恒例の面白本のベスト10。
上半期は環境・農水林・医・食と経済・経営に面白い本に多く出会え、ノミネートは120冊にも及んだ。ちょっと多すぎるのだが、建築・住宅は私の不勉強で大凶作。
相も変わらず独断と偏見の塊。また今回は、新刊書以外がかなり混ざっています。
【環境・農業・食品・医療】 30冊
・タヌキのひとり 森の獣医さんの診療所便り 竹田津実 新潮社
・そうだ、葉っぱを売ろう! 横石知二 ソフトバンククリエテブ
・中国食材調査 陳 恵運 飛鳥新社
・開口健が喰った!! 菊谷匡祐 実業の日本
・菌が地球を救う! 小泉武夫 宝島新書
・スローフードな日本! 島村菜津 新潮社
・「元気村」はこうして創る 国領二郎ほか 日経新聞
・どろ亀さん、最後のはなし 夢育む富良野の森造り 高橋延清 新思索社
・新薬、ください! 湯浅次郎 新潮社
・土にいのちの花咲かそ 加藤登紀子 サンマーク出版
・エビと日本人 U 村井吉敬 岩波新書
・自然塾トンボクラブ 鎌奥哲男 同時代社
・ムツゴロウ 世界動物紀行 畑 正憲 角川書店
・葉っぱで2億円稼いだおばあちゃんたち ビーパル研究所 小学館
・見習いドクター 患者に学ぶ 林 大地 集英社新書
・貧乏人は医者にかかるな 永田 宏 集英社新書
・救える「いのち」のために 山本孝史 朝日新聞
・地域の力 大江正章 岩波新書
・半農半Xの種を播く 塩見直紀ほか コモンズ
・脱「偽装食品」紀行 中山茂大 光文社ペイパー
・桶屋の挑戦 加藤 薫 中公新書
・健康問答 A 五木寛之・帯津良一 平凡社
・直売所だより 山下惣一 創森社
・中国危険物取り扱い読本 椎名 玲 ベストセラーズ
・ロハスビジネス 大和田順子ほか 朝日新書
・冷蔵庫で食品を腐らせない日本人 魚柄仁之助 大和書房
・食の世界遺産 日本編 小泉武夫 講談社
・世界屠畜紀行 内澤旬子 解放出版
・ジャガイモのきた道 山本紀夫 岩波新書
・スシ・エコノミー サーシャ・アイゼンバーク 日経新聞
【技術・科学・教育】 7冊
・やんちゃな独創 糸川英夫伝 的川泰宣 日刊工業
・手にとるように地球温暖化がわかる本 村沢義久 かんき出版
・アメリカの下層教育現場 林 壮一 光文社新書
・レイチェル・カーソン アーリン・クォラティエロ 鳥影社
・宇宙誕生の謎 100分の1秒の後 延與秀人 実業之日本
・勝てる子供の脳 吉田たかよし 角川新書
・迷惑な進化 シャロン・モアレム NHK出版
・YS-11, 走る 白井健次 徳間書店
・町人学者 浅田常三郎評伝 増田美香子他 毎日新聞
・文化系のためのDNA入門 武村政春 ちくま新書
・知床・北方四島 流氷が育む自然遺産 大泰司紀之・本間浩昭 岩波新書
【経営・経済】 30冊
・十五億人を味方にする 稲葉利彦 光文社
・インドの衝撃 NHK取材班 文春
・人材空洞化を超える 日経ビジネス 日経新聞
・お届けにあがりました! 三田村蕗子 ポプラ社
・東京からはじめよう 猪瀬直樹 ダイヤモンド
・イギリス経済再生の真実 日経新聞 日経新聞
・「超」経済脳で考える 野口悠紀雄 東洋経済
・株式会社 ロシヤ 栢 俊彦 日経出版
・コンビニ 不都合な真実 ベルダ編集部 ベストブック
・君命も受けざる所あり 渡邉恒雄 日経新聞
・世界のインテリジェンス 小谷 賢 PHP
・松下電器の経営改革 伊丹敬之ほか 有斐閣
・正直者はバカをみない 石積忠夫 ダイヤモンド
・大学2年で社長になるということ 星野 希 ダイヤモンド
・銀座の画廊経営 野呂洋子 ファストプレス
・崩壊する中国、逃げ遅れる日本 宮崎正弘 ベストセラー
・3年で辞めた若者はどこへ行ったか 城 繁幸 ちくま新書
・花も嵐も繁盛記 和田絵衣子 水曜社
・女性の本懐 小池百合子 文春新書
・小池式コンセプト・ノート 小池百合子 ビジネス社
・巨像に勝ったハーレーダビットソンジャパンの信念 奥井俊央 丸善
・日本の外交と経済 早大・大隈塾講義録 上下 田原総一朗 ダイヤモンド
・アメリカがやばい! 直江津歩 扶桑社
・チーズの値段から未来が見える 上野泰也 詳伝社
・すごい製造業 中沢孝夫 朝日新書
・汗出せ、智慧出せ、もっと働け! 丹羽宇一郎 文春
・こんな僕でも社長になれた 家入一真 ワニブックス
・彼女があのテレビを買ったワケ 木田理恵 エクスナレジ
・ハイ・コンセプト ダニエル・ピンク・大前研一訳 三笠書房
・フリーぺーパーの衝撃 稲垣太郎 集英社新書
【小説】 19冊
・貸し込み 黒木 亮 角川
・ガイシの女 汐見 薫 講談社
・白い砂丘 長野慶太 小学館
・今日は再び来らず 城山三郎 講談社
・タスクホース 上下 門田泰明 光文社
・クレージーボーイズ 楡 周平 角川
・商人 竜馬 津本 陽 日経
・お母さんのワカメスープ コ・ヘジョン 新潮社
・BOSS 堂場瞬一 PHP
・ブックストア・ウォーズ 碧野 圭 新潮社
・内部告発者 滝沢隆一郎 ダイヤモンド
・アイランド 佐伯紅緒 徳間書店
・わすれないよ波の音 下鳥潤子 講談社
・円を創った男 小説大隈重信 渡邉房男 文春
・わたしの眼は十年先が見える 城山三郎 新潮文庫
・あなたの余命教えます 幸田真音 講談社
・テレビキャスター 江波戸哲夫 潮出版
・幸福の不等式 高任和夫 NHK出版
・ワンダー・ドック 竹内 真 新潮社
【ノンフェクション・旅行】 24冊
・他諺の空似 米原万里 光文社
・モンスター・マザー 石川結貴 光文社
・塀の中から見た人生 安部譲二・山本譲司 カナリア書房
・Hotするイタリア 大矢アキオ 二玄社
・白夜の大岩壁に挑む NHK取材班 NHK
・聴こえなくても私は負けない 甲地由美枝 角川
・「愛の法則」 米原万里 集英社新書
・北京人と上海人 暢 東平 NHK
・選挙の裏側ってこんなに面白いんだ! 三浦博史ほか ビジネス社
・午後4時、東京で会いますか? シャンサ&リシャール・コラス ポプラ社
・黙っていられない 池田香代子・鎌田実 マガジンハウス
・煙る鯨影 駒村吉重 小学館
・トスカーナの丘 フェレンク・マテ 徳間書店
・続 獄窓記 山本譲司 ポプラ社
・「箱根駅伝」不可能に挑んだ男たち 原島由美子 ヴレッジ・ブック
・ネットオークションで騙す ケネス・ウォルトン 光文社
・力強い地方づくりのための、あえて力弱い戦略論 桶渡啓祐 ベネッセ
・真昼の星 椎名 誠 小学館
・沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子 高木 凛 小学館
・岡田監督と考えたスポーツと感性 志岐幸子 日経
・中国人と日本人 大原壮比古 新風舎
・見ることの塩 四方田犬彦 作品社
・人生の旋律 神田昌典 講談社
【住宅・建築】 6冊
・ネットのコンペで家建てた! 藤田健児 小学館文庫
・ぼくの家は「世界遺産」 小松義夫 白水社
・南大門の墨壺 岩井三四二 講談社
・地震は貧困に襲いかかる いのうえせつこ 花伝社
・丹精で繁盛 瀬戸山玄 ちくま新書
・ヨーロッパの都市はなぜ美しいのか 佐野敬彦 平凡社
さて、この120冊の中から選んだベスト10。
惜しくもベストテンに入り損ねた5点。
・食の「世界屠畜紀行」。こんな本が書かれていたことに感動。
・農の「ジャガイモのきた道」。穀物の栽培以前にジャガイモが定住をもたらした新説。
・科学の「知床・北方四島」。写真が綺麗で、北方問題に対する着想がとても新鮮。
・経済では「コンビニ 不都合な真実」が食品を半値にせず棄却する理由が分かる。
・小説の「ブックストア・ウォーズ」。これは身近な人間が主人公の新しい企業小説。
◆10位 技術・科学の「町人学者 浅田常三郎評伝」が面白かった。いまをときめく産学共同プロジェクトのハシリ。その人柄に好感がもてる。
◆9位 3年前に出版されたノンフェクションの「人生の旋律」。近藤藤太という骨太の伝記。小細工を弄した神田昌典氏ではなく、本格的作家に小説としてまとめて欲しかった。
◆8位 小泉武夫氏の「菌が地球を救う」とかなり前に出版された「食の世界遺産 日本編」をまとめて8位とした。いつもの語り口で新鮮味が欠けるが、大切な視点。
◆7位 経済面で「3年で辞めた若者はどこへ行ったか」と「人材空洞化を超える」は、雇用問題に新しい視点を当ててくれ、大いに参考になる。
◆6位 伊藤忠会長の丹羽氏の講演を集めた「汗出せ、智慧出せ、もっと働け」は、電車通勤している温かい血の通ったトップの先見性に、思わず拍手をしたくなる。
◆5位 ノンフェクションの「続 獄窓記」は、元民主党の国会議員が、獄中に数多くいる身障者の実態を知り、政治家を投げ打って変身するストーリーが感動もの。
◆4位 かなり前に出版されていた「ムツゴロウ 世界動物紀行」を今まで見落としていたのは恥ずかしいかぎり。開口健のオーパの饒舌や、星野道夫のアラスカの清旋な詩のような語りに匹敵し、時にはそれを上回る美しい文章に魅了させられる。
◆3位 農の「そうだ葉っぱを売ろう!」は、今までになかった独創的な起業家物語。
安月給のほとんどを費やして、自腹で高級料亭を食べて回り、ツマとしての葉っぱの利用のされ方をリサーチして回った。そして、おばちゃん達をパソコンで自立させていった。本田宗一郎氏や井深太氏に匹敵する起業家精神が、大きな勇気を与えてくれる。
◆2位 科学の「迷惑な進化」は、下手な推理小説よりも何倍かのワクワクする面白さがある。人間のDNAを構成する30億にも及ぶ塩基対の配列をマップ化した10年間に亘るヒトゲノム・プロジェクト。「文化系のためのDNA入門」を読んでもサッパリ意味が理解出来なかったのが、この本では直截的に本質に迫ることが出来る。とくに人類の二本足歩行に関しては、はっとさせられる指摘がうれしい。
◆1位 トップは「スシ・エコノミー」。これを「食」に分類すべきか「経済」にすべきかで迷った。
私共日本人は、江戸時代に華屋与兵衛がファストフードとして握りスシを始めたということは知っている。そして、最近は江戸前が少なくなり、養殖マグロが増えているということも良く知っている。寿司に関しては、今更外人に言われなくてもと考えていた。
ところが、この著者は約2年がかりで5大陸、14ヶ国を取材し、スシを食べまくっている。そして、日本のあらゆるスシの歴史から築地の役割、セリの実態、商社の役割、漁業者や密漁の実態、世界各地の養殖業、アメリカや中国を含めたマーケットの動向、外国人の職人養成システムに至るまで、スシに関する経済的な全側面を見事に描ききっている。日本人の知らないことまで教えてくれている。「参りました」と言わせる好著。
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