「素人の、怖い物知らず」という言葉がある。
今回の私が、まさにそれ。
現時点では全発電量の0.1%も占めていない太陽光発電に、原発を凌駕する可能性があるかどうかを探ろうというのだから、無鉄砲さに呆れる。
せめて今月末のPV Japan 2008に参加して、専門家の意見を聞いてからにすべきだろう。
だが、それだと「怖くて発言出来ない」ということになってしまうはず。
したがって、間違いだらけで、恥を覚悟の上の戯れ言。
2005年の日本の総発電量は9890億kWh。その内訳は下記。
原子力 3070億kWh
石炭 2470億kWh
天然ガス 2370億kWh
石油 1090億kWh
水力 790億kWh
その他 100億kWh
この、その他の中で太陽光、風力、バイオマスがどれくらいの比率を占めているのかがよく分からない。
今までの太陽光発電の累計設置容量が30万kW程度と推測すると、その発電量は原子力発電のたった0.1%程度のものにすぎない。
さて、この3070億kWhの原子力発電は、54基、4822万kWの設備で達成されたと考えてよいはず。
そして、現在建設および計画中の原発は13基で、これが完成すると6488万kWという能力になる。
つまり、2015年には4300億kWhという年間発電量になり、原発の比率は43%と10年間で12%もの大幅な増加を見せるということになる。
こうなると、深夜電力の利用拡大が、電力会社にとって中心的な課題になってこよう。
深夜電力を利用しての電気自動車の普及が一気に進むかもしれない。
原子力発電所の建設単価を見るとkW当たり40万円程度はかかっている。
これからの認可出力が110万kWではなくて130万kW程度ということになると1基の建設に5000億円以上はかかるという勘定に。
そして、原発はこうした建設費以外に国家の予算がからむ。
2004年度の電源特別会計予算概要では5000億円。
このうち2600億円は「電源立地勘定」
つまり原発周辺地域の整備などのための交付金、補助金、委託費など。
残りの2400億円は「電源利用勘定」
これはいろんな名目で当該地域にばらまかれている。
ということは、原発一基当たり毎年平均80億円から90億円もの大金が、資源エネルギー庁の予算として税金から支出されているということ。
よく経済産業省の資料を見ると、原発の発電コストは、天然ガスや石油、石炭、水力に比べて一番安いと強調している。
しかし、こうした電源特別会計という税金までも含めて考えると、それほど安いとは言えないという気がするのだが…。
さて、私は現在進められている原発の開発計画や建設を中止すべきだと言うつもりは毛頭ない。43%まではやむを得ないと考えている。
しかしこれを、さらに50%から60%へと比率を高くしてゆくことこそが賢明な選択肢だという電気事業連合会の発言には、どうしても疑問符がつく。
そこで、Voice 6月号の慶大清水浩教授の「全人類が太陽電池で暮らす日…4つの技術によってCO2は95%減らせる」という提案の尻馬に乗って、簡単な作業を行ってみた。
まず、エコカーでお馴染みの清水理論を簡単に紹介する…。
世界の66億人が、今のアメリカ人と同じ贅沢なエネルギーの使い方をしたとしても、地球の陸地のわずか1.5%に太陽光電池を設置することで達成出来る。
太陽電池の弱点は原材料のシリコンが足りないことだが、シリコンは硅素のことで土の主成分。純度の高いシリコンの入手は難しいが、太陽光用の原材料は心配ない。
現在の太陽光発電のコストは50万円/kWが相場といわれている。年間発電量は1000kWh/kWというところ。これだと減価償却に20年かかり、消費者にとってはよほど予算に余裕のある人でないかぎりメリットがない。
工業製品には10倍の需要を創れば価格が半分に下がるという法則がある。
実際に太陽光発電は、この12年間で1/5になってきた。
製品の寿命が原発のように40年になることが価格面からみても重要であるが、仮に製品寿命が20年のままとしても需要が今の100倍になればコストは6円/kWhと、原発の価格とほぼ同じになる。
日本は、太陽光発電で日本の需要を一段と大きく開発しながら、世界のシェアの50%を維持してゆくという基本政策を、強力な国策として持つべき。
従来の電力消費量は1兆kWh。これから将来に発生する熱源としての電力量が0.9兆kWh。それに自動車を電気自動車に変えた場合の必要量が0.1兆kWh。さらに水素製鉄に切り替えると0.7兆kWhが必要に。そしてこれらを合計しても2050年の電気消費量は2.7兆kWhでしかない。
NEDOの計算では全部の住宅と建築物、さらに農業放棄地に太陽光発電を設置すると8兆kWhの発電が可能だという。その電気をリチウムイオン電池で蓄え、送電のムダを省く。そして電気自動車に切り替えるというドミナントテクノロジーを展開すれば、CO2は革命的に減少させることが出来る。
というもの。
さて、清水理論によると、今議論しなければならないのは日本の国内で太陽光の需要を如何にして10倍にするかという方法論。
そうすれば価格は半分の25万円/kWになる。
しかし私は、アプローチはとしては需要拡大策よりも消費者の投資意欲への刺激策こそが肝心だと考えている。
10年間で投下資金が完全に償却出来るということを、消費者に実感してもらう条件整備こそが、キーポイントだと考えている。
これをドイツのように8年とか9年で償却出来るようにした方が、よりインセンティブを与えることは間違いない。だが、そこまでやる必要はないと思う。
例えば、年間売電23,000円/kW能力の太陽光を4kW搭載したとする。年間の売電92,000円。10年間で92万円となる。
この範囲内に太陽光発電のイニシアルコストを収めるべき。
ということは92万円÷4kW=23万円/kW。
これが消費者にとって、現時点での太陽光発電で許される適正価格。
10年間で元が取れ、それからの10年から20年間は毎年9.2万円ずつ余分な収入があるということであれば、先行投資の価値が誰にでも分かる。
これを実現するためにはどうすべきか。
まず50万円/kWの売価からメーカーは工事費として8万円を無条件で安くする。安くしなかったメーカー製品は補助金の対象から外す。
50万円−8万円=42万円。この42万円から消費者の適正価格23万円を差し引くと19万円の差が出る。
この差、つまりkW当たり19万円を国が補助をする。
これは、特定の人が宝くじに当たったような形で補助を受けるのではなく、耐用年数が30年以上見込める全住宅に、最高10kWまでを限度に無条件での補助。
原発一基の建設費が5000億円。
この5000億円の補助金で、なんと263万kW分もの太陽光発電が設置される。
その数値そのものは原発二基分に相当すると考えがち。しかし、太陽光発電の年間発電量は1050kWh/kWだから28万kWhにすぎない。
原発の1/3程度の能力しか得られない。
そして、数年経って価格が1/3になったら、太陽光発電は、原発と同等になるだろう。
しかし、そこまでの道のりは簡単なものではない…。
この263万kWは、1戸平均が4KWとすると66万戸分に相当する。全ての新築戸建て住宅に搭載してもまだあり余る数字。既存住宅でも受け付ければよい。これだけのメリットがないと、一気の普及は覚束ない。
つまり、これはいままでの補助金ではなく、国民に新しい発電所へ建設費を負担してもらうための誘い水。意識革命の一石。
どこかの政党のばらまき予算とは異質のもの。
そして、一定のところまできたら、国ではなく電力会社が補助金を出しても採算ベースに乗る話。必要な昼間により多く発電してくれ、しかも送電コストが安くなるのだから、メリットが多いはず…。
この政策を10年間進めると、原発5基程度は設置しなくても良い勘定になる。
さらにその10年後は、清水先生の予言のように太陽光発電がもっとも優れた発電施設として認知されるだろう…。
いずれにしても、ど素人の「ドイツかぶれの白昼夢」とお笑いあれ。
と同時に間違いの指摘も、宜しくお願いいたします。


これは全く的を得ていると思います。
実証的使用経験から、パネル自体の耐用年数は20年以上、事実上家屋解体まで利用可能でしょう。また中古品、移設市場も整備されるでしょう。
また、原発への依存拡大は熱汚染への影響も無視できないように思いますね。