏技。


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上の図は主要国の世帯当たり消費エネルギーの比率。
この表からはいろんなことがわかるのだが、とりあえず各国の年間調理エネルギーを見てもらいたい。
料理の不味いイギリス、スウェーデン、ドイツがいずれも2ギガジュール。
これに対してフランスと日本は倍の4ギガジュール。
イタリアが3ギガジュールと少ないのは、気軽に利用出来るバールがどの街でも早朝から開いており、多くの人がそこを利用しているからなのだろう。夜はマンマの手作りの夕食が待っているはず。
ただ、あのアメリカが4ギガジュールというのは納得出来ない。電気ヒーターを消すのを忘れているからではなかろうか…。

ともあれ、ドイツはシステムキッチンの国。
ボーゲンポール、ミーレ、アルノなどが、多くの女性の心をくすぐってきた。
そのシステムキッチンが、ドイツではそれほど頻繁に使われていないらしい。
アメリカのように、オーブンやレンジでチンするだけではなかろうが、使われ方が少ないシステムキッチンは、いつまでも美しい。

20年前まではインテリアコーデネィターに頼まれ、主に居間と台所を片っ端からカメラに納めてきた。
しかし、今ではそういったインテリア情報は溢れていて、ドイツのシステムキッチンの写真だといっても誰も手を出してはくれない。
したがって、システムキッチンの写真はほんの数葉だけ。

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そして、もう一つ少なかったのが浴室の写真。
ジャグジーやエアブローはもちろん、木の浴槽もない。
大体、バスタブそのものがない。
あるのは、下の写真のような簡単なシャワールーム。

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ここでもう一度、上の主要国の世帯当たり消費エネルギー比較図を見てもらいたい。
給湯に使っているエネルギー量が最も多いのがイギリス。
ともかく、イギリスの子女のお湯の浪費は有名。テレビで何回も紹介されているが、いくらなんでも18ギガジュールというのは、使いすぎ
ついでアメリカ。
アメリカという国はガソリンなどの税金が極端に低い。このために価格が非常に安く、浪費癖が身に滲み込んでいる。ガソリン税、電気税、ガス税を上げない限り、誰が大統領になろうが、アメリカ人のエネルギー浪費癖は、絶対に改善されないだろう。

これに比べて、フランス、ドイツ、イタリアのなんと慎ましいお湯の使用量。
つまり、ほとんどがシャワーだけで済ませている。
このために、200リッターのコンパクト・ユニットが堂々とドイツ、オーストリア、スイスで高いシェアを占めていた。
いずれも世帯当たり給湯量の平均が7ギガジュールの国。

パッシブハウスは、このドイツで生まれた。
このため、暖房で15kWh/u、給湯が6kWh/uというコンセプトが生まれてきた。このコンセプトをそのまま日本へ導入するのは、どだいムリと思う。
日本では、ドイツの2倍、すなわち14ギガジュールの給湯を使っている。
シャワーだけでは絶対に済ますことが出来ない。
やはり、肩までお湯に浸からないと疲れが抜けない。
全館空調換気の住宅が少ない。このため夏は高湿度で寝汗をかくし、冬は部分暖房で筋肉が硬くなっている。お湯に浸かって筋肉をほぐしてやらないと熟睡が出来ない。ストレスも一向に解消されない。
したがって、日本がドイツと同じパッシブハウスの基準で、第一次エネルギー120kWh/uaを達成するのは困難だと考える。

日本は主要電力として、ドイツのような反原発ではなく、原発主体の方向を選んだ。
原発に反対する政党もなければ、民間の草の根運動も見当たられない。
ということで原発が中心になる以上は、深夜電力を有効に使わねばならない。
当然、割引料金が今後とも適応されてゆくだろう。
深夜電力を使うエコキュートの料金は安い。月2000円以内で上がる。
しかし、第二次エネルギー量は、給湯だけであっという間に20kWh/uaを突破してしまう。
太陽熱温水器とエコキュートの効率のよいハイブリッドシステムが開発され、安い価格での普及がない限り、ドイツ生まれのパッシブハウスは、日本では給湯面で頓挫してしまう可能性が高い。
それに加えて、上の図で、家電のエネルギー消費量がドイツ7GJに対して日本が11GJと57%も多いのも気になる。各部屋にテレビとパソコンがあり、テレビゲームに熱中している日本。
パッシブハウス研究所は、第二次エネルギーで家電を11kWhと抑えているが、如何に省エネ家電の開発が進むからといって、日本がこの数値を達成するというのは容易なことではない。
つまり、第一次エネルギー120kWh/uaは、遠い将来には可能であっても、近未来の目標値になりえないのかもしれない。

こういった多面的なことが、今回の調査で分かった。

往復に各12時間も要する空の旅。
実質7日間の短期調査で、15回にもわたって分かったようなことを書いてきた。
中には思い違いや勘違いがあるだろう。
ただ、今までに日本へ紹介されていなかったいくつかの点が解明出来たのは、仲間の難しい要望に応えて優れた訪問先をアテンドしてくれたバウマンさんの努力に負うところが大きい。
と同時に、同行の熱心な仲間の皆さんと、車の中でもホテルでも、また食事の時も議論を重ね、帰国後も多大なヒントと貴重なサジェスチョンを頂いたおかげ。
そして、帰国後に長期間にわたってhiroさんとMiwaさんと、トライアングルのメール交換をさせていただいたお陰でもある。パッシブハウス研究所の優れた点と問題点が、おぼろげながら見えてきたのが大変に有難かった。

パッシブハウスの調査が目的だったが、いきなりドイツの木質構造という予想外の大金脈にぶち当たって戸惑った。
残念ながら予備知識不足のため、この大金脈のほんの表面を撫でてきたにすぎない。
アメリカのような生産性一本ヤリではなく、日本並みか、場合によっては日本以上のきめ細かい施工精度を持っているドイツの木造住宅。
そしてクォリテイは、日本よりはるかに優れていると直感させられた。

どうか、私共のささやかな調査を足がかりに、多くの識者によってドイツの木質構造の全体像と、地場ビルダーの実態と、住宅に関連する各マイスターの具体的なカリキュラムと技術レベルを、併せて解明されることを期待したい。
と同時に、超高性能なサッシや換気機器の開発に、是非とも目覚めて頂きたいと衷心より関係各位にお願いしたい。
  (完)
posted by unohideo at 07:52| Comment(0) | TrackBack(1) | 海外情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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